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社会不安障害の方に向いている仕事|働きやすくするための対策や職場選びのポイントを紹介

目次

「人とふれあうことが不安」「特定の場面で極度に緊張する」「周囲の視線が気になる」

これらが強くでて社会生活に支障をきたす精神疾患が、社会不安障害です。人前などの社交の場面で困りごとが起きるため、仕事をするうえで不安に思われる方も少なくないでしょう。

本記事では、社会不安障害の症状と働きやすくする対策について解説しています。

社会不安障害に向いている仕事がわからないとお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

社会不安障害は不安障害の一種


社会不安障害は不安障害の一種で、人と関わる状況において不安や緊張が強くなり、社会生活に支障がでる精神疾患を指します。

そもそも、社会と関わる際に感じる不安は、誰にでも起こりうるものです。ただし、生活する上で支障がでるほど不安が強く、それが6ヶ月以上持続する場合には、社会不安障害と判断される可能性があります。

社会不安障害になる原因は、はっきりと解明されていません。以前は性格上の問題として取り扱われていた経緯がありますが、現在では精神疾患で治療によって改善を図れるとわかってきました。

社会不安障害は精神疾患となるので、症状によっては精神障害者保健福祉手帳の対象です。申請には医師の診断書が必要となるので、申請前にお住まいの福祉担当窓口に相談してみるとよいでしょう。

なお、現在では社会不安障害は「社交不安障害」とも呼ばれます。

不安障害の種類

不安障害の種類は、代表的なものは次の4種類です。

【不安障害の種類】

  • パニック障害
  • 社会不安障害(社会恐怖)
  • 強迫性障害
  • 全般性不安障害

パニック障害

理由もなく突然めまい・動悸・呼吸困難などの症状が現れ、場合によっては「死んでしまうのではないか」といった恐怖を感じる障がいが、パニック障害です。

パニック発作は数分程度でピークとなり、数十分程度で収まります。

しかし、予期不安(「また同じ発作が起きるかもしれない」と不安を感じる症状)がでた場合、電車に乗ったり人混みへ外出したりするため行動範囲が制限されることがあります。

社会不安障害

人と関わる状況で強い不安を感じ、社会生活に支障をきたすのが社会不安障害です。

人前でスピーチすることが苦手という症状だけではなく、悪化すると親しい友人と話すのも不安を感じるケースもあります。

人によっては電車や人混みでパニック発作を起こすケースもあり、極度の緊張状態から外出や人と会うことを避けるようになる傾向が見られます。

強迫性障害

強迫性障害とは、頭では理解していても、実際には起こりえない状況に対する不安感から、それが例えバカバカしいと分かりながらも過度にとらわれしまい(強迫観念)、その不安を解消するために無意味で過剰と思われるような行動を繰り返す(強迫行為)疾患です。

具体的には「手が汚れているか気になり繰り返し何度も手を洗う」「鍵を閉めたかどうか不安になり何度も確認する」などが見られます。

本人はその行動が不合理だと理解していてもやめられず、日常生活に支障がでるほど不安を感じてしまうのが特徴です。

全般性不安障害

特定のものや状況が不安の対象となるわけではなく、家族・学校・職場・健康状態などあらゆることが不安の対象となるのが、全般性不安障害です。

不安・イライラなどの精神症状だけではなく、「疲れやすい」「筋肉がこわばる」「眠れない」など、身体症状もあわせて起こることが多く見られます。

また、全般性不安障害はうつ病を併発しやすいといわれています。

社会不安障害の症状

社会不安障害は、人前など注目が集まるような状況において何か失敗して恥をかいてしまうのではないかと考え、強い不安や緊張、恐怖などの症状が生じて社会生活に支障がでてしまう病気です。

おもに次のような症状が現れます。

【社会不安障害の症状の例】

  • 周囲の視線や評価、周囲の人の存在そのものに不安を感じる
  • 人前に出ると顔が赤くなるので恥ずかしいといった不安
  • 緊張で汗をたくさんかいてしまうので恥ずかしいといった不安
  • 特定の場面で強く緊張してしまい平常と同様に振る舞えなくなる不安 など

これらの症状によって、日常生活に支障をきたすほどの恐怖と不安で困りごととなるのが、社会不安障害です。

社会不安障害の方が働きやすくするため対策


社会不安障害と付き合いながら長く仕事を続けるには、次の対策を検討してみるとよいでしょう。

【社会不安障害の方が働きやすくするための対策】

  • 専門医のもとで治療を続ける
  • 生活習慣や食生活を改善する
  • リラックス方法を身につけておく
  • 周りに打ち明け理解を得る
  • 無理せず休む

専門医のもとで治療を続ける

社会不安障害の方には、専門医による継続的な治療が効果的です。

社会不安障害は人との関わりに不安をもつ病気なので、医師やカウンセラーとの関わりにも不安を覚えるかもしれません。

しかし、医師やカウンセラーには専門的な知識があるため、対人不安や緊張を和らげて寄り添ってもらえます。

なお、仕事との両立を図る際には「就業時間中の通院」「勤務時間の変更」「作業内容の変更」など、職場へ理解を得ることも必要です。

そういった際も、医師に相談すればどのように職場へ伝えるとよいか相談にのってもらえます。

生活習慣や食生活の改善

生活習慣や食生活の改善も、社会不安障害の改善につながります。

社会不安障害に限らず、寝不足や暴飲暴食など不規則な生活を送っていると、心身のバランスを崩して体調が悪化しかねません。

ストレスや疲労を貯め込まないようにするために、生活習慣や食生活から気をつけていくことも大切になります。

【生活習慣や食生活の改善例】

  • 睡眠時間をしっかり確保できるよう、寝る時間を決める
  • 散歩やラジオ体操など、適度に体を動かす
  • 食事の栄養バランスを考える など

生活習慣を整えてストレスや疲労を抑えることで、心身の状態が安定して症状の軽快へ近づけられるでしょう。

リラックス方法を身につけておく

社会不安障害の方は、心身をリラックスさせる方法を身につけるとよいでしょう。

社会不安障害のおもな症状として、心身の緊張があげられます。緊張状態が続くとストレスや疲労が積み重なり、症状が更に悪化する可能性も考えられます。

そのようなときには、緊張を和らげられるリラックス方法を導入してみると効果的です。

【リラックス方法の例】

  • 仕事後にゆっくりとお風呂に入る
  • 深呼吸で気持ちを落ち着かせる
  • 勤務中に軽いストレッチを取り入れる など

上の例以外にも、自身に合ったリラックス方法を探して、心身のリラクゼーションを図りましょう。

周りに打ち明け理解を得る

上司や同僚に自分の現状を打ち明け、困りごとを相談してみるのもおすすめの方法です。

もし業務中や勤務途中に具合が悪くなった場合、話をしていないと職場で相談できずに無理をしなければならない状況も考えられるでしょう。

あらかじめ周囲へ理解を得ておくことで、症状が悪化した際に相談しやすくなります。

直接伝えるのが難しい場合、主治医に診断書を書いてもらい、職場への伝え方を相談してみるのもひとつの方法です。

産業医や社内の相談窓口を利用して、職場への伝え方を相談してみるのもよいでしょう。

無理せず休む

体調がどうしてもすぐれない場合は、無理をせずに休むことも選択肢として考えましょう。

もちろん、症状をコントロールしながら仕事を両立することは重要ですが、症状が悪化している時に、無理を続けることによって、さらに悪化するリスクが高まります。

そのため症状によって、業務を続けるのが難しくなってきたと感じた場合、まずは業務量や環境を調整してもらえるように職場へ相談してみましょう。

それでも勤務するのが難しい場合は一時的に休暇をもらうか、場合によっては休職も視野に入れておきます。

休暇や休職する場合は、職場によって規定が異なるため、事前に利用できる制度があるか確認しておくことも大切です。

社会不安障害の方に向いている仕事


「社会不安障害だからこの仕事につけない」といった決まりはありません。しかし、症状によって、業務内容に向き不向きがあります。

自身の症状についてしっかりと理解し、どのような業務内容が合っているかよく検討して仕事探しするとよいでしょう。

【社会不安障害の方に向いている可能性がある仕事の特徴】

  • 業務量にあまりムラが出にくい仕事
  • マイペースに仕事ができる
  • 在宅勤務やテレワークができる仕事

業務量にあまりムラができにくい仕事

日によって業務内容や業務量に差がなく、提携で進められる業務は、社会不安障害の方に比較的向いているといえます。

社会不安障害では、窓口業務や接客業務、長時間の残業を余儀なくされる働き方では、不安や緊張が増して症状の悪化を招くケースが考えられます。

業務内容にあまりムラのない予定を立てやすい定型業務であれば、不安や緊張が強くなることを極力避けられるでしょう。

マイペースに仕事ができる

自分のペースを守りながらできる仕事も、社会不安障害の方に向いている可能性が高いといえるでしょう。

社会不安障害では、周囲の視線や発言が普段以上に気になってしまう症状が見られます。通常では気にならないことでも、症状によっては不安や恐怖を強めてしまうかもしれません。

上司や同僚、得意先などから必要以上に干渉されず、自分のできるペースで仕事できる環境であれば、仕事を進めやすいでしょう。

在宅勤務やテレワークができる仕事

在宅勤務やテレワークが選べる仕事も、社会不安障害の方にとって仕事のしやすさを感じやすくなります。

社会不安障害には、周囲に人がいることで不安や恐怖を感じることがあります。

自分に関係のない視線や発言なども気になってしまう可能性があるため、人前に出る機会の少ない在宅勤務やテレワークといった勤務形態も症状の緩和には有効です。

在宅勤務やテレワークが難しい職種の場合でも、フレックス制度や時差出勤など、通勤に負担の少ない勤務形態を取れると、不安になる機会を減らせる可能性が高いでしょう。

社会不安障害の方が転職したい場合のポイント


社会不安障害の人が転職を考えている場合、次のポイントを押さえると就職活動がうまく進められる可能性が高まります。

  • 職種・業種よりも職場環境が重要
  • 障がい者雇用枠も検討する

職種・業種よりも職場環境が重要!

先ほども述べましたが、社会不安障害があるからといって職種や業種が制限されることはありません。

しかしながら、自身にあった職場を選ばないと、心身への負担が増える可能性も考えられます。

たとえば、大勢の人の前で話したり、接客が求められたりする仕事は避けるほうが、社会不安障害の症状への負担は少なくなります。

また、勤務形態の柔軟さや相談窓口の設置など、働くうえでの困りごとに対応してもらえる環境も働きやすさのポイントとなるでしょう。

転職によって症状が悪化するのは、できるだけ避けたいものです。これまでの職場環境よりも負担の少ない職場を探すことが、転職の成功へとつながるでしょう。

もし、自身の適性や合う職場がよくわからない場合は、ハローワークや障がい者転職特化型の転職エージェントなど、就労支援サービスを利用するのもよい方法です。

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障がい者雇用枠も検討する

障がい者雇用枠を利用して転職するのも、選択肢のひとつとしてあげられます。

障がい者雇用枠とは、「障害者雇用促進法」に基づいて企業が障がいのある方を対象とした雇用枠を設けて、障がい者を採用する制度です。

障がい者雇用枠への応募は、障害者手帳の所有が条件です。障害者手帳の申請には医師の診断書が必要なので、自治体の窓口や主治医に相談してみるとよいでしょう。

障がい者雇用枠を利用するメリット

障がい者雇用枠の利用で、次のメリットが考えられます。

【障がい者雇用枠利用のメリット】

  • 合理的配慮を受けやすい
  • 周囲から病気への理解を得られやすい
  • 障がいを考慮した求人内容となっている など

合理的配慮とは、障がいのある人から社会にあるバリアを取り除くための配慮を求められたときに、企業側が負担が重すぎない範囲で対応しなければならない義務があることを指します。

一般枠で就職した際も合理的配慮を求めることは可能ですが、障がい者雇用枠の利用でより具体的な配慮が期待できます。

また、障がいをオープンにして就職するため、周囲の理解を得られやすいのもメリットです。

障がい者雇用枠の利用は個人の判断となっているため、自身の働き方を考慮して利用するかどうか決めるとよいでしょう。

まとめ

社会不安障害は、人とのコミュニケーションに過度な緊張や不安を持つことで日常生活や社会生活に影響がでる疾患です。

そのため、他人と多くの関わりを持たなければならない仕事に不安を感じる方も多くいらっしゃいます。

最近では、在宅勤務やテレワークなど、多様な働き方を選べるようになってきました。

そのような中から、自身にマッチした職場環境を探すと、体調をコントロールしながら仕事もうまくいく可能性が高まります。

社会不安障害は、適切な治療によって症状の改善が図れます。社会不安障害が疑われる場合は早めに専門医を受診して、仕事や日常生活のアドバイスを受けるようにするとよいでしょう。

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【本記事監修者】
佐々木規夫様                  

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

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