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適応障害の方が仕事で不安(怖い)なことは?|安心して働くポイントと働きやすい職場の見つけ方を紹介!

目次

適応障害は、強いストレスが原因で仕事や学業、家事育児などに支障が生じる精神疾患です。

適応障害の方には「職場が怖くて行けない」「仕事が長続きしない」といった悩みを抱える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、適応障害の症状と対策について解説しています。

適応障害の方が働きやすい職場環境についても解説していますので、仕事が不安だと思い悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

仕事が不安(怖い)!適応障害の症状とは


適応障害とは、日常生活において何らかのストレスが要因となり、社会生活に支障のでる状態を指します。

適応障害は『アメリカ精神医学会DSM‐5』によると「心的外傷およびストレス因関連障害群」に分類され、きっかけになる出来事で強いストレスを感じた際に発症する精神障害です。

きっかけとなる出来事が起きてから1ヶ月以内に発症することが大半で、ストレスになる要因を取り除けば6ヶ月程度で改善するといわれています。

そのため、適応障害と判断された場合はストレス因子を特定し、適切な対策をとることが重要です。

適応障害の主な症状

適応障害になると、心身ともに症状があらわれます。具体例としては、次のとおりです。

【適応障害の主な症状】

精神面の症状 ●憂うつな気分になり落ち込む
●神経質になる
●不安感や焦りがある など
身体面の症状 ●頭痛・めまいがする
●眠れなくなる
●倦怠感がある など
行動面の症状 ●涙もろくなる
●急に大声を出す
●突然怒り出す など


適応障害の症状は「うつ病」とよく似ており、うつ病の予備軍ともいえます。

適切な治療をしなければうつ病となり、治療が長期化することも考えられます。少しでも異変を感じた場合、早めに専門医の治療を受けるようにしましょう。

適応障害で仕事中にあらわれる症状

適応障害によって、仕事中に次のような症状がみられることがあります。

【適応障害で仕事中にあらわれる症状】

  • ●気分の落ち込みがひどく、会社に行けない日がある
  • ●遅刻や欠勤が増えるケースがある
  • ●集中力が低下し、ミスが多くなることがある
  • ●感情の起伏が激しくなり、人間関係に影響することがある
  • ●気持ちが高ぶり、運転が荒くとなることがある など


適応障害の症状は人によって違いがあり、上記以外にもいろいろな症状が見られます。

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適応障害で仕事が不安(怖い)と思う日が続いたらどうすればいい?


「仕事に行くのが不安(怖い)」「仕事に行くと気分が落ち込む」「体調が悪く仕事に行けない」といった日が続き、自身が適応障害かもしれないと感じた場合、次の対処方法をとってみるとよいでしょう。

【適応障害で仕事が不安な(怖い)ときにすべきこと】

  1. 職場の相談窓口を利用する
  2. 異動や業務量の調整を申告する
  3. 心療内科や精神科へ行く
  4. 就労支援を利用する
  5. 休職や転職を検討する

職場の相談窓口・制度を利用する

現在働いている職場に相談できる窓口や制度があれば、利用を検討してみるとよいでしょう。

【職場の相談窓口・制度】

  • 産業医
  • メンタルヘルス研修
  • ストレスチェック制度

産業医

産業医とは、事業所において健康で快適な作業環境のもと仕事ができるよう、専門的立場から指導や助言する医師を指します。

常時50名以上の労働者がいる事業所では、産業医の選任が法律で義務づけられています。

健康上の不安があれば、まずは面談を申込んでみてはいかがでしょうか。仕事と健康の観点から対策をともに考えたり、必要に応じて専門医への紹介などが可能です。

なお、産業医は常勤でない事が多いのでタイムリーな相談が難しいケースも考えられます。

最近ではリモート面談を取り入れる産業医も増えていますので、どのような形で面談してもらえるのか職場の窓口(総務など)に確認してみましょう。

メンタルヘルス研修に参加する

メンタルヘルス研修は、自分の心の健康状態を知り、ストレスに対処する方法を理解するための研修です。

メンタルヘルス研修の実施によって、次の効果が見られます。

  • 自身のメンタル不調に気づき、未然に対処できる
  • メンタル不調者のサインに気づいて早期に対処できる

研修の実施によって、職場全体のメンタルヘルスへの理解が深まり、ストレスに対する向き合い方やストレスへの対処を理解することができるようになります。

メンタルヘルス研修は、すべての企業が導入している研修ではありません。しかし、企業にメンタルヘルス対策が求められる現在、取り組む企業が増加しています。

もし自身の勤め先で研修が実施されている場合は、積極的に受講するのをおすすめします。

ストレスチェック制度

ストレスチェック制度は、定期的に労働者のストレス状況をチェックし、メンタル不調になることを未然に防ぐのを目的とした制度です。

常時50名以上の労働者がいる事業所では実施が義務づけられました(50名未満は努力義務)。

常時勤務している労働者は、ストレスチェックの対象者となります。

フルタイムのパートやアルバイトでも条件(労働時間が通常労働者の4分の3以上、勤務期間が1年以上)を満たしている場合はストレスチェックの対象です。

ストレスチェックの実施によってストレスの高い従業員をピックアップし、メンタル不調者とならないよう職場の改善を進めます。

制度を効果的に運用するには、ストレスチェックの質問に対してありのままに答えることが求められます。

労働者の不利益になる検査結果の取り扱いは禁止されているので、自身の抱える困りごとを遠慮せず答えるようにしましょう。

異動や業務量の調整を相談

職場の異動や業務量について、上司や相談窓口へ相談するのもひとつの方法です。

適応障害の改善には、ストレスの原因となる要素を取り除くことが有効です。

職場内にストレス因子がある場合、同じ環境で勤務すると症状が悪化し、長期治療が必要となる可能性も否めません。

業務の調整ができるかは企業によっても異なりますが、異動や業務量によって症状が出ていると考えられる場合、職場環境の調整を申し出ることも体調を改善させる一つの方法となります。

自ら申し出るのが難しい場合は、産業医や主治医と相談してみるのもよいでしょう。

心療内科や精神科へ行く

心療内科や精神科など、専門医への受診も症状が続く場合は検討ください。

心身の不調を抱えたまま業務に就いても、思うような成果をあげられないことが考えられます。

それがさらにストレスを生み、症状が改善しない悪循環となりかねません。

適応障害の改善には、自身の症状に向き合って理解することが大切です。専門医にかかり客観的な診断を得て、具体的な改善方法を相談するとよいでしょう。

また、通院によって治療薬を出してもらえることがあります。投薬で自身の症状を抑えて、業務に支障が出ない働き方も可能となるでしょう。

就労支援を利用する

公的な就労支援を利用することで、今後どのような働き方をすればよいかアドバイスやサポートを得られます。適応障害の方が利用できる就労支援機関は、次のとおりです。

【適応障害の方が利用できる就労支援機関】

  • 就職移行支援事業所
  • 障害者就業・生活支援センター

就労移行支援事業所 

「就労移行支援事業所」は、病気や障がいが原因で求職中・離職中の方に対して、就労に必要な知識と能力を訓練して一般就労を目指す通所型の支援サービスです。

障がいのある方が利用対象者となるため、適応障害の方も該当します。

地方自治体から指定を受けた施設で運営されており、令和3年現在で全国に3,353カ所あります。

【就労移行支援事業所で受けられる支援内容】

  • 一般就労への移行へ向けた訓練、適性に合った職場探し、就労後の職場定着支援
  • 個別支援計画の進捗状況に応じ、職場実習などのサービスを組み合わせた支援
  • 利用者ごとに原則2年以内で利用可能(必要性が認められた場合最大1年間の延長可)

就労移行支援事業所では、職業スキル・体調管理・症状との向き合い方や対策など、一人ひとりの状況に合わせたサポートを受けられます。

サービスの利用で一般就労へ移行した方の割合は54.7%(令和元年)と、一般就労を目指す方にとっては利用価値が高いといえるでしょう。

障害者就業・生活支援センター

「障害者就業・生活支援センター」は、住居の近隣地域において就業・生活における一体的な支援をおこなう機関です。

基本的には障害者手帳を持つ方が利用対象ですが、医師の診断書があれば手帳がなくても利用できることがあります。

厚生労働省から委託された事業所が運営しており、令和5年4月1日現在、全国337カ所に設置されています。受けられるおもな支援については、次のとおりです。

【障害者就業・生活支援センターで受けられる支援内容】

  • 就業面での相談支援(就業準備訓練、職場実習、職場定着に向けた支援など)
  • 障がい者個人の特性を踏まえた雇用について、企業に対する助言
  • 日常生活・地域生活に関する助言(日常生活の自己管理、地域生活、生活設計への助言など)

障害者就業・生活支援センターは、これから仕事を探す方・現在仕事についている方のいずれも利用可能です。

センターの近隣に住む障がい者の方が対象となるため、地域に密着したサービスが受けられます。

相談は無料でできますので、困りごとがあれば近隣の障害者就業・生活支援センターに連絡してみましょう。

休職や転職を検討する

場合によっては、休職や退職も視野に入れた方がいい時もあります。

適応障害は無理をすると重症化してしまい、うつ病など別の障がいを併発する可能性があります。

治療に専念しつつ復職支援を受けることもできますので、仕事にいくのがつらい時にはいったん休んでみるのもよい選択肢でしょう。

ただし退職については、安易に決めることなく主治医と相談しながら慎重に判断するようにしましょう。

仮に転職するとなった際に利用できる支援サービスには、次のようなものがあります。

【適応障害で転職するときのおすすめのサービス・支援】

  • ハローワーク
  • 転職エージェント

いずれのサービスでも、個人の状況に応じた就職活動をサポートしてもらえます。転職をお考えの際は、両方のサービスを併用するのもひとつの選択肢でしょう。

ハローワーク

「ハローワーク」は、厚生労働省が全国に設置している公共職業安定所です。2023年4月現在、全国に544カ所あります。

おもなサービスは、次のとおりです。

【ハローワークで受けられる支援内容】

  • 職業相談・職業紹介
  • 障がい者の方向け求人の確保
  • 障害者雇用率達成指導と結び付けた職業紹介 など

ハローワークでは就業に関する支援が受けられます。一般の求人窓口以外に、障がいについて専門的な知識を持つ担当者のいる専門窓口が設けられており、障害者手帳を持たない方でも窓口の利用は可能です。

障がい者に向けた書類作成支援や面接指導、個別の求人開拓にも対応しており、他の就労支援機関との連携によって状況に応じた機関の紹介を受けられます。

転職エージェント

「転職エージェント」とは、キャリアアドバイザーが求職者に企業を紹介し、転職を支援するサービスです。

障がい者の方の求人を専門で取り扱う「障がい者転職特化型」の転職エージェントもあり、自身の希望に添った企業を探してもらえます。

【転職エージェントで受けられる支援内容】

  • カウンセリング・転職活動全般のサポート
  • 就職市場・業界情報の提供
  • 書類添削・模擬面接など試験対策
  • 企業への応募・面接日程の調整
  • 転職後のアフターフォロー

転職エージェントへの登録で、就職前から就職後まで手厚いサポートが受けられます。

障がい者雇用枠(障害者手帳を持つ方対象の就職枠)を取り扱う転職エージェントもあり、幅広い企業の求人を知れるのも特徴です。

障害者手帳が必要かどうかは、利用する転職エージェントによって異なります。登録する際に、必要かどうか問い合わせて確認しておきましょう。
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適応障害の方が働きやすい職場環境を探すときのポイント


適応障害の方が働きやすい企業を探すには、次のポイントに注意するとよい職場に出会える可能性が高まります。

【適応障害の方が働きやすい職場環境を探すときのポイント】

  • 自身の症状について理解しておく
  • 勤務形態が柔軟な職場を探す
  • 適応障害の方に向いている仕事は千差万別

自身の症状について理解しておく

就職先を探すうえで、自身の症状をよく理解しておくことは大切です。

適応障害は、どのような要因で発症したのか、どういった症状があるのかなど、個人によって状況は異なります。

自身の症状やストレスの原因を知っておくことで、働きやすいのはどのような環境か具体的にイメージできるでしょう。

客観的に自己分析できない場合、主治医やカウンセラー、就労サービスなどを利用してみるのもよい方法です。

勤務形態が柔軟な職場を探す

勤務形態の柔軟さも、働きやすさに大きく寄与します。

適応障害では、日によって症状の出方に差が見られます。そのような場合に柔軟な対応をとってもらえることで、長期にわたる業務が可能となるでしょう。

具体的には次のとおりです。

【勤務形態が柔軟な例】

  • 通院による時短勤務の許可
  • 通勤ラッシュを避けた時差出勤を認める
  • リモートワーク・自宅勤務の許可 など

また、体調不良の際に相談できる窓口や産業医の有無も、あらかじめチェックしておきたいポイントです。

障がい者雇用枠や特例子会社*への就職も、合理的配慮*を受けやすく働きやすさを感じられる選択肢のひとつとなります。

障がい者転職特化型の転職エージェントを利用すれば、障がいへの理解がある企業を探してもらえます。多くの場合は無料で利用でき、転職後の面談も可能ですので、積極的に利用してみましょう。

*注
特例子会社:障がいのある方の雇用促進と安定を図るため、別途設立された子会社のこと。一般的な企業と比べて、障がいのある方へのサポートや環境が整っているケースが多い     

合理的配慮:障がいのある方から働くうえでのバリアを取り除くため、何らかの対応を求められたときに負担になりすぎない範囲で企業が対応すること

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適応障害の方に向いている仕事は千差万別

「適応障害の人にはこんな仕事がおすすめ」と具体的に紹介できる業種はありません。

適応障害はストレスがおもな要因で発症しますが、要因は人それぞれで異なります。

ある方にとっては働きやすい職種でも、別の方から見ればストレスとなることも大いに考えられるものです。

自分がどのようなときにストレスを強く感じるのかよく理解し、そのような場面に遭遇しにくい職種や職業、職場を探すようにするとよいでしょう。

まとめ

適応障害は、強いストレスが原因で発症する疾患です。症状の改善には、ストレスの要因を取り除くことが有効となります。

適応障害の方は、仕事に行くのが不安で怖い、気分が落ち込むといった症状が見られます。

自身のストレスの原因をよく理解し、ストレスを減らすためにはどのような対策ができるかを考えるようにしましょう。

また、体調の悪化が続くようであれば、専門医を受診するようにしましょう。

治療の過程で、自身の症状をよく理解し、自分に合った働き方がわかれば、安定して長く働き続けるのも可能となるでしょう。

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【本記事監修者】
佐々木規夫様                  

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

 

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マイナビパートナーズ紹介は、マイナビグループの特例子会社である株式会社マイナビパートナーズが手がける、障がい者に特化した求人紹介サービスです。

マイナビパートナーズは設立から4年で100名以上の障がい者を採用してきました。そのノウハウと経験から、障がい当事者には適職をご紹介し、採用企業には、障がい者が活躍できる環境づくりのサポートを行っています。

障がい者本人が思いもよらぬ能力を発揮し、成果を出すところを私たちは目の当たりにしてきました。ひとつの求人と出会い、働くことで輝いていく姿は、なにものにも替えがたいものです。マイナビパートナーズ紹介は、これからも障がい当事者と企業の橋渡しをすることで、社会に貢献していきます。

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