2024年11月29日
おすすめ企業インタビュー|株式会社大塚商会

株式会社大塚商会では障がいの有無に関わらず、誰もが快適に生活できる社会を目指す「ノーマライゼーション」を推進し、様々な部署で障がい者採用を行っています。今回は人事採用課の土谷様、鮫島様に同社の障がい者雇用に対する基本方針や取り組みについてお話を伺いました。
人材開発部 人事採用課 土谷 知子/鮫島 宗一郎
●貴社の障がい者雇用の基本方針について教えてください。
当社は障がい者だけで固まって働くのではなく、「健常者と障がい者が共に働く」ことを基本方針としています。新卒採用では障がい者雇用と一般雇用を分けて行い、入社前に障がいに対する配慮事項や環境を整えます。入社後はもちろん、内定以降は一般雇用の同期と同じプログラムを受けていただきます。研修内容は配属部署によって異なりますが、3ヶ月ごとにローテーションで異なるチームへ移動し、様々な社員と関わる機会を設けている部門もあります。また、トレーナー制度を導入しており、1年目は先輩社員がフォローします。先輩が忙しい場合でも、グループチャットで質問があれば誰かが回答する体制を取っている部門もあります。
●障がい者の方が働きやすい環境を整えるためにどのような取り組みをされていますか?
選考時に必ず障がいに対する配慮について深くお聞きしています。長い間障がいがあると、周りに理解のある方が多く、社会に出たときに何の配慮が必要なのか分からないことがあると思います。学生や中途採用の方には、周りの人に何を配慮してもらっているのか、どういうことに気を遣っているのかを聞き、会社に求めるべきことを整理するよう伝えています。その上で、可能なことと不可能なことを明確にします。例えば、エレベーターの設置は自社ビルなら可能ですが、できない場合もあります。そういった場合は相談していただければ、こちらから打診することも可能です。仕事において最大限のパフォーマンスを発揮していただくために、その方に合った環境づくりを心がけています。
●導入された新しい制度や環境の事例について教えてください。
制度面については、2022年から勤怠や働き方に特別な配慮が必要な方でも安心して就労できる「サテライトオフィス」を導入しました。口頭指示は苦手、マニュアルがないとできない、白黒を付けないと仕事ができないなどといった、配慮を必要とされる方が健常者と同様の働き方ができるよう支援しています。環境面では、物理的なサポート器具を必要とされる社員に対し、自社のサービスを利用して機材を購入したり、特定のソフトウェアを導入したりしています。個々の能力を最大限に発揮できるよう会社に掛け合って、適切な環境を整えています。
●障がい者社員のキャリアアップやスキル向上を支援するための取り組みはありますか?
eラーニングを活用して資格取得を支援する制度があり、隙間時間や今の仕事に必要な知識を自発的に学ぶ環境を用意しています。当社では、資格を取得すると評価ポイントが上がる仕組みがあるため、多くの社員が積極的に学習しています。また、IT業界で働くための基本的な資格として、全社的に「ITパスポート」の取得を推奨しています。新卒の方には入社前の内定者研修で学習していただき、入社までに取得していただくことがルールとなっています。中途社員の方には入社の条件とはしていませんが、取得していただくケースが多いです。当社の講師がレクチャーし、コンテンツやツール、テキストを提供するなど、学習環境を整えていますので、教材費用の負担はございません。
●採用において、求める人物像やスキル、そして採用のプロセスについて教えてください。
新卒採用では、障がいがあっても活躍したい、チャレンジしたいという姿勢や意欲を重視しています。
中途採用では、スキルがあればなお良いですが、前職がIT系でなくても活躍している方が多数いらっしゃいますので、これまでの経験や今後のチャレンジについて語っていただけると良いと思います。
採用のプロセスについては、中途採用、サテライト採用、新卒採用で異なります。
中途採用:書類選考+Web適性検査→合格者のみ1次選考→1~2回選考→内定
新卒採用:会社説明会+Web適性検査→合格者のみ1次選考→1~2回選考→内々定
サテライト:書類選考→合格者のみ1次選考→最終選考→内定
時期、選考部門でプロセスが変更となる場合もありますので、1度ご確認をしていただければと思います。
●面接の中で特に注目しているポイントや評価基準があれば教えてください。
評価基準は大きく分けて3つあります。1つ目は会社の文化や価値観に適合するかどうか、2つ目は即戦力としての適性、3つ目は人柄です。
1つ目は、現場や社風に合うかどうか、直接お会いして確認しています。当事者でなければ分からないことも多いので、配属先の現場へお越しいただき、心配なことがないかを確認していただくようにしています。
2つ目は、適性検査を行い、活躍している人の基準値と照らし合わせて見ています。中途採用やサテライト採用では、どのような仕事をどのようなツールで行っていたかを詳しく見ています。
3つ目は、仕事のスキルがない方であっても、先輩社員から仕事を学ぶことで戦力となっていただけるので、良好なコミュニケーションが取れる方かどうか、面談を通して人柄を確認しています。また、大塚商会では障がいのある方も一戦力として働いていただくので、困難に対してどのように立ち向かうか、失敗からどのように立ち直り、何を学んだかという点も重視しています。
●貴社の将来のビジョンや目標について教えてください。
現代の障がい者雇用においては働き方が明確に分かれており、障がいがあっても勤怠が安定し、健常者と同等に自身で仕事を進められる方とそうでない方がいらっしゃいます。また、シニアの方や介護をしている方、発達障がいグレーゾーンの方々の扱いについても課題があります。手帳を持っていない方々をどのように扱うか、各企業で苦労されている現状があります。働く方たちの高齢化や多様化が進んでいるため、今後は健常者雇用と障がい者雇用を分けるのではなく、健常者と障がい者が緩やかに交われる環境や仕組みを作ることが重要だと考えています。新卒の採用についても、環境が整えば活躍できる方がいらっしゃるので、一定基準を満たす方であれば新卒でも一般雇用への採用が可能になるよう、仕組みづくりを進めていきたいと考えています。