2024年05月31日
ハローワークで障がい者雇用枠の求人を探す方法|仕事を探すときのポイントを解説!
目次
- ハローワークの障がい者向け求人とは
- ハローワークで障がい者向け求人を探すメリット
- ハローワークで障がい者向け求人を探す方法
- 障がい者が仕事を探す時に抑えたいポイント
- 障がい者の方が活用できるそのほかの就労サービス
- まとめ
ハローワークでは、障がい者向けの求人が数多く紹介されています。しかし、どのようにハローワークを利用したらいいのかわからないという方も少なくないでしょう。
本記事では、ハローワークの障がい者向け求人について解説します。またハローワークで求人を探す方法や仕事を探すときに押さえておきたいポイント、活用できる就労サービスをご紹介します。
ハローワークを利用すると、就労に向けた不安や困りごとが相談できるとともに、ご自身に合った働きやすい職場を探すことができます。
障害者手帳を取得したばかりの方や、障がい者雇用枠で就職を考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
ハローワークの障がい者向け求人とは
ハローワークは、公共職業安定所(職安)のことで、国民に安定した雇用機会を確保することを目的とした厚生労働省の機関です。
ハローワークには、「一般向け就労窓口」と、「障がい者専用の就労窓口」の2つの相談窓口があります。
そのうち、障がい者向けの就職について相談できる窓口は「障がい者専用窓口」です。
障がい者専用の就労窓口には、専門的な知識を持つ相談員が配置されており、障がい求人情報の提供や就労に関する相談などの支援を受けられます。
なお、利用できる曜日はハローワークごとに異なるため、希望する方は事前予約をして出向くと良いでしょう。
障がい者雇用枠
専用窓口では「障がい者雇用枠」での求人紹介を受けられます。
障がい者雇用枠とは、障がい者の雇用機会を促進するため設けられた雇用枠のことです。厚生労働省は、自治体や一定以上の従業員のいる企業に対し、障がいのある方の雇用を求めています。
一般枠との違いは、採用試験の時や採用された後に障がいの程度に合わせた合理的配慮を受けられることです。
なお、障がい者雇用枠で就労する場合には、障害者手帳を所有している必要があります。
ただし、ハローワークの障がい者専用の就労窓口は手帳がない方でも利用可能です。
ハローワークで障がい者向け求人を探すメリット
ハローワークで障がい者向け求人を探すメリットは、次の通りです。
【ハローワークで障がい者向け窓口を利用するメリット】
- 就労に関する不安を相談できる
- 就職後も定期的にフォローしてもらえる
以下で詳しく解説します。
就労に関する不安を相談できる
障がいのある方の就労に関する悩みや、不安を相談できることがメリットです。
障がい者専用窓口には、手話や筆談ができる専門的な知識を持つスタッフが配置されており、仕事に関する相談や求人の紹介といったサポートを受けられます。一部のハローワークには、精神障害者雇用トータルサポーターや、発達障害者雇用トータルサポーターなど、専門性に特化したスタッフがいる場所もあります。
自分の適正がわからない場合には、職業適正検査などを受けられ、職業訓練所の紹介などの紹介も受けられます。
また、希望の求人が見つかると、企業側との面接の調整をはじめとして、不安のある方には面接の練習や採用面接に同行してくれるサービスも行っています。
就職後も定期的にフォローしてもらえる
新しい環境で働き始めると、仕事や職場の人間関係、日常生活に関することなど新たな悩みや不安が出てくるでしょう。
ハローワークでは、就職した後も定期的に悩みや不安を相談できる体制が整っています。就職したら、支援を終了するのではなく、長く働き続けるためのサポートやアフターフォローが受けられることも大きなメリットと言えるでしょう。
ハローワークで障がい者向け求人を探す方法
ハローワークで障がい者向けの求人を探す流れは、大きく以下の5ステップです。
【ハローワークの利用方法】
- ハローワークで求職者登録を行う
- 障がい者専用窓口で不安や悩みを相談
- 求人を検索・紹介
- 面接に関する相談
- 面接・採用
以下で詳しく見ていきましょう。
1.ハローワークで求人者登録を行う
ハローワークで求人を探すには、まずは求職者登録を行います。
お住まいの地域にあるハローワークに直接出向き、総合窓口で障がいがあることやその他の状況を伝えます。求職申込書に必要事項を記入して、ハローワークカードを受け取る事で求職申込の登録が完了します。
なお、ハローワークには管轄があり、地域ごとに利用できるハローワークが決められています。
お住まいの地域にあるハローワークは、以下のリンクで検索できます。
2.障がい者専用窓口で不安や悩みを相談
求人者登録を済ませたら、障がい者専用窓口で就職活動や就労に関する不安や悩みを相談しましょう。
たとえば、障がい専門の相談員へ「筆談で採用試験を受けられるか」「採用後は体調や通院に応じて働きたい」など、自身の障がいに応じた配慮について相談できます。
また「自分にはどのような仕事が向いているのか」といった相談も可能です。ハローワークでは必要に応じて職業訓練校などの紹介も受けられます。
3.求人を検索・紹介
ハローワークではご自分に合った方法で、求人検索が可能です。
求職者登録を行った後であれば、自宅にいながらインターネットで検索が可能です。
ハローワークへ出向いて支援員に求人を紹介してもらうことや、ハローワークのパソコンを使って自分で検索もできます。
窓口ではインターネットでは非公開の求人情報を得られる場合もありますし、気になる求人についてより詳しい情報を得られます。
4.面接に関する相談
採用時の面接に関する相談も可能です。
面接の日取りは、ハローワークの担当者に調整してもらうことができます。不安のある方は、模擬面接のサポートも受けられます。
面接が苦手な場合には、事前に企業の面接官にコンタクトをとってもらい不安を伝えたり、支援員が面接に同行してくれたりするケースもありますので、安心して面接に臨みましょう。
5.面接・採用
面接を受け、採用されると雇用契約を結びます。契約の際には、ご自身に必要な合理的配慮について企業側と相談しましょう。
ハローワークは、長く安心して働き続けるために就職後も定期的に面談できるなど、不安や悩みがあるときの相談先として活用できます。
障がい者が仕事を探す時に抑えたいポイント
以下は、障がい者のある方が仕事を探すうえで押さえておきたいポイントです。
【障がい者が仕事を探すときに抑えたいポイント】
- 働きやすい環境が整っているかどうか
- 働き方に柔軟性があるかどうか
- 困った時に相談できる窓口が設置されているか
詳しく見ていきましょう。
働きやすい環境が整っているかどうか
仕事を探す時の大切なポイントの1つに、希望する企業に働きやすい環境が整っているか確認することが挙げられます。
それぞれの障がいの特性に合わせた職場環境が整っていない場合、その企業で働きたくても物理的に働くことは難しいと言えるでしょう。
たとえば、車椅子を利用する方であれば、会社の通路の幅やトイレの設備の確認が必要です。
机の高さを変えられるなど、障がいをフォローできるような支援機器が職場に導入されていることも仕事を探す際のポイントになります。
企業へ応募する際には、できる限り見学に行き、職場の仕事環境をご自分で確認すると良いでしょう。
柔軟な働き方ができるか
企業によっては、フレックスタイム制、短時間勤務、在宅勤務など柔軟な働き方が可能な場合があります。
「通勤ラッシュの時間帯を避けたい」「短い時間であれば働ける」「在宅勤務で集中したい」など働く側のニーズに合わせた柔軟な働き方ができることも仕事探しの大切なポイントです。
柔軟な働き方は、心身の健康を維持しやすくなるため、結果として仕事のパフォーマンスが上がる可能性があります。
困った時に相談できる窓口が設置されているか
職場内に相談窓口が設置されているかどうかも大切なポイントです。
実際に働き始めると、想定していなかった悩みや相談事が出てくるかもしれません。
そのような時に、会社内に相談窓口を設置している企業であれば、気兼ねなく相談に行くことができるため、安心感があります。
相談窓口の有無は会社によって異なりますが、従業員が50人以上の職場(事業場)には、労働者の健康で快適な作業環境について指導したり相談できたりする産業医が選任されています。
また、障がい者向けの転職エージェントをはじめとした支援サービスや、その他の機関では、就職後も相談や面談などのアフターフォローを受けられるので、必要に応じて活用すると良いでしょう。
障がい者の方が活用できるそのほかの就労サービス
障がいのある方が仕事を探すにあたり、困りごとや不安を相談できるサービスや機関は数多くあります。以下は、障がいのある方が活用できる就労サービスです。
【障がい者の方が活用できる就労サービス】
- 就労移行支援事業所
- 地域障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター
- 転職エージェント
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、一般就労を希望している障がいのある方に対して、職場体験や求職活動に関する支援、職場の開拓や就職した職場への定着のために必要な相談などの支援を行っています。
利用期間は原則2年間で、市区町村の行う審査で必要性が認められた場合は最大1年間の延長が可能です。事業所数は2021年1月時点で全国に3,006箇所に設置されています。
対象は一般就労を希望している65歳未満の障がいのある方です。
主な支援内容は以下の4つです。
【就労移行支援事業所で受けられる支援内容】
- 生産活動、職場体験その他の活動の機会の提供を通じて行う、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練
- 求職活動に関する支援
- 利用者の適性に応じた職場の開拓
- 就職後における職場への定着のために必要な相談や支援
仕事に就く前の職業訓練や職場探しの相談、就職後には仕事や職場の人間関係の悩み、金銭管理など実生活に関する相談に乗ってもらえます。
ただし、就労移行支援事業所は求人紹介を行っている場所ではありません。独自のネットワークで就職に繋がるケースはありますが、求人は利用者自身が探す必要があります。スタッフは就職へ向けてサポートをする役割という認識が必要です。
就労移行支援事業所を利用したい場合は、まずは市区町村の障害福祉課などの関連窓口へ相談しましょう。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営し、全国の都道府県に最低1箇所ずつ設置されています。
【障害者就業・生活支援センターで受けられる支援内容】
- 職業評価
- 職業準備支援
- 職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業
- リワーク支援
- 精神障害者総合雇用支援
障がいのある方一人ひとりのニーズに応じた職業評価や職業指導、職業準訓練、職場適応援助などの各種の職業リハビリテーションを実施しています。また事業主に対する専門的な助言や支援も実施しています。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、就業や日常生活上の支援を必要とする障がいのある方に対し、窓口での相談や家庭訪問などを実施する事業所です。
公益法人や社会福祉法人、NPO法人などが運営しており、令和4年4月1日時点で全国に338箇所に設置されています。
対象になるのは何らかの障がいがあり、一般就労を希望しているか、すでに一般就労している方で、障がいの種別や手帳の有無は問われません。
【障害者就業・生活支援センターで受けられる支援内容】
- 就業支援
- 生活支援
- 企業に対する支援
障害者就業・生活支援センターでは、就業面だけでなく、生活面の助言や相談も一体的に受けられることが特徴です。「働きたいけど体調面や生活面に不安がある」という方が利用すると必要なサポートが受けられるでしょう。
転職エージェント
転職エージェントは、転職したい方と採用を行いたい企業とをマッチングさせるサービスです。登録すると、選任のキャリアアドバイザーが求人探しから入社後まで総合的にサポートしてくれます。
転職エージェントの中には、障がい者の方向けの支援サービスを提供している企業もあります。
転職エージェントで受けられる支援内容は以下の通りです。
【転職エージェントで受けられる支援内容】
- カウンセリング
- 求人紹介
- 応募書類の添削や面接の対策
- 入社後のフォロー
転職エージェントを利用すると、求職者、企業側双方のニーズに合わせた提案を受けられるため、採用のミスマッチを防ぐことが可能です。また、ハローワークでは公開されていない非公開求人を扱っていることもあります。
入社に向けた準備から入社後の環境に慣れる為のアフターフォローまで一貫したサービスを受けられます。
Webで簡単に登録できるため、検討してみるのも良いでしょう。
まとめ
障がいのある方が、ご自分の特性や症状に合う就職先を1人で探していくことは簡単なことではないでしょう。
ハローワークの障がい者専門窓口では、障がいに関する専門的な知識のあるスタッフが常駐しています。
専門窓口では、多くの障がい者向けの求人を紹介してくれるだけではなく、障害のある方の就職に向けた相談を受け付け、就職前と就職後のサポート体制も整っているため、安心して利用できます。
さらに、充実したサポートを受けたい場合は、障がいのある方が活用できる支援機関や転職エージェントなどの利用も検討してみましょう。
【本記事監修者】 佐々木規夫様 産業医科大学医学部医学科卒業。 |