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二次障害とは?ADHDやASDなど発達障害による二次障害の症状・予防法を解説

目次

発達障害の二次障害で悩んだ経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、仕事や日常生活で二次障害が起こらないか心配になることもあるかもしれません。

この記事では、二次障害の症状と予防法を解説します。二次障害のある方が相談できる機関もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

発達障害の二次障害とは 


二次障害とは、発達障害のある方が、特性が起因して周囲の人や環境にうまく適応できないことなどから二次的に起こる症状や事象のことです。ただし、診断名はありません。

発達障害のある方だからといって必ず起こるわけではありません。

周囲の理解や適切なサポートを受けられ、本人が意識して生活を工夫することで二次障害を防ぐできることがあります。
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二次障害が起こる主な原因


発達障害の主な種類と特性は、以下の通りです。

種類 主な特性
自閉スペクトラム症(ASD) ●相手の表情や態度などよりも、文字や図形、物の方に関心が強い。
●見通しの立たない状況では不安が強い。
注意欠如・多動症(ADHD) ●次々と周囲のものに関心を持ち、周囲のペースよりもエネルギッシュに様々なことに取り組むことが多い。
学習障害/限局性学習症(LD/SLD) 「話す」「理解」は普通にできるのに、「読む」「書く」「計算する」ことが、努力しているのに極端に苦手。

※参照元:厚生労働省「発達障害のある方と共に働く上でのポイントと障害特性」

上記はあくまで大まかな傾向であり、人によって症状は多様です。発達障害にはさまざまな特性があり、二次障害に至る過程、原因も異なります。

自閉スペクトラム症(ASD)の場合

自閉スペクトラム症(ASD)のある方は、興味の対象が限定的で、時には好きなことには寝食を忘れ、疲れていても没頭してしまうことがあります。

また、場の空気を察することが苦手であるため、周囲と物事の受け取り方が違ってしまうことがあります。

さらに、「言葉通り解釈する」という特性があるため、相手の表情から状況を察することが苦手な傾向に見られます。

自閉スペクトラム症(ASD)の二次障害として挙げられる症状には、以下のようなものがあります。

  • 引きこもり
  • うつ病
  • 対人恐怖

自閉スペクトラム症(ASD)の特性などが起因して、対人関係や職場の業務トラブルなどで問題を抱えると、二次障害として抑うつ的になったり、家に閉じこもりがちになったり、人と会うのが怖くなったりしてしまうことがあります。

ただし、症状は人によって様々ですので、一概に決まった症状が起こるわけではありません。

注意欠如・多動症(ADHD)の場合

注意欠如・多動症(ADHD)は、不注意や多動性、衝動性が特徴です。

注意が散漫になったり、順序立てた行動が苦手だったり、落ち着きがなかったりなどの行動の特徴があります。

大人の場合は、仕事に集中できない、仕事を計画通りに進められない、人間関係での衝突が起こるなどの困難を抱える傾向が見られます。

注意欠如・多動症(ADHD)の二次障害の症状の例として、食欲不振や社交不安、暴言などが挙げられます。

また、特性に起因した失敗体験が積み重なったりすると抑うつ状態などの二次障害が起きる可能性があります。

学習障害/限局性学習症(LD/SLD)の場合

学習障害/限局性学習症(LD/SLD)は、知的な遅れがなく「読む・書く・計算する」といった特定のことがうまくできない点が特徴です。

例えば、読みで「どこで区切って読めばいいかわからない」、書きでは「漢字を間違えてしまう」などのケースが少なくありません。

本人は努力をしているけれど、周囲からは「覚える気がない」と誤解され、ストレスを感じることもあります。

学習障害の二次障害の例は、不安や抑うつなどです。例えば本人の頑張りが報われず、周囲から誤解されるといったストレスによって、二次障害が起きるとも考えられるでしょう。

二次障害の主な症状の種類 


二次障害は、主に「内在化障害」と「外在化障害」に分類されます。それぞれの具体的な症状は、以下の通りです。

分類 主な症状
内在化障害 ●うつ病
●抑うつ
●対人恐怖
●依存症
●不安障害
●気分障害
外在化障害 ●暴言、暴力
●家出
●非行
●行為障害
●反抗挑戦性障害

内在化障害

内在化障害とは、自分自身に大きく影響を及ぼす精神症状のことです。

主な症状は、以下の通りです。

【内在化障害の主な症状】

  • うつ病
  • 抑うつ
  • 対人恐怖
  • 不安障害
  • 気分障害

気持ちが落ち込んだり不安になったりするなど、情緒的な問題が自分自身に向けられる点が特徴です。

外在化障害

外在化障害とは、他者に影響を及ぼす行動面の問題のことです。
主な症状は、以下の通りです。

【外在化障害の主な症状】

  • 暴言、暴力
  • 家出
  • 非行
  • 行為障害
  • 反抗挑戦性障害

反抗や家出などの反社会的な行動が見られ、行動の問題が他者に向けられるのが特徴です。

年代による二次障害の傾向


二次障害は年代によって症状の傾向が異なります。年代による二次障害の傾向は、以下の通りです。

年代 二次障害の傾向
幼少期 ●癇癪を起こす
●人を叩いてしまう
●チック
思春期 ●情緒不安定になる
●心身症
●不登校
●学習能力・集中力の低下
●ゲームやインターネット依存
成人期 ●精神的に不安定になる
●抑うつ
●不眠
●強い不安や緊張


上記はあくまで大まかな傾向であり、人によって症状はさまざまです。

ご自身がどのような症状があるのかを把握しておき、日常生活や仕事に影響が出ている場合は、主治医に相談することをおすすめします。

二次障害を防ぐために必要なこと


発達障害の二次障害を防ぐために、生活や仕事をするうえで以下の点を心がけましょう。

【二次障害を防ぐためのポイント】

  • 自身の障がい特性を理解する
  • 規則正しい生活を送る
  • 適度な休憩・休暇をとる
  • 相談できる存在をつくる

ご自身の障がいの特性について理解し、生活習慣を整えながら、相談できる人を作ることが重要です。

自身の障がい特性を理解する

二次障害を防ぐためには、ご自身の障がいの特性を理解することが必要です。

障がいに関する正しい知識を身に着けて、どのような特性があるか把握してみることをおすすめします。

例えば、得意なことや苦手なことを紙に書き出すことで、客観的に分析することが可能です。特に、苦手なことを理解することで、課題への対策を立てやすくなります。

苦手なことに対してご自身で対応できることと、周囲の人にどのように支援・配慮をしてほしいか伝えられるようにしておくと良いでしょう。

一人で分析・対策することが難しい場合は、支援機関に相談することも検討してみてください。

規則正しい生活を送る

二次障害の防止のためには、規則正しい生活を送ることも大切です。

発達障害のある方は、よく眠れていないなど睡眠に関する問題を抱えている傾向が見られます。

夜まとめて眠れなかった場合は、日中に15分程度の昼寝をすると身体が軽くなるのでおすすめです。

可能な限り、同じ時間に寝室に入って眠ることを習慣にするのも良いでしょう。

朝決めた時間に起きて、就寝前にブルーライトを浴びないようにするだけでも快眠につながりやすくなるため、ぜひ試してみてください。

適度な休憩・休暇をとる

ストレスをためすぎて二次障害を引き起こさないためには、適度な休憩・休暇をとることが大切です。

特性によっては適度に休憩をとることが難しい場合があるため、休憩時間をとるように意識したり、一人で休める場所を見つけたりしてみましょう。

また、仕事の計画を立てるときには、休む日をあらかじめ設定しておくことをおすすめします。

相談できる存在をつくる 

一人で悩んでいるとストレスがたまり、症状が悪化する可能性があります。

そこで、以下のような相談できる存在を作り、二次障害の予防につなげましょう。

【二次障害を防ぐために必要な存在】

  • 専門の支援機関(発達障害者支援センターなど)
  • 障がいに理解のある職場の上司・同僚

専門の支援機関である発達障害者支援センターは、発達障害のある方への支援を総合的に行います。

医療や福祉などの関係機関と連携しており、日常生活や就労に関することを相談することが可能です。

また、職場などに障がいに対する理解がある上司や同僚がいれば、仕事のやり方や悩みについて相談しやすくなるでしょう。

二次障害を防ぐには職場環境が重要


二次障害を防ぐためには、職場環境がカギを握ります。

発達障害のある方に適した職場を見つける際には、以下のような機関・サービスを利用することが可能です。

機関・サービス 障害者手帳
(必要/不要)
特徴
就労移行支援事業所 必要 ●職業能力や障害の特性の理解を深める
●就職を希望する方に向けて課題と対処法について支援する
●メリット:就職後の定着支援がある
地域障害者職業センター 不要 ●ハローワークと連携して、職業リハビリテーションを提供する
●メリット:自分の長所や課題の対処方法を検討する「職業準備支援」が受けられる
障害者就業・生活支援センター 不要 ●障がいのある人の仕事をサポートする目的で全国に設置されている
●メリット:仕事だけではなく日常生活に関する助言がもらえる
ハローワーク 必要 ●職業相談や、障がい者雇用枠への応募が可能
●メリット:職業訓練が受けられる
障がい者向けの転職エージェント 必要 ●キャリアアドバイザーが障がい特性や希望する条件などをうかがいながら、サポートする
●メリット:担当者が面談や手続きを行うサービスを提供する

 

まとめ

今回は、二次障害の症状と二次障害を防ぐために必要なことをご紹介しました。

適切な治療を受け、相談できる場所を作ることによって症状の予防につなげることは可能です。また、職場環境も重要なので、ご自身に合った職場を探すためにも、関係機関を利用することをおすすめします。

ご自身の障がいの特性に合った職業探しをしたいとお考えの方は、活用できる支援機関や転職エージェントの利用を検討してみてください。

【本記事監修者】
佐々木規夫様                    

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

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