2024年03月31日
ハローワークで障がい者雇用求人を検索する方法|ハローワークで受けられる就労支援を紹介!
目次
就職を探すために、ハローワークの利用を検討している方も多いのではないでしょうか。しかし、実際にどのようなサービスが受けられるのか、よくわからない方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、ハローワークで障がい者利用枠の求人を探す方法と、受けられる就労サービスについて説明しています。
なお、障害があるからといって就職の際に公表する義務はありませんし、一般雇用枠での応募もできます。この記事を参考にして、障がい者雇用枠と一般雇用枠のどちらが自分に合っているか検討するとよいでしょう。
障がい者雇用枠で働くメリット
障がい者雇用枠とは、企業が障がい者を採用するために定められた雇用枠で、障がい者の安定雇用が運用の目的です。
従業員が40名以上の企業は、一定の割合で障がい者を雇うことが法律(障害者雇用促進法)で決められています。
一般雇用枠での就労が難しい障がい者の採用に関して、一般雇用とは異なる基準の障がい者雇用枠を利用して、障がい者の採用に取り組む企業が一定数あります。
なお、障がい者雇用枠を利用するには障害者手帳の所持が必須となるため、障害者手帳のない方は利用できません。
障がい者雇用枠で働くメリットについては、次の点が挙げられます。
【障がい者雇用枠で働くメリット】
- 障がいに対する合理的配慮が受けられる
- 働きやすく長く続けやすい傾向がある
障がいに対する合理的配慮を求めやすくなる
障がい者雇用枠を利用すると、事業者に対して合理的配慮を求めやすくなります。
【合理的配慮とは】 社会生活を送るうえで、障がいの特性によって出会う困りごとを取り除くための配慮のことです。企業は過重な負担とならない時は、必要かつ合理的な配慮を提供するよう努めなければなりません。 |
合理的配慮は企業から提供されるように法律で決められているため、一般枠で就職した場合も求めることが可能です。
しかし、合理的配慮の具体的な内容は当事者と企業の双方で話し合いを行って決定されます。
合理的配慮として提供する範囲・考え方などは企業によって異なるため、そもそも障がい者の雇用を前提としていない一般枠での採用の場合、求職者の望んだ配慮が受けられない可能性は否めません。
障がい者雇用枠を利用した場合、障がい者の雇用を前提としているため、希望する合理的配慮を比較的求めやすい状況となります。
具体的な合理的配慮の一例を挙げてみます。
- ラッシュ時を避けた時差出勤・フレックスタイムの導入
- 職場においてバリアフリー・ユニバーサルデザインの採用
- 状況によって時短勤務・在宅勤務の選択が可能
- コミュニケーション方法(手話・筆談など)への配慮
- 特性に合わせた職場・業務内容への配置 など
これらの配慮が採用されることで、ストレスなく働ける可能性が高くなります。
働きやすく長く続けやすい傾向がある
障がい者雇用枠で就職した場合、一般枠での就職に比べて離職が少なく、働きやすさを感じて長く働き続けやすい傾向が見られます。
障がい者雇用枠では、雇用の際に合理的配慮を受けられるのが基本です。就業してからも担当者と定期的なミーティングが実施され、困りごとが出た際でも早期解決することが可能となります。
就業してからも企業には障がいに対する理解があるため、職場での困理ごとに対して臨機応変に対応してもらえる可能性が高くなります。
体調不良や通院についても理解があるため、安心して勤務できるメリットが得られるでしょう。
ハローワークで障がい者雇用求人を探す方法
ハローワークは、厚生労働省が全国に設置している公共職業安定所です。令和4年4月現在、全国に544カ所あります。
障がいについて専門的な知識を持つ担当者が在籍しており、障がい者の専門窓口が設けられています。
仕事に関する情報提供や就職相談、就職後のフォローなど、求職者に対してきめ細やかな支援がなされているのが特徴です。
実際にハローワークを利用して障がい者雇用枠の求人を探すには、次の手順で進めていきます。
【ハローワークで障がい者雇用求人を探す方法】
- ハローワークで求職者登録を行う
- 障がい者専用窓口で不安や悩みを相談
- 求人を検索・紹介
- 面接に関する相談
- 面接・採用
1.ハローワークで求人者登録を行う
ハローワークを利用して求職活動を始めるには、まず求職申し込み手続きが必要です。
登録の方法には、直接ハローワークへ出向いて手続きする方法と、自宅のパソコンなどを利用して申し込む方法の2種類です。
ただし、自宅パソコンなどを利用して申し込みする場合は、オンラインでの自主的な就職活動の利用のみに限られます。
障がい者として求職申し込みする場合は、障害者専門窓口のあるハローワークを訪問して利用登録します。
原則として住所を管轄するハローワークへ訪問となりますが、障害者専門窓口が設置されていない場合は、別途事前に問い合わせてみましょう。
自分の住所を管轄するハローワークについては「厚生労働省 全国ハローワークの所在案内」で検索可能です。
ハローワークへ訪問して登録する場合、パソコンへの入力か申込用紙への記入で手続きします。よくわからない場合や入力・記入が難しい場合は、窓口で問い合わせながら進めましょう。
2.障がい者専用窓口で不安や悩みを相談
登録が完了したら、障がい者専用窓口で不安や悩みを相談してみましょう。具体的には、次のような相談が可能です。
- 仕事をしたいが不安に思っている
- どのような仕事がよいかわからない
- 面接でうまく話せる自信がない
- 採用されても続かないのではないか心配だ
相談内容に応じて、必要であれば職業訓練校や専門機関を紹介してもらえます。
3.求人を検索・紹介
相談と並行して、求人の検索と紹介を受けます。
窓口で相談しながら希望条件に合った求人を探したり、ハローワークにあるパソコンを使って求人を検索したりできます。
求人の内容や応募要件など、不明点や気になる点があれば窓口で確認しましょう。
求人者登録が終わっていれば、自宅のパソコンなどを使って求人検索するのも可能です。
しかしながら、窓口だけで紹介している求人もあるため、相談しながら進めるとより希望に近い求人を見つけられる可能性が高まるでしょう。
4.面接に関する相談
応募したい求人が見つかれば、企業への応募へ進みます。
応募には履歴書と、場合によっては職務経歴書が必要です。書き方がよくわからない場合は、ハローワークの窓口でアドバイスをもらいながら作成できます。
書類の準備ができたら、次は面接です。面接の日程や時間は、ハローワークの窓口で調整してもらえます。面接の受け方セミナーも開催されているので、都合が合えば参加してみるとよいでしょう。
また、面接に不安がある場合は、事前に面接官へ伝えてもらったり、場合によっては同行してもらったりということも可能です。
5.面接・採用
面接を受けて採用が決まれば、雇用契約を結びます。
雇用契約を結ぶ前に、面接時に言われたことが書面で明記されているか、労働条件を必ず確認しておきましょう。
どこを確認すればよいかわからない場合は、ハローワークの窓口で相談できます。
採用後でも、なにか不明点や不安なところがあれば、ハローワークの窓口で相談にのってもらえます。ぜひ活用してみましょう。
ハローワークで障がいのある方が受けられる就労サービス
ハローワークでは求人の紹介以外にも、次に挙げるさまざまなサポートが受けられます。
【ハローワークで障がいのある方が受けられる就労サービス】
- ハロートレーニング
- 就職面接会
- 障害者トライアル雇用
- チャレンジ雇用
- 職業訓練などの紹介
ハロートレーニング
ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)は、ハローワークの求職者を対象とした、就職に必要な職業スキル・知識を習得できる公的制度です。
ハローワークの求職者であれば無料で利用でき(テキスト代は別途必要)、3ヶ月から2年の期間で訓練を実施します。年間で約26万人が利用しており、そのうち約8割の方が就職しています。
取り扱っている訓練内容は「事務系」「IT」「建設・製造」「サービス」「介護」「デザイン」「理美容」など多種多様です。内容についてはハローワークのホームページ内から検索可能です。
なお、受講には選考に合格し、ハローワークで受講のあっせんを受ける必要があります。
就職面接会
各地のハローワークが主催する、就職面接会も開催されています。
管内で求人している企業を集めて、ハローワークへ求職登録した方を対象とした、合同面接会を開催しています。
オンライン・オフラインどちらでも開催されているため、参加したいものがあれば事前に対象のハローワークへ確認しておきましょう。
面接会によって対象者が異なり、障がい者を対象としたものも開催されています。多くの企業担当者と直接話ができ、オンラインであれば地元以外の企業とも面接できます。
業種・職種をまたいだ比較が可能となるのも、就職面接会を利用するメリットと言えるでしょう。
障害者トライアル雇用
ハローワークの紹介によって、企業が障がいのある方を試用雇用(原則3ヶ月)する制度です。
企業へ障害者雇用の理解を促し、試行雇用から常用雇用への移行を進めることが目的です。企業には奨励金が支給され、積極的な取り組みを促しています。
トライアル雇用をすることで、企業はどのような形で仕事に取り組んでもらえるか理解可能です。
雇用される障がい者も、実際にどのような業務に就くか事前に理解できるので、常用雇用となった場合にスムーズな移行が可能となるなど、お互いにメリットを享受できます。
チャレンジ雇用
チャレンジ雇用とは、官公庁や各自治体において業務経験を積み、一般企業の障がい者枠への雇用を進めるための制度です。
1年以内の期間を単位として定めて、1~3年非常勤職員として障がい者を雇用したのち、最終的には一般企業への就職につなげます。
非常勤職員としての経験によって、これまで就職経験のない方にも働く機会を作ることも目的の一つで、基本的にはこれまで就業経験の乏しい方が対象です。
期間中に一般企業への就職が決まらなかった場合は、就労移行支援事業所や就労継続支援事業所で働く選択肢があります。
職業訓練などの紹介
ハローワークでは、的確な職業紹介をするため「地域障害者職業センター」「障害者就業・生活支援センター」など、関係機関と連携した就職支援を実施しています。
- 地域障害者職業センター:障がいのある方に対して、専門的な職業リハビリテーションサービスを提供する機関
- 障害者就業・生活支援センター:住居の近隣地域において、就業・生活の一体的な支援をおこなう機関
障がい者雇用の求人探しなら転職エージェントもおすすめ!
障害者雇用の求人を探す場合、転職エージェントの利用もおすすめできます。
転職エージェントとは、専門のキャリアアドバイザーが求職者個人につき、企業との間を取り持って転職を支援するサービスです。
転職エージェントには、障がい者の方の就職を専門で取り扱う「障がい者転職特化型」のサービスもあります。
【転職エージェントで受けられる支援内容】
- キャリアアドバイザーによるカウンセリング・転職活動のサポート
- 就職市場・業界情報など、最新情報の提供
- 書類添削・模擬面接などの採用試験対策
- 企業への応募・面接日程の調整
- 入社日までと入社後のフォロー
転職エージェントに登録することで、専門性の高いキャリアアドバイザーから手厚い支援を受けなから就職活動できます。
自身の特性や症状などで就職に不安のある方でも、就職前の相談から就職後まで一貫したサポートを受けて転職活動を進められるのが最大のメリットです。
障がい者雇用枠の取り扱いのある転職エージェントもあるので、希望に合った企業の紹介が受けられる可能性は高くなるでしょう。
まとめ
障がいのある方が仕事を探すには、障害者手帳を所持しているならば、障がい者雇用枠の利用を検討してみるのも一案です。一般雇用枠と障がい者雇用枠にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、自分の特性に合った方法を選ぶのが大切です。
また、ハローワークではさまざまな就労サービスが利用できます。それぞれの内容を調べてみて、自分に合ったものを探して利用するのもよい方法です。
就職エージェントでも、就職に関するさまざまなサポートと、一般雇用枠と障がい者雇用枠の紹介が受けられます。ハローワークと合わせて、利用を検討してみるとよいでしょう。
【本記事監修者】 佐々木規夫様 産業医科大学医学部医学科卒業。 |