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お役立ちコラム

うつ病で転職をするときのポイント|続けやすい職場の選び方や転職支援制度を紹介します!

目次

うつ病があると、「転職したほうがいいのではないか」「今の仕事が続けられないのではないか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

一方で、転職しても仕事が続けられるかどうかも心配になるかもしれません。

この記事では、うつ病がある方が転職するメリット・デメリットについて解説します。仕事を続けるための注意点もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

うつ病になったら転職した方がいい?


うつ病がある場合、「今の仕事があっていないのではないか」「早く転職した方がいいのではないか」と思われるかもしれませんが、必ずしも退職・転職をした方が良いとは言い切れません。

実際には、体調がすぐれず療養する方や、症状に合わせた服薬をして体調を維持しながら、仕事を続けている方も少なくありません。

一般的にうつ病の症状が悪化している時には、焦って重大な決定をすることは勧められないため、仮に転職を希望しているとしても、主治医などともよく相談しながら、ご自身の症状などに合わせて判断する必要があります。

うつ病で転職するメリット・デメリットを理解しよう 

うつ病がある場合に転職するメリット・デメリットとして、以下の点が挙げられます。

メリット ●今よりも条件の良い職場に転職できる可能性がある
●うつ病に理解のある職場であればリスクが低い
デメリット ●環境変化によるストレスが起こるが可能性がある
●吟味せずに転職すると、転職後に症状が再発する可能性がある
●何度も転職を繰り返すと、転職市場で不利になりやすい


転職することにより、環境や条件が会えば、リスクを低減できるメリットがあります。

一方で、転職後の環境が予想していたものと異なる場合は、逆にリスクを高める可能性もあるでしょう。

また、転職を何度も繰り返すと、企業からは早期に退職しがちだとみなされ、採用に不利に働くというデメリットがあります。

メリットとデメリットをそれぞれ理解し、総合的に考慮しながら転職するかどうか検討することが大切です。

まずは休職して冷静な判断をする

うつ病があるからといって退職や転職をしたほうがいいわけではありません。まずは休職してみて様子を見るのも一つの方法です。

うつ状態で気分が沈んでいると、冷静な判断や、ご自身にとってより良い選択ができなくなる可能性が否定できません。

また、転職には、大きなエネルギーを必要とします。症状が続いている状態で転職した場合、新しい環境や仕事に馴染むために疲労してしまい、症状を更に悪化させてしまう可能性もあります。

休職により症状が改善することで冷静に判断ができれば、回復の見込みも経ちやすくなりますし、転職活動もしやすくなる可能性があります。

退職・転職は一人で判断しない 

退職や転職などの大きな決断をする際には、一人で判断せず、周囲に相談しながら進めることも大切です。

相談できる機関は、以下の通りです。

  • 就労移行支援事業所
  • ハローワーク
  • 地域障害者職業センター
  • 転職エージェント
  • 精神保健福祉センター

相談窓口で支援の詳細を確認したり、見学に行ったりしながら、どの機関を利用するか決めることをおすすめします。

うつ病を発症した人の行動事例


厚生労働省が紹介している、うつ病の既往歴がある人の事例を見ていきましょう。

さまざまなケースがありますので、ご自身の状況に近い事例を参考にしながら、どのように行動していくべきか検討してみてください。

うつ病による休業から復帰した事例 

職業:小学校教諭 / 年齢:36歳 / 性別:女性
うつ病を発症した時の様子 食欲がなく、眠れなくなった
うつ病の診断後の行動 自宅療養に入り、クリニックの復職プログラムに通い始めた
行動を起こした結果 別の小学校へ異動して復職した

慌てて転職活動をして不安が強まった事例 

職業:IT企業 営業職 / 年齢:35歳 / 性別:男性
うつ病を発症した時の様子 業績が上がらず気持ちが焦り、不眠が続いた
うつ病の診断後の行動 薬物治療として抗うつ剤を服用しながら、勤務を続けた
行動を起こした結果 転職を考え始めたが、考えるほど不安になった

うつ病と付き合いながら仕事を続ける時の注意点


うつ病の症状と付き合いながら仕事を続ける時の注意点は、以下の通りです。

【うつ病と付き合いながら仕事を続ける時の注意点】

  • 規則正しい生活を送る
  • 周りの人の理解を得る
  • 無理をしない
  • 通院・薬の服用を続ける

食事と睡眠をしっかりととること、自己判断で薬の服用を止めないことが非常に重要です。それぞれについて具体的に解説します。

規則正しい生活を送る 

うつ病と付き合いながら仕事を続けるためには、規則正しい生活を意識する必要があります。

規則正しい生活を送っていると、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌が促され、前向きな気持ちになれるからです。

セロトニンの分泌のためには、太陽の光を浴びる必要があります。そこで、朝の10分間ウォーキングをする、あるいはカーテンを開けて日光を浴びるようにしてみると良いでしょう。

生活習慣が乱れてしまうと、セロトニンが不足してしまい、イライラや無気力状態につながりかねません。

朝決めた時間に起きて夜更かしを控えるよう、生活のリズムを整えてみてください。

周りの人の理解を得る

うつ病と付き合いながら仕事を続けるためには、周りの人の理解を得ることも大切です。

職場の上司や同僚に症状を伝えておくことで、仕事量を調節してもらえたり、サポートが受けやすくなったりする可能性が高まります。

理解を得るためには、具体的にどのような症状があり、どの程度のサポートがあると望ましいのかしっかりと伝えましょう。

無理をしない 

うつ病と付き合いながら仕事を続けていくためには、決して無理をしてはいけません。

ひどい無理をすると体調が悪化して抑うつ状態が悪化しまう可能性があるからです。

抑うつ状態とは、ストレスや環境の変化から気分が落ち込んで何もする気にならないなど不快な症状が強くなり、心のエネルギーが低下している状態のことです。

集中力が落ちたり寝付けなかったりすることもあるため、例えば新しい職場に移った場合も無理はせず、少しずつ慣れていきましょう。

通院・薬の服用を続ける

うつ病と付き合いながら仕事を続ける際には、通院や薬の服用を続ける必要もあります。

自己判断で治療を止めたりや断薬したりしてしまうと、再発の可能性が高まるだけでなく、症状が悪化する可能性があるからです。

薬を飲み忘れてしまうことがある場合には、原因を特定するとともに、服薬スケジュールを把握して決められた量を決まった時間に飲むようにしましょう。

副作用がある場合は、主治医に相談した上で変えてみるのも一つの方法です。

うつ病で転職する時の職場の選び方


うつ病がある方が働きやすい職場・職種選びのポイントをご紹介します。

基本的にどのような職種・業種でも、働く環境が整っている、あるいは職場の雰囲気がご自身に合っていれば働くことは十分可能です。

【うつ病の方が働きやすい職場の選び方】

  • 自分のペースで仕事ができる
  • 勤務形態が柔軟
  • 相談できる窓口やサポート体制がある
  • 障がい者雇用枠での転職も検討する

自分のペースで仕事ができる

自分のペースで仕事ができるかどうかは、無理なく続けるためにも大切です。納期にゆとりがあるか、ノルマなどが決まっていないかなどについても確認してみてください。

自分のペースで仕事ができる具体的な職種や職場の例は、以下の通りです。

  • Webデザイナー
  • 在宅コールセンター
  • 企業のバックオフィス
  • 事務
  • 工場・製造ラインの作業員 など

ご自身のペースを保ちながら仕事を続けるためには、タスクの締め切りなどを適切に管理・調整することが重要です。

焦ってペース配分を崩すことなく、ご自身に合った職場・仕事内容を見つけて転職活動を成功させましょう。

勤務形態が柔軟

勤務形態が柔軟な職場を選ぶことも、働きやすさのためには大切です。

例えば、フレックス制やリモートワークなど、柔軟性のある働き方ができる会社も増えてきています。

また、フルタイムでの勤務が難しい場合は時短勤務や場合により部署を異動するなどして勤務形態を整えられれば、より働きやすくなるかもしれません。

主治医の意見も参考にしつつ症状を職場に伝えることで、環境を調整してもらえたり、合理的な配慮を受けられたりする可能性があります。

相談できる窓口・サポート体制があるか 

相談できる窓口やサポート体制があるかどうか確認することにより、働きやすさに繋げられる可能性があります。

会社内に相談窓口を設置している企業もあり、従業員数が多い企業では産業医を選任しています。

産業医は「労働者が健康で快適な作業環境のもとで、仕事が行えるように助言をする医師」のことです。

常時50名以上の労働者が働く職場では、産業医を選任することが義務付けられていますので、心配なことがあれば相談できるでしょう。

また、職場内に気兼ねなく相談できる窓口が設置されていれば、より安心して仕事を続けられます。

障がい者雇用枠での転職も検討する

うつ病がある場合、障がい者雇用枠での転職を検討するのも働きやすさを確保する一つの方法です。

障がい者雇用枠とは、障がいのある方の特性に合わせた働き方ができるように、企業が採用枠を設けて雇用することです。

合理的配慮が受けやすく、職場において障がいに対する理解が進んでいる傾向が見られます。

ただし、障がい者雇用枠での転職・就職は、障害者手帳を持っていることが条件です。

うつ病の既往歴がある場合は、精神障害者保健福祉手帳を取得しておく必要があります。

うつ病の方が活用できる就労サービス


うつ病がある方が転職するにあたり、抱えている悩みや不安を相談できるサービスは数多くあります。

利用できる支援機関の例は、以下の通りです。

【うつ病の方が利用できる転職・就業支援】

  • 就職移行支援事業所
  • 地域障害者職業センター
  • ハローワーク
  • 転職エージェント

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、全国に約3,000か所の事業所が存在しており、障がいのある方の求職から就職までの一連の過程をサポートする支援機関です。

サービスの対象は、一般就労を希望している18~65歳未満の障がいのある方です。働く技術の習得から面接対策などを支援しています。

ただし、就労するために必要なスキルを取得する機関ですので、求人紹介を行う場所ではない点に注意が必要です。

【就労移行支援事業所で受けられる支援内容】

  • 一般就労に必要なスキルを取得
  • 就職活動のサポート
  • 就職後の定着支援

うつ病の既往歴がある方にとって、ご自身の症状との向き合い方や、合った仕事を探せる機関です。

地域障害者職業センター

地域障害者支援センターは、障害者雇用促進法に基づき各都道府県に設置されている支援機関です。

ハローワークなど他の支援機関や企業などと連携して、「職業リハビリテーション」を提供しています。

地域障害者支援センターは、各都道府県に設置されています。受けられる支援は以下の通りです。

【地域障害者職業センターで受けられる支援内容】

  • 職業準備支援
  • 職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業
  • 事業主に対する相談・援助

ハローワーク

ハローワークは正式名称を「公共職業安定所」と言い、厚生労働省設置法に基づき各都道府県に設置されている行政機関です。

障がいのある方に向けた窓口が設けられており、専門スタッフへの相談や職業指導、障がい者雇用枠への応募ができます。

ハローワークで受けられる支援は以下の通りです。

【ハローワークで受けられる支援内容】

  • 職業相談や職業紹介
  • 応募書類の作成サポートや面接準備
  • 障がい者雇用枠への応募
  • 職業訓練の紹介

転職エージェント

転職エージェントは、求人検索サイトと異なり、担当者が面談や手続きするサービスを提供する企業です。

障がいのある方向け、障がい者雇用枠での転職に向けたサービスを提供している企業もあり、キャリアアドバイザーが相談者の障がい特性、希望する条件などをヒアリングしながら転職サポートを行います。

転職エージェントサービスで受けられる支援内容は以下の通りです。

【転職エージェントで受けられる支援内容】

  • キャリアアドバイザーによるカウンセリング
  • 障がいや特性に応じたアドバイス
  • 転職活動全般のサポート
  • 書類添削・模擬面接などの採用試験対策
  • 入社後のアフターフォロー

転職エージェントでは、キャリアに関する相談だけではなく、症状に応じたアドバイスも受けられます。うつ病の既往歴がある方も、安心して相談できるでしょう。
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まとめ

今回は、うつ病がある方がすぐに転職するメリット・デメリットと、仕事を続けるときの注意点をご紹介しました。すぐに転職しなければと思い詰めるよりも、焦らずに休職して様子を見たり、一人で思いつめずに周囲のサポートを受けたりすることが大切です。

誰かに相談したいと感じた方は、支援機関や転職エージェントの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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【本記事監修者】
佐々木規夫様                    

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

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障がい者本人が思いもよらぬ能力を発揮し、成果を出すところを私たちは目の当たりにしてきました。ひとつの求人と出会い、働くことで輝いていく姿は、なにものにも替えがたいものです。マイナビパートナーズ紹介は、これからも障がい当事者と企業の橋渡しをすることで、社会に貢献していきます。

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