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身体障害者の方が仕事を探すときのポイント|受けられる就労サービスと内容も紹介!

目次

身体障害者の方は一人ひとり特性が違うため、仕事を探す際は自身に合った職場を見つけるのが大切です。特性に合わない職場を選んでしまうと、自身のパフォーマンスをうまく発揮できない可能性があります。
この記事では、身体障害者の方が仕事をする上での工夫や、仕事を探す際に気をつけたいポイントを解説します。
どのように仕事を探せばよいか迷われている身体障害者の方は、ぜひ参考になさってください。

身体障害者の範囲

身体障害者とは、身体機能のいずれかに先天的もしくは後天的な理由で障がいのある方をいいます。

「障害者基本法」においては、「身体障害」「知的障害」「精神障害」があり、継続的に日常生活や社会生活に制限を受ける人が障がい者として定義されており、身体障害者の方もその中に含まれます。

身体障害の種類

「身体障害者福祉法」によると、身体障害者とは以下の条件を満たす方をいいます。

【身体障害者とは】

  • 一定以上永続する身体障害があること
  • 18歳以上であること
  • 都道府県知事から身体障害者手帳を交付されていること

上記にある身体障害の種類は、次の表の通りです。

身体障害の種類 概要
視覚障害 視力が低下している、視野が狭まる
聴覚または平衡機能の障害 音が聞こえない・聞こえにくい、体のバランス感覚が低下している
音声機能・言語機能またはそしゃく機能の障害 発声に支障がある、食べ物を噛んで飲み込む機能が低下している
肢体不自由 右手・左手・右足・左足・胴体のいずれかの機能が低下している
内部障害 心臓・肝臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・肝臓・免疫機能(HIVによる)のいずれかが低下している

 

身体障害の等級

身体障害は、一人ひとりの症状に合わせて1~7級までの等級があります。
1級が一番障がいの程度が重く、身体障害の種類によって設定される等級が違います。

身体障害の種類 設定される等級
視覚障害 1級~6級
聴覚または平衡機能の障害 2級~6級
音声機能・言語機能またはそしゃく機能の障害 3級~6級
肢体不自由 1級~7級
内部障害 1級~4級

 

1級から6級に該当する場合、都道府県知事・指定都市市長・中核市市長によって「身体障害者手帳」が交付されます。
7級は単独では交付されませんが、2つ以上の障がいが重複する場合は交付対象です。
身体障害者手帳の等級は、申請する際に指定医師の診断を受け、交付者による審査によって決まります。身体障害者手帳を受けることで、次のようなサービスを受けられます。

  • 公共料金・交通機関の割引
  • 障がい者雇用枠の利用
  • 補装具にかかる費用の助成 など

受けられるサービスは各自治体によって基準が異なるため、お住まいの自治体に確認するようにしましょう。

身体障害者の方が仕事をするときに困ることと工夫

身体障害者の方が仕事をするにあたって、さまざまな原因でストレスを感じたり、困難だと感じたりすることが考えられます。
【身体障害者の方が仕事中に感じる困難や悩みの例】

  •  視覚障害
    暗いところが見えにくい、小さな文字が読みにくい、視野が狭いため足元に不安がある など
  •  聴覚または平衡機能の障害
    会話や指示が聞き取りにくい、会話による意思の疎通がしにくい、歩くとよろめく など
  •  音声機能・言語機能またはそしゃく機能の障害
    話した内容が伝わりにくい、会話による意思の疎通がしにくい など
  •  肢体不自由
    起立や歩行に困難を感じる、長距離の移動に不安がある など
  •  内部障害
    運動量の制限により仕事をセーブしなければならない、疲れやすい、感染症に気をつけなければならない など

上記はあくまでも一例であり、障がいの種類や程度、また個人によって異なります。
仕事を長く続けるためには、自分はどのようなことに困っているのか、どのようなことに強くストレスを感じるのかなど、自分自身の障がいについてよく知っておくのがとても大切です。

働きやすくするための工夫例を紹介しますので、参考にしてください。

【身体障害者の方が仕事するうえでの工夫例】

  • 視覚障害
    照明を明るいものにする、文字表記を拡大する機器を使う、目をできるだけ休める、音声アプリを使う など
  • 聴覚または平衡機能の障害
    メールやチャットを利用する、文字起こしツールなどを使う、座ってできる仕事を選ぶ など
  • 音声機能・言語機能またはそしゃく機能の障害
    メールやチャットを利用する、筆談でコミュニケーションの取れる職場を選ぶ など
  • 肢体不自由
    座ってできる仕事を選ぶ、リモートワーク可能な職場を選ぶ など
  • 内部障害
    フレックスタイムやリモートワーク可能な職場を選ぶ、長時間拘束されない職場を選ぶ など

身体障害者の方が仕事を探すときのポイント

身体障害の方が仕事を探す際、次のポイントを押さえると仕事のしやすい環境を得やすくなります。

【身体障害の方が仕事を探すときのポイント】

  • 障がい者雇用枠の利用も考える
  • 障がい者の方への理解があるか確認する
  • 自身の症状のことを理解し説明できるようにする

障がい者雇用枠の利用も考える

障がい者雇用枠を利用するのも、就職するにあたり考えられる選択肢の一つです。
障がいの開示・非開示や障害者手帳の有無によって、就職先の雇用枠は3種類から選択できます。
【雇用枠の選択肢】

  • 障がい者雇用枠:障害者手帳を保有している人が対象の雇用枠
  • 一般雇用枠(障がいオープン):障がいがあることを開示して就職する
  • 一般雇用枠(障がいクローズ):障がいがあることを開示せずに就職する

なお、身体障害の有無を雇用主へ開示しなければならない義務はないため、伝えるか伝えないかは本人の選択に委ねられます。いずれの選択肢についても、障がいの程度や人によって合う方法が異なるため、自分に合った方法を選ぶのが大切です。

雇用枠の選択肢

・障がい者雇用枠
障がい者雇用枠で働くと、障がいに対する合理的配慮が企業より提供されます。就業後の困りごとなどを面談する機会も設けられ、働くための理解や配慮を得られるのが最大のメリットといえるでしょう。

・一般雇用
一般雇用では、障がいの開示・非開示と2種類の方法があります。
一般雇用で障がいがあるのを開示して就職した場合、雇用主となる事業者の過重な負担にならないときは合理的配慮を受けられます。
本来、合理的配慮は障がい者雇用枠や一般雇用枠といった雇用枠に拠るものではありません。しかし、現実には一般雇用枠においては、配慮の範囲や考え方が企業によっても異なり、必ずしも望む配慮が十分に受けられるとは限りません。
また、障がいに配慮できる程度は業種によっても限られることから、必ずしも自分の希望する企業へ就業するのが望ましいとは限らないという側面があります。
一方、障がいを開示せず就職する方法もあります。職種が限定されず求人が多い反面、障がいへの配慮を受けにくいこともあります。
人によっては心身ともにストレスとなる可能性もあるため、いずれの方法を使って就職するか慎重に決めるのが大切となります。

身体障害者の方への理解があるか確認する

障がい者の方への理解がある会社を選べば、次のようにさまざまな配慮を受けられる可能性が高く、働きやすい環境が整いやすくなります。

【身体障害者の方への配慮】

  • 職務配置に関する配慮:障がいの種類や程度を考慮して配属する など
  • 能力開発に関する配慮:個人の得意分野や特性を生かしたスキルを伸ばすように取り組む など
  • 職場環境に関する配慮:通院のために時短業務ができる、自由に休憩が取れる など
  • 通勤に関する配慮:ラッシュを避けた時差出勤ができる、在宅勤務を選べる など

企業によっては、就業に関する心配ごとを聞いてもらえる相談窓口が設置されているところも増えてきました。
従業員が常時50人以上いる事業場には産業医がいるため、体調管理の相談がしやすい環境ともいえるでしょう。
このように職場に気兼ねなく相談できる窓口や人材があれば、安心感を持って働くことが可能です。
障がい者の方向けの転職エージェントなどの支援サービスでは、就職後も相談や面談などの利用ができるところもありますので、ぜひ利用してみましょう。

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自身の症状のことを理解し説明できるようにする

仕事を探す際には、自身の障がいの症状や特性を理解し、説明できるようにすると適切な配慮を受けやすくなります。
企業が提供する「合理的配慮」の内容と程度は、本人が必要としている配慮であることが求められます。
そのためには本人から「どのような作業が得意・苦手なのか」「どのような配慮があれば作業に支障がないか」など、具体的に説明することが大切です。
企業と本人の認識がずれていると、お互いにとって良い結果とはなりません。誤解を生まないよう、双方ですり合わせできるようにするのがとても重要となります。

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身体障害者の方が活用できる就労サービス

身体障害者の方が仕事を探すにあたって、抱えている心配ごとや不安を相談したり仕事探しに利用できたりできる支援サービスは、次のようなものがあげられます。

【身体障害者の方が活用できる就労サービス】

  • 就職移行支援事業所
  • 地域障害者職業センター
  • 障害者就業・生活支援センター
  • ハローワーク
  • 転職エージェント

就労移行支援事業所

「就労移行支援事業所」は、一般就労を希望する障がい者の方に対して、就労に必要な知識と能力の訓練をする通所型の支援サービスです。

施設は地方自治体から指定を受けており、令和2年現在で全国に3,301の事業所があります。

【就労移行支援事業所で受けられる支援内容】

  • 一般就労への移行へ向けた訓練、適性に合った職場探し、就労後職場定着のための支援など
  • 個別支援計画の進捗状況に応じて、さまざまなサービスを組み合わせた支援
  • 利用者ごとに24ヶ月以内で利用可能(必要性が認められた場合最大1年間の延長あり)

就労移行支援事業所では、職業スキル・体調の管理方法・症状との向き合い方や対策など、個別に対応してもらえるのが特徴です。

地域障害者職業センター

「地域障害者職業センター」は「独立法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」が手掛ける事業です。専門的な職業リハビリテーションサービスを障がい者の方に向けて実施しています。

各都道府県にそれぞれ1~2つずつ設置されており、受けられる支援内容は次の通りです。

【地域障害者職業センターで受けられる支援内容】

  • 職業相談・職業適性の評価・職業リハビリテーション計画の策定
  • 個別の課題に応じた職業準備支援
  • 職場適応援助者(ジョブコーチ)による個人の特性を踏まえた雇用支援
  • 休職している方が職場復帰できるための課題の整理とリワーク支援 など

地域障害者職業センターでは、障がい者の方一人ひとりの特性に合わせた専門的な支援を幅広く受けられるのが特徴です。就職先の紹介や職業訓練は実施されておらず、就職や職場復帰を目指す方への職業相談がメインのサポートとなっています。

障害者就業・生活支援センター

「障害者就業・生活支援センター」(なかぽつ・就ぽつとも呼ばれる)は、障がい者の方の近隣地域において就業・生活における一体的な支援をおこなう機関です。厚生労働省によって、令和4年4月1日現在で全国338カ所に設置されています。

受けられるおもな支援については、次の通りです。

【障害者就業・生活支援センターで受けられる支援内容】

  • 就業に関する相談支援(就業準備、就職活動、職場定着に向けた支援など)
  • 障がいのある方一人ひとりの特性を踏まえた雇用について、事業所に対する助言
  • 日常生活・地域生活に関する助言(日常生活の自己管理、地域生活、生活設計への助言など)
  • 関係機関との連絡調整

障害者就業・生活支援センターは全国に数多くあるため、より地域に密着したサービスが中心となっています。就業と生活の一体的な支援をしているため、生活の自立・安定を目指す方にとってはよいサービスだといえるでしょう。

 

ハローワーク

「ハローワーク」は、厚生労働省が全国に設置している公共職業安定所で、全国に544カ所あります(令和4年4月現在)。

障がいについて専門的な知識を持つ担当者のいる専門窓口が設けられており、仕事に関する情報提供や就職相談など、きめ細やかな支援がなされています。

おもなサービスは、次の通りです。

【ハローワークで受けられる支援内容】

  • 職業相談・職業紹介
  • 障がい者の方向け求人の確保
  • 関係機関と連携した就職支援
  • 採用面接時の同行・採用後の継続的な支援

ハローワークでは、おもに就業に関する支援が実施されています。就労支援機関と連携しているため、相談内容に応じて適切な機関の紹介が受けられるのもハローワークの特徴です。
就業についての相談であれば、まずハローワークを訪ねてみて支援機関の紹介を受けるとうまく進められる可能性が高くなります。

転職エージェント

「転職エージェント」とは、専門のキャリアアドバイザーが求職者個人につき、企業との間を取り持って転職を支援してくれるサービスです。
転職エージェントには、障がい者の方の就職を専門で取り扱う特化型の企業も存在しています。

【転職エージェントで受けられる支援内容】

  • キャリアアドバイザーによるカウンセリング
  • 転職活動のサポート
  • 就職市場・業界情報など最新情報の提供
  • 採用試験対策(書類添削・模擬面接など)
  • 企業への応募・面接日程の調整
  • 入社日までと入社後のサポート

転職エージェントに登録することで、専門性の高いキャリアアドバイザーから手厚い支援を受けられます。

自身の特性や症状などで求職活動に不安のある方でも、キャリアアドバイザーに相談しながら、就職後までサポートを受けて転職活動を進められるのが最大のメリットです。

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まとめ

身体障害者の方は一人ひとり特性が違うため、仕事の探し方や仕事上の工夫については、人それぞれに合った方法があります。

就職先を探すにあたっては、自身の症状や特性を理解してそれに合わせた企業を探すのが大切です。障がい者雇用枠を利用したり、障がいをオープンにしたりすることで、思ったようなパフォーマンスを発揮できる可能性があります。

自身に合った転職先を探すため、転職エージェントをはじめとした各種就労サービスをうまく活用するとよい結果となる可能性が高まるでしょう。

【本記事監修者】
佐々木規夫       

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

 

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