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障害者雇用促進法とは何かわかりやすく解説!障がい者を雇用するときのポイントを紹介します

目次

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障がいのある方の雇用を考えている企業の担当者の方で、「障害者雇用促進法」という法律を聞いたことがある方も多いと思います。

ただ、名称は知っていても「そもそもどのような法律なのか」「自社にも適用されるのか」「具体的に何をしたらいいのか」と疑問もあるはず。

今回は障害者雇用促進法の目的などの概要、対象者、障がいのある方を雇用する場合のポイントなどをお伝えします。

障害者雇用促進法とは

障害者雇用促進法とは障害者雇用促進法は障がいのある方の職業生活の安定を目的として、昭和35年に制定された法律です。

障害者雇用促進法は時代の流れとともに対象者や助成金の額などの変更を行う改定を繰り返していて、最近では令和4年に改正が行われました。

障害者雇用促進法には、国や民間企業に一定の割合で障がいのある方を雇用することを定めた障害者雇用率制度や、障がいのある方への差別の禁止や合理的配慮の提供など、さまざまなことが定められています。今回はその中で特に障害者雇用率制度について対象企業や具体的に行うことを紹介します。

なお、正式には「障害者の雇用の促進等に関する法律」という名称ですが、「障害者雇用促進法」と呼ばれることが多いため、今回の記事でも障害者雇用促進法と表記します。

障害者雇用促進法の対象

障害者雇用促進法の対象となる方を紹介します。

ここでは、わかりやすく障害者雇用率制度の対象となる企業、および対象となる障がいのある方にしぼってお伝えします。

障害者雇用率制度の対象となる企業

障害者雇用促進法の障害者雇用率制度では法定雇用率と呼ばれる、従業員数に応じて一定の割合の障がいのある方を雇用することが義務付けられています。

法定雇用率は現在2.5%なので、計算すると40人以上の従業員がいる企業が障がい者雇用をする義務があるとになります。自社が該当するか確認してみるといいでしょう。

また、法定雇用率は段階的に引き上げられていく予定となっています。詳しいことは後ほど紹介します。

障害者雇用率制度の対象となる障がい者

障害者雇用率制度では、基本的に障害者手帳を所持している方が対象となります。障害者手帳は、一定の障がいの状態にあることを証明する手帳のことで3つの種類に分かれています。どのような手帳を持っている方が対象となるか、以下の表をご覧ください。

障害者雇用促進法の対象となる障がい者
身体障害のある方 身体障害者手帳を持っている方
知的障害のある方 療育手帳を持っている方
精神障害のある方(発達障害を含む) 精神障害者保健福祉手帳を持っている方

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企業が障がい者を雇用するうえでのポイント

企業が障がい者を雇用するうえでのポイントここからは、具体的に企業で障がいのある方を雇用するうえでポイントとなることを紹介します。

【企業が障がい者を雇用するうえでのポイント】

  • 障害者雇用率制度の法定雇用率を理解する
  • 法定雇用率を達成できない場合は納付金の支払い義務がある
  • 合理的配慮を実施する必要がある
  • 障がい者雇用を実施することで申請できる助成金がある
  • 社員への周知を徹底する

まずは自社で何人の障がいのある方を雇用する必要があるのか、達成できない場合の対応などを知ることが大事です。それとともに、雇用する際に障がいのある方や職場での対応、雇用後に申請できる助成金など知っておくとスムーズに進めることができるでしょう。それぞれ具体的に見ていきます。

障がい者雇用の法定雇用率を理解する

まずは障害者雇用率制度の法定雇用率を理解することが大事です。

先ほどお伝えしたように、法定雇用率は現在では2.5%ですが、段階的に引き上げられていくことが予定されています。自社では現在何名雇用する必要があるのか把握するとともに、将来的な見通しも立てておくことが重要となります。

以下の表に現状とこれからの法定雇用率をまとめましたので、参考にお使いください。なお、国など行政機関では率が異なりますが、今回は民間企業の率について紹介します。

  令和5年度 令和6年度 令和8年度
法定雇用率 2.3% 2.5% 2.7
障害者雇用の対象となる事業主 従業員43.5人以上 従業員40人以上 従業員37.5人以上

 
また、障がいのある方の週の所定労働時間や障がいの程度によって、人数の算定方法も変わってきます。例えば、知的障害のある方で、20~30時間勤務の方は制度上では0.5とされます。

こちらも表にまとめましたので、参考としてご覧ください。

  30時間以上 20〜30時間未満 10〜20時間未満
(令和6年度予定)
身体障害のある方 1 0.5
(重度の場合) 2 1 0.5
知的障害のある方 1 0.5
(重度の場合) 2 1 0.5
精神障害のある方 1 0.5※ 0.5

※以下の2つの条件を満たす方は1とみなされます。

  • 新規雇用から3年以内または、精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の場合
  • 令和5年3月31日までに雇用され、精神障害者保健福祉手帳を取得した場合

また、障がい者雇用の義務がある企業は、6月1日時点での雇用状況を、7月15日までにハローワークに報告する必要があります。毎年行うことになるので、準備しておくといいでしょう。

法定雇用率を達成できない場合は納付金の支払い義務がある

法定雇用率を達成できない場合には、一定額の納付金を支払う必要があります。

納付金の徴収は事業者間の格差をなくし障がい者雇用の水準を上げることを目的としていて、障害者雇用納付金制度と呼ばれています。

納付金の額は法定雇用率から計算して不足している障がいのある方一人につき、月額5万円となっています。

納付金は現在では従業員が100人以上の企業を対象として徴収され、達成している企業へ調整金や奨励金として支払われます。

合理的配慮を実施する義務がある

障がいのある方を雇用するうえでは、合理的配慮を提供する義務があります。

合理的配慮とは、障がいのある方が仕事をする際に難しさを感じていることに対して、職場が過剰な負担にならない範囲で対策を行うことです。

具体的には、車いすの方の通行の妨げとならないようにオフィスの配置換えをするといった物理的なサポートから、不安が強い方に対して定期面談を実施するといった精神的なサポートも含みます。

合理的配慮は障がいのある方の採用段階と、働いた後で困りごとを解消するために双方の話し合いで無理のない範囲で実施していくことが求められています。

障がい者雇用を実施することで申請できる助成金がある

障がい者雇用を進めていくうえで助けとなる助成金制度がいくつかありますので、代表的なものを以下に紹介します。

【障がい者雇用時に申請できる助成金】

  • 特定求職者雇用開発助成金
  • トライアル雇用助成金
  • キャリアアップ助成金
  • 障害者雇用安定助成金
  • 人材開発支援助成金
  • 在宅就業障害者特例調整金

それぞれに申請の条件や助成金額は変わってきます。詳しくは以下のリンク先の記事をご参照ください。

※関連記事:障がい者雇用で申請できる助成金一覧|申請方法や給付条件を紹介します!
 

社員の理解を深める

障がい者雇用を行うためには、職場環境を整えるためにオフィスのレイアウト変更やマニュアルや業務フローの整備、体制の変更などを行う場合があります。共に働く仲間として、障害への理解や協力がなければ、企業として安定的に障がい者雇用を継続することができません。そのため、職場にもあらかじめ周知をして理解を深めておくことが大事です。

周知をする際には、法律的な義務についてだけでなく、会社の障がい者雇用をする目的や意義を説明しましょう。また、業務を見直す場合は、業務改善につながることなどメリットも含めて伝えるようにすると職場の理解も得やすくなるでしょう。

周知方法が分からない場合や、専門家による研修などを希望する場合は、ハローワークや障がいのある方向けの人材紹介サービスなどに相談する方法もあります。

まとめ

障害者雇用促進法は、障がいのある方の自立した職業生活を目的として制定された法律です。障者雇用率制度や差別的な取り扱いの禁止、合理的配慮の提供などが定められています。

障者雇用率制度では、企業は法定雇用率を基準として必要な人数の障がいのある方を雇用する義務があります。法定雇用率は現在では2.5%で、だんだんと引き上げられていくため、将来も見越して対応していくことが大事です。

制度の複雑さから障がい者雇用を進めるにあたって、「具体的に何をしたらいいのだろう」と悩む担当者の方もいると思います。

そういったときは、ハローワークなどの公的機関や、障がいのある方の人材紹介サービスなど民間のサービスで、障がい者雇用についての相談対応や研修を行っている場合があります。必要な部分は障がい者雇用の専門家に頼りながら進めていくといいでしょう。

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【本記事監修者】
佐々木規夫様                                                  

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

 

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