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障害者手帳をお持ちの方におすすめの仕事の探し方|障がい者雇用枠や受けられる支援・サポートを紹介!

目次

障がいのある方が仕事を探す際、どの部分にポイントをおいて探せばよいか、悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。障がいがあるせいで就職できないのではないかと、不安になることもあるかもしれません。

本記事では、障がいのある方が仕事を探す上で気をつけたいポイントについて解説しています。

利用できる雇用枠や就労サービスも解説していますので、就職先に悩まれている方は、ぜひ参考にしてみてください。

障がいのある方は障がい者雇用枠も選択肢

障がいのある方は障がい者雇用枠も選択肢

障がい者雇用とは、事業者が障がいのある方を対象とした雇用枠を設けて、障がい者を採用する制度です。「障害者雇用促進法」という法律に定められており、障がい者の安定雇用を目的としています。

障害者雇用促進法では、企業における障がい者の雇用割合が定められています。

【障害者雇用率制度】
従業員が43.5名以上在籍する事業主において、障がい者の方を次の割合以上雇用しなければならない制度
● 民間企業 2.3%
● 特殊法人など 2.6%
● 国・地方公共団体 2.6%
● 都道府県などの教育委員会 2.5%

 
事業者は上記が義務となっており、履行しない事業主はハローワークから行政指導されます。

障がい者雇用枠で働くメリット

企業が障がい者を採用するにあたっては、2種類の枠を利用できます。

【雇用枠の種類】

  • 障がい者雇用枠:障害者手帳を保有する方が対象の雇用枠
  • 一般雇用枠:上記以外の雇用枠で、誰でも応募可能

障がい者雇用枠と一般雇用枠の違いを簡単にまとめると、次の表のようになります。

  障がい者雇用枠 一般雇用枠
障がいに対する配慮 ×
就職のしやすさ
定着のしやすさ
職種の種類・幅

 
障がい者雇用枠を利用した場合、一般枠を利用するより就職の難易度が下がる傾向が見られます。

また、障がいの特性上必要と企業に認められると、就業時間の短縮や就業時間内の通院など、障がいに対する配慮(合理的配慮)を求めることが可能です。面談の機会が多く設定され、働きやすい環境をより整えやすいメリットがあります。

ただし、配慮可能な職種には限りがあるため、希望職種を選べるとは限りません。

一般雇用枠では、誰でも応募可能なため職種を選ばず就職できますが、上記の配慮は受けられません。

一般雇用枠でも、障がいを開示して就職することが可能です。開示して就職した場合、障がいへの配慮を求められますが、配慮の範囲や考え方が企業によって異なるため、望む配慮を受けられない可能性があります。

上記を踏まえると、障がい者雇用枠で働くのは次のメリットが挙げられるでしょう。

【障がい者雇用枠で働くメリット】

  • 障がいへの理解を得やすい
  • 障がいに対する合理的配慮を受けられる可能性が高い
  • 一般枠よりも就職しやすい
  • 働きやすく職場への定着を望める など

障がい者雇用枠の対象となる障がい

障がい者雇用枠で働くには、障害者手帳を取得していることが条件です。

障害者手帳には「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3種類あり、対象の疾患がそれぞれ異なっています。

【障がい者雇用枠の対象となる障害】

障害者手帳の種類 身体障害者手帳 精神障害者保健福祉手帳 療育手帳
(自治体によって名称の異なる場合がある)
対象疾患 ● 視覚障害
● 聴覚障害
● 平衡機能障害
● 音声・言語・そしゃく機能障害
● 上肢・下肢・体幹障害
● 心臓障害
● じん臓障害
● 呼吸器機能障害
● ぼうこう又は直腸機能障害
● 小腸機能障害
● 肝臓機能障害
● 免疫(ヒト免疫不全)機能障害
● 統合失調症
● 気分障害
● 非定型精神病
● てんかん
● 中毒精神病
● 器質性精神障害(高次脳機能障害含む)
● 発達障害
● そのほかの精神疾患
● 知的障害
等級 1級〜6級 1級〜3級 A(重度)、B(重度以外の中程度)
自治体によって細分化されることもある

参照:厚生労働省「障害者手帳について|厚生労働省」

障がいのある方が仕事を探す時に押さえたいポイント

障がいのある方が仕事を探す時に押さえたいポイント

障がいのある人が仕事探しをするうえで、押さえておきたいポイントを3つ紹介します。

【障がいのある方が仕事を探すときに抑えたいポイント】

  • 障がい者に理解のある職場を選ぶ
  • 自分の得意・不得意を説明できるようにする
  • 就職へのハードル高い場合は就労移行支援などを利用する

障がい者に理解のある職場を選ぶ

障がい者の方への理解がある職場を選ぶことで、さまざまな配慮を受けられる可能性が高くなり、働きやすい環境を整えやすくなります。

実際に考えられる配慮としては、次の例が挙げられます。

【障がい者への配慮例】

  • ラッシュ時間を避けた時差出勤・フレックスタイムの導入
  • 体調不良時は自由に休憩が取れる
  • 時短勤務・在宅勤務を選べる
  • 社内のバリアフリー化
  • 音声で判断できるような声かけの配慮(視覚障害)
  • 筆談の導入(聴覚障害) など

また、企業内に相談窓口が設置されていたり、産業医が専任されていたりする職場を選ぶと、体調管理の相談がしやすく安心感を得られるでしょう。

自分の得意・不得意を説明できるようにする

自身にある障がいの症状や特性を理解し、得意なこととそうでないことを説明できるようにしておくことで、適切な配慮を受けやすくなります。

障がいの特性は千差万別であり、同じ名称の障がいでも症状の出方が異なるものです。得意なことや困りごとについても個人差が大きく、説明をしないと適切な配慮を受けられなくなる可能性が考えられます。

合理的配慮は、本人が必要としている内容であることが求められます。適切な配慮を受けるためには、本人から「どのような作業が得意・不得意か」「どのような配慮があれば作業に支障がでないか」など、具体的に説明することが大切です。

企業と本人の間で認識の違いが出ないように、うまくすり合わせることがたいへん重要となります。

就職へのハードルが高い場合は就労移行支援などを利用する

いきなり就職することに自信がなく不安だという場合には、就労移行支援やハローワークの職業訓練などのサポートを利用するとよいでしょう。

【就労移行支援とは】
一般就労を希望する障がい者の方に対して、就労に必要な知識と能力の訓練をする通所型の支援サービスです。利用者ごとに2年以内で利用期間が設定されます(必要性が認められた場合最大1年間の延長あり)。      

● 一般就労への移行へ向けた訓練、適性に合った職場探し、就労後職場定着のための支援の実施
● 個別支援計画の進捗状況に応じて、さまざまなサービスを組み合わせた支援の実施 など

参照)厚生労働省「障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス」

 

【職業訓練とは】
障がい者を対象として、状況に配慮したきめ細かい訓練を実施します。      

● 国や自治体の設置したリハビリテーションセンターや職業能力開発校でのトレーニング
● 業務委託された企業・社会福祉法人・民間機関での職業訓練の実施 など

参照)厚生労働省「ハロートレーニング(障害者訓練)|厚生労働省」

 
上記を利用することで就業するための能力がつけられ、採用後スムーズに業務が始められるメリットを受けられます。

障がいのある方が障がい者雇用枠の仕事を探す方法

障がいのある方が障がい者雇用枠の仕事を探す方法

障がい者雇用枠の仕事を探す方法としては、次の4つが挙げられます。

【障がいのある方が障がい者雇用枠の仕事を探す方法】

  • 地域障害者職業センター
  • 障害者就業・生活支援センター
  • ハローワーク
  • 転職エージェント

地域障害者職業センター

「地域障害者職業センター」は「独立法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」が手掛ける事業です。専門的な職業リハビリテーションサービスを、障がい者の方に向けて実施しています。

各都道府県にそれぞれ1~2つずつ設置されており、受けられる支援内容は次の通りです。

【地域障害者職業センターで受けられる支援内容】

  • カウンセリングによる一人ひとりに合わせた職業リハビリテーション計画の策定
  • 作業支援や就活・職場対応スキル講習などの職業準備支援
  • 職場適応援助者(ジョブコーチ)による雇用に対する援助
  • 職場復帰するためのリワーク支援 など

地域障害者職業センターでは、一人ひとりの特性に合わせた専門的な支援を幅広く受けられます。

直接的な職業紹介はしていませんが、ハローワークや障害者就業・生活支援センターとも連携しており、就職に向けた支援を受けることが可能です。

障害者就業・生活支援センター

「障害者就業・生活支援センター」(なかぽつ・就ぽつとも呼ばれる)は、身近な地域において就業と生活の両面で支援をおこなう機関です。

各事業所は厚生労働省から委託されており、令和4年4月現在で全国338カ所に設置されています。

受けられるおもな支援については、次の通りです。

【障害者就業・生活支援センターで受けられる支援内容】

  • 就業面での相談支援(就業準備訓練、職場実習のあっせん、職場定着に向けた支援など)
  • 障がい者雇用について、企業に対する助言
  • 日常生活・地域生活に関する助言(自己管理、地域生活、生活設計への助言など)
  • 関係機関との連絡調整

障害者就業・生活支援センターは、事業所近隣の障がい者の方がサービス対象となり、より地域に密着したサービスとなります。

職業の直接的なあっせんはなく、ハローワークとの連携によって求職活動の支援をしています。

ハローワーク

「ハローワーク」は、厚生労働省が全国に設置している公共職業安定所です。障がい者専門窓口が設けられており、障がいについて専門的な知識を持つ担当者によるきめ細やかな支援がおこなわれています。令和4年4月現在、全国に544カ所設置されています。

ハローワークで受けられる主なサービスは、次の通りです。

【ハローワークで受けられる支援内容】

  • 職業相談・職業紹介
  • 障がい者の方向け求人の確保
  • 各種支援機関・職業訓練などの紹介
  • 採用面接時の同行・採用後の継続的な支援

ハローワークでは就職先の紹介を積極的に実施しています。障がい者雇用枠を使用する企業の紹介や職業相談など、多様なサービスが利用可能です。就職に関する困りごとは、まずハローワークに相談してみるとよいでしょう。

転職エージェント

「転職エージェント」は、求職者に対して個別に専門のアドバイザーがつき、さまざまなサポートを受けながら就職先を紹介してもらえるサービスです。

転職エージェントには「障がい者転職特化型」と呼ばれる、障がい者の方の就職を専門で取り扱うところもあります。

【転職エージェントで受けられる支援内容】

  • 就職活動へ向けてのカウンセリング・転職活動全般のサポート
  • 就職市場・業界情報の提供
  • 書類添削・模擬面接など採用試験対策
  • 企業への応募や面接日程の調整
  • 転職後のフォロー

転職エージェントへ登録することで、就職前から就職後まで手厚いサポートが受けられます。

自身の特性や症状など不安のある方でも、アドバイザーに相談しながら転職活動を進められるのがメリットです。障がい者雇用枠の取り扱いのある転職エージェントもあり、希望に添った企業の紹介が受けられる可能性は高いでしょう。

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まとめ

障がいのある方が仕事を探す上で大切なことは、自身の特性を理解することです。また、障がいに配慮してもらえる職場探しも重要となります。

障害者手帳を持っていれば、障がい者雇用枠の利用が可能です。一般枠で仕事を探すよりもハードルの下がる可能性が高いので、利用を検討するとよいでしょう。

また、利用できる就労サービスはできるだけ使って、さまざまな相談をしてみるのもおすすめです。この記事を参考にして、自分に合った職場が探せるように応援しています。

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【本記事監修者】
佐々木規夫様            

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

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障がい者本人が思いもよらぬ能力を発揮し、成果を出すところを私たちは目の当たりにしてきました。ひとつの求人と出会い、働くことで輝いていく姿は、なにものにも替えがたいものです。マイナビパートナーズ紹介は、これからも障がい当事者と企業の橋渡しをすることで、社会に貢献していきます。

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