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ADHDの方が遅刻を回避するためにおすすめの対策|困った時の相談窓口も紹介します!

目次

ADHD(注意欠如・多動症)のある方の中で、「仕事でよく遅刻をしてしまう」「時間管理が苦手」という悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか?

ADHDのある方は、不注意、多動性、衝動性といった特性と職場環境などの影響で、遅刻など時間管理の面で困りごとが生じることも少なくありません。

しかし、自身の特性を理解して、対策を立てたりツールを使うことで遅刻を減らしていくことも可能です。

今回の記事では、ADHDのある方が遅刻が多くなる原因として考えられることや、遅刻を減らすためにできることについて紹介します。

ADHD(注意欠如・多動症)とは


ADHDとは、「注意欠如・多動症」ともいい、集中することやじっとしていることが難しいという特性があり、その特性と周りの環境との影響で遅刻が多くなるなどさまざまな困りごとが生じる障がいの一つです。

障がいには身体障害、知的障害、精神障害、そしてADHDを含む発達障害があります。

また、発達障害の中には、ADHDの他に「ASD(自閉スペクトラム症)」や「学習障害/限局性学習症(LD/SLD)」などがあります。

障がいごとにいろいろな困りごとや、その対策、受けることができるサポートなどがありますが、今回は主にADHDのある方への遅刻対策についてお伝えしていきます。

ADHDの種類と特徴

ADHDには「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの特性があります。

不注意は一つのことに集中し続けることが難しいという特徴があり、多動性はじっとしているのが苦手で体などを動かすことが多いという特徴があり、衝動性は思いついてことをすぐに言葉や行動に移すことが多いという特徴があります。

ADHDと診断された場合でも、人それぞれどういった特徴が表れやすいかは異なっています。

不注意の特徴が出やすい方は「不注意優位型」、多動性と衝動性が出やすい方は「多動性・衝動性優位型」、どちらも表れる方は「混合型」と呼ばれています。

  • 不注意優勢型:忘れ物やなくしものをしやすい、集中力が続きにくい、整理整頓がうまくできない
  • 多動性・衝動性優勢型:思いついたことをすぐ言動に移す、じっとしていられない、気持ちが落ち着かないことが多い
  • 混合型:上記の両方の特徴が当てはまる

人によって、どのような特性が優位に表れるか異なっています。対策を立てるためにも、まずは自分の特徴を知っておくといいでしょう。

ADHDのある方が遅刻する傾向がある理由


ADHDのある大人の方は、仕事においてその特性と職場環境や業務内容との兼ね合いにより、困りごとが生じる場合があります。

よくある例としては、以下などが挙げられます。

 

  • ケアレスミスが多い
  • マルチタスクが苦手である
  • 会議などでじっとしていることが難しい
  • 納期によく間に合わない
  • 遅刻が多い

その中で、今回は「なぜか遅刻が多くなる」とお悩みの方へ向けて、理由として考えられることや対策を紹介していきます。

【ADHDのある方が遅刻する傾向がある理由】

ADHDのある方が遅刻が多くなる理由として考えられることから見ていきましょう。

【理由として考えられること】

  • 別のことに気を取られやすい
  • 約束の時間を忘れてしまいがちである
  • 起きるべき時間に起きられない
  • 準備に時間がかかって出発が遅くなりがちである
  • 交通機関をうまく使えないことがある
  • 忘れ物を取りに帰って遅れてしまう

まず、不注意によって約束の時間を忘れてしまうことや、途中で忘れ物に気づいて取りに戻ったことで遅刻をするということが考えられます。

また、多動性・衝動性により、準備に時間がかかることや、出かける時間が迫っている中で他のことを始めてしまい遅刻が多くなるといったことが考えられます。

他にも、夜スマホや動画サイトなどに熱中して寝坊をしてしまうことや、間に合うと思って出かけても交通機関の乗り継ぎが複雑で迷ってしまうといったことも理由になりえます。

まずは自身に思い当たることがないか考えてみるといいでしょう。この後対策も紹介しますので、合わせて参考にしてみてください。

ADHDのある方向け遅刻回避の対策


ここからは、遅刻の理由ごとにADHDのある方向けの遅刻回避の方法を紹介していきます。

【遅刻回避対策】

  • 作業ごとにアラームをセットする
  • To Do リストを作って見えるところに置いておく
  • 持ち物や着替えは前日に用意する
  • 体内時計を整える
  • 予定時刻を早めに設定する

対策の例として以上のような方法があります。それぞれ詳しく解説していきます。

作業ごとにアラームをセットする

ADHDのある方が遅刻をしないための対策として、アラームを活用する方法があります。

一つのことに集中し過ぎて出発の時間を忘れてしまう場合や、次々と思いついたことを実行に移しているうちに時間が過ぎているという場合に効果的です。

アラームは音が鳴るタイプのものを使うと気づきやすいですが、職場内で音を鳴らすのが難しい場合は常にスマホなどアラーム機能のあるツールを身につけておき、振動で気づくことができるようにするといいでしょう。

To Do リストを作って見えるところに置いておく

遅刻回避のために、TODOリストを作成するという方法もあります。

TODOリストとは、やるべきことの一覧を書き出して、終わったらその項目を消していくというツールのことです。紙に書くほかスマホやパソコンのアプリもあります。

TODOリストを活用することで、やるべきことの進行具合が目に見える形で把握しやすくなるため、つい衝動的に他のことをしてしまう場合や、やるべきことを忘れていてリカバリーに時間を使う傾向がある方に効果的です。

使う際に大事なのは、常に目に入る場所に置くことです。

付箋に書いてデスクに貼ることや、アプリのアラーム機能と組み合わせるなど、TODOリスト自体を忘れないような工夫とセットで取り組みましょう。

持ち物や着替えは前日に用意する

準備に時間がかかる方は、持ち物などを前日に用意しておくことも有効です。

朝起きてから準備を始めると、必要なものが見当たらない、準備しているうちに他のことに気を取られるといったことも考えられます。

そのため、次の日の持ち物は前日にバッグに入れておく、着る服も出しておくといった準備を整えておくことで、朝時間がなくてもすぐに出発することができ、忘れ物を防ぐこともできます。

また、スマホなどの充電も前日のうちにしておくようにしましょう。

前日の準備では、天気予報も見て傘など必要なものがないかの確認や、いつもと違う場所に行く場合は電車の経路をあらかじめ調べておくことも大事なポイントです。

体内時計を整える

朝なかなか起きることができない、寝坊することが多い、という方は体内時計を整える取り組みも効果的です。

体内時計を整えるには、睡眠を安定させることが大事です。そのためにできることとして、以下が有効と言われています。

  • 就寝と起床時間を一定にする
  • 朝起きたら太陽の光を浴びて体内時計をリセットする
  • 入浴は寝る2,3時間前に済ませる
  • 寝る前にスマホなどの画面を見ない
  • 食事を3食バランスよく取る
  • カフェインやアルコールを控える

意識したいポイントとしては、スマホや動画をつい夜中まで見てしまう方は、ベッドから遠い所に置いておくといった対策を取ることです。

また、太陽の光は窓越しでも有効なため、朝外に出るのが難しい場合でも、カーテンを開けて自然の光を取り込むようにすることが大事です。

一度にすべてを実行するのは大変だと思いますので、少しずつ日常生活に取り入れていきましょう。

予定時刻を早めに設定する

家を出る時間や目的地に到着する時間を早めに設定する、というのも遅刻回避の方法の一つです。

予定時刻を約束の時刻にしていると、例えば、他のことに時間を取られて、乗るべき電車に間に合わなくなったり、忘れ物を取りに戻っている間に遅刻をしてしまったりすることがあります。

そのため、アラームなどで出発時間を知らせる際には毎回10分早めの時間に設定する、電車の乗り継ぎを調べるときも初めての場所なら到着時刻を30分早めにして調べるといった工夫をすることで、結果として遅刻せずにすむ効果が期待できます。

今挙げた時間は例なので、自身の特徴や状況に応じてどのくらい早めるかを決めておくといいでしょう。

ADHDのある方が悩みを相談できる場所・窓口


ここまで紹介したような対策は自身で考えていくこともできますが、一人で進めるのに難しさを感じることもあるでしょう。

そういったときは、ADHDなど発達障害のある方の仕事の悩みを相談できる場所を活用していくことも大事です。

障がいのある方への支援のノウハウのあるスタッフが対応してくれるため、自分では気づかなかった工夫や対策を見つけることができるかもしれません。

ここではいくつか代表的な場所やサービスを紹介します。

 ADHDの方が悩みを相談できる窓口

就労移行支援事業所 障がいや特定の病気のある65歳未満の方が、通いながら就職のための訓練やスタッフのサポートを受け、就職活動を行っていく障害福祉サービスの一つです。
就職後も定着支援として、定期的な面談や職場との調整なども行っています。
地域障害者職業センター 障がいのある方へ、働くことの専門的な支援や訓練を提供している機関です。
面談や検査を通して計画を作成し、利用者はその計画に沿ってさまざまな訓練に取り組んでいきます。
就職した後も、職場にスタッフを派遣して、雇用継続のための業務調整なども行っています。
障害者就業・生活支援センター 障がいのある方へ、働くことだけでなく日常生活での困りごとへの支援も提供している機関です。
金銭管理や役所の手続きなど、生活に関する支援を受けたい方に向いているといえます。
発達障害者支援センター 発達障害のある方やその家族からの仕事や生活に関する相談に対して、さまざまな支援を提供している支援機関です。
診断がなくても相談することができ、発達障害についての総合的な支援を受けることが可能です。
ハローワーク ハローワークの中に、障がいのある方専門の窓口が設置されていて、担当者により相談から求人の紹介、就職活動や働いた後のサポートなど一貫した支援を受けることができます。
また、発達障害者雇用トータルサポーターという専門のスタッフがいるハローワークもあります。
転職エージェント 相談者と企業の間に立ち、マッチする求人の紹介などを行うサービスです。
転職エージェントの中には、障がいのある方専門のサービスを提供している企業があります。
ADHDをはじめとする障がいへの理解や支援経験があるスタッフによる面談を通して、得意不得意の把握、希望の条件の整理などを行ったうえで、数ある企業の中から、その方へ適した求人の紹介を行うとともに、就職活動のサポートや入社手続きの代行といったサービスも提供しています。


相談は基本的に無料ですので、「遅刻が多くて悩んでいる」「仕事がなかなか続かない」といった方は、一人で悩まずに一度相談してみるといいでしょう。

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 まとめ

ADHDは注意欠如・多動症ともいい、不注意・多動性・衝動性がある発達障害の一つです。

ADHDのある方は、障がいの特徴と職場の環境などの影響により、遅刻が多くなってしまうなど時間管理に悩みがある方も少なくありません。

アラームやTODOリストなどのツールを活用することや、準備や予定時間の工夫、生活習慣の安定といった対処法を行うことで、遅刻を減らしていくことも可能です。

ただ、遅刻が多くなる理由は人それぞれであり、有効な対策も異なります。一人で考えるのが難しい場合には、さまざまな相談サービスを活用していくことが大事なポイントです。

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【本記事監修者】
佐々木規夫様                      

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

 

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