2024年04月28日
リウマチでやってはいけない仕事はある?|仕事をするときの工夫や職場環境の選び方

目次
関節リウマチは、関節に痛みや腫れ、変形の出る病気です。重症化すると日常生活に支障をきたしてしまう難病で、通院治療が必須となります。
そのため、関節リウマチの方は就職や転職の際、やってはいけない仕事があるのか不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、関節リウマチでやってはいけない仕事はあるのか、仕事を探すうえでの注意点について解説します。
利用できる就労支援サービスの紹介もしていますので、就労に不安を持っている方は、ぜひ参考にしてください。
関節リウマチとは
関節リウマチとは、自己免疫の異常によって全身の可動性関節に炎症が起こり、痛みや腫れを生じる病気です。
はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、遺伝的要因と環境要因が組み合わさって発症するものと考えられています。環境要因としては次のものが考えられています。
【関節リウマチの環境要因】
- 喫煙
- 歯周病
- ウイルス感染
- ストレス
- 過労 など
患者数は60~100万人と推計されており、男女比は男性1に対して女性は3~5と、女性患者が多いのが特徴です。
年齢を問わず発症の可能性はありますが、加齢とともに発症率が高くなり、40~50代が発症のピークとなります。
何もしなければ自然治癒するのが難しい病気のため、発症早期より適切な治療を受けることが求められます。
関節リウマチの主な症状
関節リウマチは、関節部の軟骨や骨の破壊によって症状があらわれる疾病です。
初期症状には個人差がありますが、多くの場合はゆるやかに症状が出始め、症状があらわれたり消えたりを繰り返しながら半年から1年程度で急速に進行していきます。
まれに、急激に病状が悪化するケースや、早い段階で多くの症状が出るケースも見られます。
症状の経過については、おもに次のとおりです。
関節リウマチ初期症状 | ●関節に熱を持ち、腫れる ●関節を動かすと痛い、動かしにくい ●関節がこわばる ●全身の倦怠感 ●食欲の減退 など |
関節リウマチが重症化した場合の症状 | ●関節の変形 ●亜脱臼・脱臼 ●関節部の骨の破壊・硬直 ●貧血・間質性肺炎・血管炎などの合併症 など |
関節の症状は左右対称で起こることが多く、手指の第2・第3関節や足指・手首など、小さな関節から症状の出始めるケースが多いです。
進行にしたがい、肩やひざ、股関節など大きな関節にも症状があらわれます。頸椎や股関節に炎症が出た場合、日常生活に支障をきたす可能性も否定できません。
早めの治療・リハビリテーションで身体の機能回復を図ることが可能となるため、関節リウマチの兆候が見られた場合は、できるだけ早い治療開始が求められます。
関節リウマチは身体障害者手帳の対象
関節リウマチに罹患した場合、症状の程度によっては身体障害者手帳の交付対象となります。
身体障害者手帳には1~7級まであり、症状の程度によって等級が決定します。身体障害者手帳の申請には、自治体が指定する病院での診断書と意見書が必要です。
まずはお住まいの自治体の窓口で相談し、必要な書類をそろえて申請しましょう。
身体障害者手帳の取得で、公共交通機関の割引や税金の減免などのサポートの他、就職や転職時に障がい者雇用枠の利用が可能となります。
障がい者雇用枠の利用は、選択肢のひとつで義務ではありません。自分の状況を考慮して、利用するかどうか検討するとよいでしょう。
関節リウマチでやってはいけない仕事はある?
関節リウマチがあるからといって、やってはいけない仕事はありません。
しかし、業務内容によっては関節に負担となり、症状が悪化することも考えられます。
【関節に負担のかかりやすい仕事】
- 長時間の立ち仕事
- 長時間の歩行を伴う業務
- 重たい荷物を運ぶ
- 寒い環境下での業務 など
関節リウマチで気をつけなければならないのは、患部の安静と適度な体操や運動です。痛みがひどい場合は安静にして、関節に負担をかけないことが重要です。
しかし、適度に動かさないと可動域が狭くなる悪影響もあります。また、患部を冷やすのも関節リウマチにはよくありません。
自分のやりたい仕事を優先するのか、体調を優先するのかは、本人の意思に任されますが、主治医とも相談しながら自身の症状を十分に把握し、無理なく続けられる職場・職種を選ぶとよいでしょう。
関節リウマチの方が仕事をするうえでの工夫
関節リウマチになると、仕事と治療を並行することが求められます。
仕事によって症状が悪化すると、治療期間が長くなる可能性も考えられるため、仕事をするうえでの工夫が大切です。
長期にわたって働けるために関節リウマチの方ができる工夫は、次のとおりです。
【関節リウマチのある方が仕事をするうえでの工夫】
- 長時間同じ姿勢にならないようにする
- 関節が冷えないようにする
- 自身が困るケースを想定した備えをする
長時間同じ姿勢にならないようにする
長時間にわたって同じ姿勢をとらなければならない業務は、できるだけ避けるようにします。
関節リウマチでは、関節への負担をかけないようにするのが非常に重要です。
そのため、重たいものを運んだり長時間にわたって関節を動かしたりする作業は、症状の悪化を招きます。
かといって、関節を長時間にわたり固定して動かさないようにするのも、症状悪化の原因となってしまいます。
デスクワークのように同じ姿勢となる業務に就く場合は、同じ姿勢が長時間続かないように休憩時に席を立つ、業務中は足を左右に動かすなどの工夫が大切です。
関節が冷えないようにする
関節の冷えも、関節リウマチの症状にとってはよくありません。
冷えによる関節の痛みやこわばりは、関節リウマチのない方でも症状の出ることがあります。そのため、関節リウマチのある方は冷やさない工夫が必要となります。
寒い場所での長時間作業や水にぬれて関節を冷やすような作業は、避けるのが無難です。
また、室内でもエアコンの設定温度が低かったり、風が直接あたる場所に机があったりすると、夏場でも関節が冷えて痛みやこわばりの原因となります。
ブランケットや上着などを準備して体を冷やさないように注意し、休憩時間には少し体を動かすなど、関節が冷えないように注意しましょう。
自身が困るケースを想定した備えをする
どのような状況になれば困りごとが起こるのか、あらかじめ自分自身で知っておくのも大切です。
通院や投薬、仕事上の工夫などの対策をしていても、痛みやこわばりで仕事に支障をきたしてしまう可能性はゼロではありません。
症状が強く出てしまった際にどのような対応をとるか、状況を想定して備えておくようにしましょう。
- 重たいものを運ぶ際は、声をかけて手伝ってもらう
- 業務上の負担が大きくなった場合は、配置転換を申し出る
- 症状が強く出て動きにくい場合は、無理せず休む など
職場の迷惑になると考えて無理をしてしまうと、お互いの負担が大きくなってしまうものです。
前もって病状を職場に伝えておき配慮を得られるようにしておくことが、長期間働くうえで重要なポイントとなります。
関節リウマチの方が働きやすい職場環境
関節リウマチの方が働きやすさを感じられる職場環境は、次のポイントに注目するとよいでしょう。
【関節リウマチの方が働きやすい職場選びのポイント】
- 自分のペースで仕事ができる
- 勤務形態が柔軟である
- バリアフリー設備が整っている
- 障がい者雇用枠も選択肢の一つ
これらのポイントは、あくまで選択肢のうちの一つです。自分が働くうえで重視するのはどの部分なのか、よく検討することが求められます。
自分のペースで仕事ができる
自分のペースを守りながら仕事できる職場ならば、働きやすさを感じられるでしょう。
関節リウマチの方は、できるだけ関節への負担をかけないことが求められます。
そのため、急を要する業務は対応しにくいケースが考えられます。
また、ストレスや過労も関節リウマチの症状を悪化させる一因と考えられるため、精神的に負担となることも避ける方が無難です。
【自分のペースで仕事ができる例】
- 納期にゆとりがある
- ノルマが定められていない
- 適度に休憩を取れる など
勤務形態が柔軟である
勤務形態の柔軟さも、職場選びに重視しておきたいポイントです。
間接リウマチの治療には、通院やリハビリテーションが必須となります。
また、急に痛みが強くなったり腫れがひどくなったりといった、突然の体調不良も考えられます。
そのようなとき、体調にあわせて欠勤や遅刻早退など臨機応変に対応してもらえる職場であれば、働きやすい環境であるといえるでしょう。
【勤務形態が柔軟な例】
- フレックス制の導入
- リモートワークが選択できる
- 時差出勤・時短勤務の採用 など
バリアフリー設備が整っている
職場がバリアフリー化されていることも、働きやすい環境が整っているといえます。
関節リウマチの症状が強く出ている場合、痛みやこわばりで思うように体を動かせず、小さな段差でも転倒するリスクが考えられます。
そのようなリスクをあまり考えないでもよいバリアフリー設備が整えられた職場を選ぶのも、一つの選択肢だといえるでしょう。
【バリアフリー設備の例】
- 段差をなくしスロープ・手すりを設ける
- タッチスイッチの採用
- エレベーターの設置 など
障がい害者雇用枠も選択肢の一つ
障がい者雇用枠を利用しての就職も、選択肢の一つとして考えられます。
障がい者雇用枠とは、事業者が障害のある方を対象とした雇用枠を設けて採用する制度です。
「障害者雇用促進法」に事業主別の雇用率が定められており、障がい者の安定雇用を目的としています。
障がい者雇用枠の利用で、次のメリットが考えられます。
- 合理的配慮を受けやすくなる
- 周囲の理解を得られやすくなる
- 障がいが考慮された職種での募集となる など
合理的配慮とは、障がいのある方とそうでない方の労働条件を改善・調整するための配慮です。
合理的配慮は、事業者から提供されるように法律で定められています。
障がい者雇用枠での採用を実施する企業では、一般企業より合理的配慮が受けやすくなっています。
障がい者雇用枠の利用には、障害者手帳の所持が必須です。また、希望職種の募集が必ずしもあるとは限りません。
障がい者雇用枠の利用は個人の判断に委ねられているため、自分の希望する働き方を検討して決めるとよいでしょう。
関節リウマチの方におすすめの就労サービス
関節リウマチの方が就職するにあたって、抱えている悩みや不安を相談できるサービスは次のとおりです。
【関節リウマチの方が活用できる就業支援】
- 地域障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター
- ハローワーク
- 転職エージェント
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、独立法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が手掛ける事業です。
以下が主な業務内容となり、各都道府県に1~2つずつ設置されています。
- 障がい者に対する専門的な職業リハビリテーションサービス
- 事業主に対する障がい者の雇用管理に関する相談・援助
- 地域の関係機関に対する助言・援助
【地域障害者職業センターで受けられる支援内容】
- カウンセリングによる一人ひとりにあわせた職業リハビリテーション計画の策定
- 作業支援や就活・職場対応スキル講習などの職業準備支援
- 職場適応援助者(ジョブコーチ)による個人の特性を踏まえた雇用支援
- 休職している方が職場復帰できるための課題の整理とリワーク支援 など
地域障害者職業センターでは、障がい者の方一人ひとりの特性にあわせた専門的な支援を幅広く受けられます。
直接的な職業紹介はありませんが、ハローワークや障害者就業・生活支援センターを通して、就職に向けた支援を受けることが可能です。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障がい者の方の身近な地域において、就業・生活の両面で相談・支援をおこなう機関です。
各事業所は厚生労働省から委託されており、令和5年4月現在で全国337箇所に設置されています。
【障害者就業・生活支援センターで受けられる支援内容】
- 就業面での相談支援(就業準備訓練、職場実習のあっせん、就職活動の支援など)
- 障がい者雇用について事業所に対する助言
- 日常生活・地域生活に関する助言(健康・金銭管理、地域生活、生活設計に関する助言など)
- 関係機関との連絡調整
障害者就業・生活支援センターは、事業所近隣の障がい者の方がサービス対象となるため、より地域に密着したサービスとなります。
直接的な就職の斡旋はなく、ハローワークと連携して求職活動の支援をしています。
ハローワーク
「ハローワーク」は、厚生労働省が全国に設置している公共職業安定所です。
障がい者専門窓口が設けられており、障がいについて専門的な知識を持つ担当者によるきめ細やかな支援がおこなわれています。
2022年4月現在、全国に544箇所設置されています。
【ハローワークで受けられる支援内容】
- 職業相談・職業紹介
- 障がい者向け求人の確保
- 各種支援機関・職業訓練などの紹介
- 採用面接時の同行・採用後の継続的な支援
ハローワークでは、障がい者雇用枠を使用する企業の紹介や職業相談など、多くのサービスが利用できます。
就職先の紹介を積極的に実施しているため、就職に関する相談ごとは、まずハローワークにしてみるとよいでしょう。
転職エージェント
「転職エージェント」は、キャリアアドバイザーが求職者の転職活動を全面的にサポートしてくれるサービスです。
無料で利用できるところがほとんどで、「障がい者転職特化型」と呼ばれる障がい者の方の就職を専門で取り扱うところもあります。
【転職エージェントで受けられる支援内容】
- 就職活動へ向けてのカウンセリング・転職活動のサポート
- 就職市場・業界情報の提供
- 書類添削・模擬面接など採用試験対策
- 企業への応募や面接日程の調整
- 転職後のサポートやフォロー
転職エージェントへ登録することで「障がいに理解のある職場を紹介してもらえる」「自身の状況に合った職種を提案してくれる」「就業後のサポートも受けられる」など、多くのメリットを受けられます。
関節リウマチの症状で転職に不安のある方でも、キャリアアドバイザーに相談しながら転職活動を進められるので安心です。
障がい者雇用枠を取り扱う転職エージェントもあるため、希望に添った企業を見つけられる可能性は高いでしょう。
まとめ
関節リウマチは、関節に炎症が起こり、痛みや腫れを生じる病気です。自然治癒することがないため、継続した治療が必要となります。
関節リウマチの方が無理せず仕事を続けるには、関節に負担を与えないことが大切です。
仕事をするうえでの工夫とあわせて、症状に理解と配慮のある職場を選ぶのも求められます。
症状の程度によっては、身体障害者手帳の交付対象となります。
自治体の相談窓口や各種就業支援サービスを利用し、自身の希望条件や症状にあわせた職場を探すようにするとよいでしょう。
【本記事監修者】 佐々木規夫様 産業医科大学医学部医学科卒業。 |