2024年12月24日
おすすめ企業インタビュー|ANAウィングフェローズ・ヴイ王子株式会社
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ANAウィングフェローズ・ヴイ王子では、障がい者一人ひとりの個性を最大限に活かし、「ダイバーシティ」と「ホスピタリティ」の精神でANAグループの事業をサポートしています。今回は採用担当の佐藤様と干川様に加え、ANAマイレージクラブサービスセンターでご活躍されているメンバーの石間様に障がい者雇用に関する取り組みや実際の職場環境についてお話を伺いました。
働き方企画部 採用担当 佐藤 渉様/干川 貴恵様
●これまでの障がい者採用に関する歩み・歴史を教えてください。
当社は設立当初より特例子会社として障がい者の採用に意欲的でした。2013年に現在の社名に変更されましたが、前身の会社も含め、10年ほど前までは中途採用を中心とした採用活動を行っていました。新卒採用も実施していましたが、採用数は年間2〜3名程度にとどまっていました。しかし、2016年を転機として、新卒採用の比率を増やす決断をいたしました。以来、現在に至るまで継続的に新卒採用を行っていますが、年間の採用比率では依然として中途採用がやや多い状況です。
2016年から新卒採用を強化した背景には、法定雇用率の達成も契機の一つではありましたが、事業規模の拡大に伴う人材確保が最も大きな要因です。中途採用だけでは十分な人材を確保できない状況に直面し、人材育成の観点からも、新卒採用を経た人材を育成することで会社の成長を促したいという意識がありました。近年ではこれまで以上に、会社のミライを見据えた人材育成にも力を入れています。
●障がいのある社員が働きやすい環境を整えるためにどのような取り組みをされていますか?
取り組みとして特に注力しているのがメンタルヘルスです。当社は臨床心理士の資格を持つ社員が2名常駐し、全社員を対象に定着支援面談を実施しています。入社後1〜2ヶ月は月に1〜2回、その後は月1回の頻度で面談を行い、仕事上の不安や悩みがあればカウンセリングでフォローできる環境を提供しています。面談期間終了後も、希望者は予約をすることでカウンセリングを受けられるため、相談の場が常に設けられているという安心感のもと、お仕事をすることができます。
また、体調面に不安がある社員に向けた制度としてフリーデザイン制度を導入しています。体調に応じて勤務日数や時間を柔軟に変更できる制度のことです。例えば、週5日8時間勤務が基本ですが、金曜日を休みにして週4日勤務にしたり、1日の勤務時間を1時間短縮して7時間勤務にしたりなど、個々の状況に合わせた働き方が可能です。
さらに、休職から復職する際には職場復帰のための短時間勤務制度(復帰時短制度)を活用し、段階的にフルタイム勤務に戻るサポートを行っています。以上の制度により、社員が安心して長期的に働ける環境を整えています。
●障がいのある社員へのサポート体制や福利厚生、研修プログラムについて教えてください。
まず、サポート体制についてですが、社員それぞれの障がいに応じたサポートを行っています。例えば、聴覚障がいのある社員には字幕機能やチャットを活用した情報保障を提供しています。精神障がいを抱えている社員にはメンタルヘルスのサポートとして、臨床心理士による定期的なカウンセリングを実施しています。また、障がいのある社員同士が気軽に質問や悩みなど相談ができる社風であることも、心理的な負担感軽減につながっていると考えています。
福利厚生としては、入社時から20日間の有給休暇を付与しており、通院休暇や余暇を楽しむために活用していただけます。また、ANAグループの一員として、飛行機利用におけるグループ優待制度も利用可能です。
研修では、入社時のオリエンテーションに加え、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を通じて、社員の適性に応じて部署に配属しています。
●障がいのある社員のキャリアアップや、スキル向上を支援するための取り組みがあれば教えてください。
ANAグループの一員として、グループ全体で展開されている研修プログラムに参加する機会を設けています。これには、階層別研修や管理職向けのマネジメント研修が含まれ、他のグループ社員と同じ内容の研修を受けることができます。受講に際しては、必要に応じて障がいに配慮したサポートを事前に打ち合わせし、社員が安心して研修に参加できるようにしています。
また、社内研修として、マネジメント層を目指す社員向けの研修も実施しています。直近1〜2年で導入されたこの研修では、リーダーシップやマネジメントスキルを磨くためのプログラムがあり、同じポジションの社員が集まってディスカッションを行い、マインドセットを強化します。以上のような事前準備を経て、社員が次のキャリアに進むための準備を整えています。
●障がい者の採用において、特に求める人物像やスキルは何ですか?
求める人物像は、チャレンジ精神があり、自ら進んで様々なことに挑戦できる方です。自分の強みが何かを理解し、ポジティブに物事に取り組む姿勢が仕事においては重要です。「これはできないけれど、これなら他の人よりも得意です」といったように、自分の強みを積極的にアピールできる方が理想的です。
また、当社は社員の8割以上が障がいのある社員で構成されているため、日々の業務を遂行するためには安定して就業できるかどうかが重要です。そのため、自分の障がいをしっかりと理解し、どのような配慮があれば業務を遂行できるのかを把握していることも採用基準に含まれています。
スキル面では、デスクワークの経験があることが望ましいですが、それ以上にチャレンジ精神やコミュニケーション能力を重要視しています。障がいのある社員が多く働く環境では、お互いに支え合い、思いやる気持ちが大切です。そのため、事務スキルの高さよりも人間性や人柄を重要視しています。
●選考プロセスで特に注目しているポイントや、評価基準について教えてください。
書類選考も重要ですが、特に重要視しているのは、なぜ当社を選んだのかという志望動機です。現在、多くの企業が障がい者採用に力を入れており、事務職の選択肢も広がっています。そのため、「ANAグループが好き」「旅行が好き」「飛行機が好き」といった理由以外に、なぜ特例子会社を選んだのか、その中でもなぜ当社なのか、という点を面接でお伺いしています。志望動機が明確であるかどうかは、応募者のモチベーションや当社で働く意欲を測る重要な指標です。さらに、自分の障がいを理解し、どのような配慮事項があれば業務を遂行できるかを把握していることも重要です。
●採用面接や選考過程において、配慮や工夫していることがあれば教えてください。
基本的には、事前に希望される配慮事項を確認し、応募者に必要な支援をご用意しています。例えば、聴覚障がいのある社員には、UDトークやブギーボードを使用して情報保障を行い、面接中のコミュニケーションを円滑にしています。
ただし、手話通訳者や就労移行支援担当者の同席は基本的にお控えいただいております。理由は、面接で応募者が自分の思いをどれだけ伝えられるか、どのようにコミュニケーションを取るのかを確認したいためです。入社後、実際の業務でも同様の状況が想定されるため、サポートなしで自分の思いを伝えられるかどうかを評価の一環としています。
ANAマイレージクラブサービスセンター 石間 雄大様
●現在、どのような業務を担当されていますか?これまでのキャリアの流れも合わせて、教えてください。
現在は営業グループでお客様対応やマイレージ特典に関する業務を担当しています。入社当初はお客様の個人情報を管理する部署に配属され、約1年半ほど勤務していました。その後、上司からの提案で、経験を活かせる新しいチームの業務を担当することになりました。私自身新しい環境でのチャレンジを希望していたため、担当業務の変更をお受けしました。
●職場ではどのような配慮がされていますか?また、業務を遂行する上でどのような工夫をしていますか?
私は聴覚障がいがあるため、情報が取得しづらいことがあります。そのため、業務中に連絡事項があった時はチャット機能を使って情報を共有しています。また、重要な会議やチームミーティングでは、UDトークを使用し、話されている内容をリアルタイムで確認できるように配慮していただいています。
業務を遂行する上での工夫としては、手話を習得したことです。入社前は手話が全くできなかったのですが、入社後に積極的に聴覚障がいのある社員と関わる中で、手話を少しずつ覚えていきました。現在、手話を学び始めて3年目になります。まだまだ学ぶことは多いですが、手話を使えるようになったことでコミュニケーションが円滑になり、チームメンバーとの交流や業務の遂行に役立っています。
●仕事においてやりがいを感じる点などがあれば教えてください。
チームで目標を達成した時の喜びを共有できる瞬間です。チームメンバーと協力して目標に向かい、達成できた時にはみんなで喜びを分かち合っています。そうすることで、モチベーションを保ちながら、やりがいを持って日々の業務に取り組んでいます。
また、仕事とは関係ありませんが、印象に残っている出来事として、私が所属する野球チームが全国大会に出場を決めた時、職場の仲間が祝福してくれました。職場の仲間との良好な関係が、働きやすさを感じる大きな要因になっています。