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不安障害の方が長く働き続けるための対策|就職時のポイントや支援を紹介!

目次

不安障害は、不安が強くなることで心身に不調が現れ、日常生活や仕事において支障が生じている疾患のことです。

不安障害の方は仕事において「対人関係の緊張から不安が高まり業務に集中できない」「窓口業務など不特定多数の人と接するような仕事が苦手である」などの困りごとが起こるケースがあります。そのために仕事を続けるのが苦しいと悩んでいる方もいると思います。

しかし、不安障害は適切な治療を行うことやポイントを抑えることで、働き辛さを軽減させることも可能です。

今回は不安障害の種類や、治療方法、安定して働くためのポイントや、活用できる就労サービスについて紹介します。

不安障害とは

不安障害とは

不安障害は「人前で笑われるのではなど不安が高まり、人前に出るのが怖い」といったような過度な不安が影響して日常生活や仕事に影響が出る疾患のことです。

不安障害の中には、「全般性不安障害」「社交不安障害」「強迫性障害」「パニック障害」などの種類があります。

不安障害の種類

不安障害の方は、以下のような症状によって日常生活や仕事で辛い思いをしていることがあります。

  • 全般性不安障害:明確な理由などがなくても、日常生活で不安を強く感じる疾患です。不安だけでなく、落ち着きがない、イライラする、疲れやすい、集中しづらいなどの症状を伴うことがあります。
  • 社交不安障害:「人にどう思われるか気になってしまう」といった、対人関係などで不安が強くなる疾患です。実際に注目されていなくても、電車や繁華街など人が多くいる場所で症状が現れることもあります。その結果、人前に出る機会を避けるようになるなど生活に影響が出るケースがあります。
  • 強迫性障害:嫌なイメージや、それを打ち消すための行動を起こす疾患のことです。例えば、外出中に「火元を消し忘れたかもしれない」といった考えが浮かび、何度も何度も確認しに帰るなど、本人も現実的でないとわかっていても考えや行動が止められなくなるといったことがあります。
  • パニック障害:突然激しい不安に襲われて、身体が震える、息切れがする、汗が噴き出すなどの「パニック発作」を繰り返す疾患のことです。また、パニック発作が起きること自体に不安を感じる「予期不安」や、電車やエレベーターなど発作が起きそうな場所を避けるようになる「広場恐怖」といった症状が現れることもあります。

精神障害に分類されているため、障害者手帳の中の「精神障害者保健福祉手帳」の対象となり、交付されるとさまざまな福祉サービスや税金の控除などを受けることができます。

不安障害の症状によって仕事に与える影響

不安障害の方は不安が強くなることで、不安を打ち消すための行動を繰り返したり、不安のきっかけとなることを避けようとしたるする傾向があります。それによって仕事にも影響が出る可能性があるため、ここでいくつかの例を紹介します。

【不安障害の方が仕事で起こりうる困りごと例】

  • 人前で話す業務など特定の業務を避けることがある
  • 不安感が高まると仕事が手につかないことがある
  • 不安を感じる場面が多く、疲労やストレスを感じやすいことがある
  • 電車に乗ると不安が強くなり、通勤に支障が出ることがある
  • ミスしているかもしれないという不安から過度に確認を繰り返すことがある

ここに挙げた例はあくまで傾向なので、すべての方が感じているわけではありません。不安障害といっても、一人ひとり症状は異なり、職場環境によっても困りごとは様々です。

ここに挙げた例から自分自身に当てはまるもの、当てはまらないものを参考にして、自身の傾向を把握していくことが働きやすい状況を作っていくために大切です。
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不安障害と付き合いながら仕事を続けるための対策

不安障害と付き合いながら仕事を続けるための対策

ここでは、不安障害の方が症状と付き合いながら仕事を続けていくための対策を紹介します。

【不安障害と付き合いながら仕事を続けるための対策】

  • 専門医のもとで治療を続ける
  • 生活習慣や食生活の見直し
  • リラックス方法を身につけておく
  • 無理せず休むことも大切

専門医のもとで治療を続ける

不安障害は治療によって症状を改善していくことができるといわれています。仕事を続けていくためにも、現在通院されていない方は、精神科や心療内科、メンタルクリニックなどを受診して、専門医の元で治療を進めていきましょう。

不安障害の治療では「薬物療法」と「カウンセリング(認知行動療法など)」を中心に進めていきます。

治療には時間がかかることがありますので、仕事をしながら通院する場合は上司や人事に伝えて、通院や治療のために業務時間や業務内容の調整などの相談をしておくことが大事になります。

薬物療法

薬物療法は、薬を服薬することで症状の改善を図る治療法のことです。不安障害の治療では、不安を軽減させるための抗不安薬や抗うつ薬、睡眠に乱れが生じている場合には睡眠導入剤などが使用されます。

カウンセリング(認知行動療法など)

不安障害の治療では、カウンセラーと面談を行いながら不安への対処法を身につけていきます。カウンセリングの中では、疾患について学ぶ「心理教育」や「認知行動療法」などの心理療法が使われる場合もあります。

不安自体は生きるために必要な感情ですが、不安障害の方はそのバランスが崩れて過剰に不安が強くなっている状態といえます。そのバランスを整えていく治療法が認知行動療法です。

このように不安障害の治療では、薬で不安感を緩和させながら、認知行動療法で自身の考え方を調整していくことで、症状の改善を目指していきます。

生活習慣や食生活の見直し

不安障害では医学的な治療を進めるとともに、不安やストレスを感じにくくするために生活習慣や食生活を整えることが大切です。

生活習慣では、睡眠の時間と質を適正にすることが大事とされています。そのためにも、朝起きたら太陽の光を浴びる、適度な運動を行う、ゆっくりと入浴する、同じ時間にベッドに入る、などの規則正しい生活をしていくことが推奨されています。

食事では、朝は簡単なものでも脳のエネルギー源として糖分をとることや、夕食は就寝予定から時間を空けてとるなど、こちらも規則正しい食事が望ましいとされています。

また、コーヒーや緑茶などのカフェインが含まれる食品は、脳を覚醒させる効果があるため就寝予定の5~6時間前から摂取しない方がいいでしょう。同様にタバコやアルコールも就寝前には控えた方がいいといわれています。

ただ、耐性に個人差がありますので、何時以降にコーヒーを飲んだら眠れなくなる、という時間を把握しておくといいでしょう。

リラックス方法を身につけておく

職場でできるリラックス方法を身につけておくと、ストレスをため過ぎずに働くことにつながります。
ここでは具体的な方法をいくつか紹介していきます。

職場でできるリラックス方法

リラックス方法は、「リラクセーション法」とも呼ばれています。

今回は職場でできるものとして、腹式呼吸とストレッチング法を紹介します。

まず腹式呼吸を繰り返すという方法を紹介します。

不安や緊張が強くなると呼吸が浅くなりますので、意識して深い呼吸をすることで気持ちを落ち着ける効果が期待できます。やり方は、以下になります。

  1. 椅子に背筋を伸ばして座り、手をお腹に添える(立っている場合も同様)
  2. 「いち、に、さん」と数えながらゆっくりと口から息を吐きだす
  3. 今度は「いち、に、さん」と数えながら鼻から息を吸う
  4. 以上を5~10分繰り返す

次にストレッチング法です。体の一部を伸ばす簡単なストレッチをすることで、緊張を解きリラックスできるといわれています。方法としては、

  1. 勢いや弾みをつけずに、ゆっくりと伸ばす
  2. 自然な呼吸で行う
  3. 10~30秒伸ばし続ける
  4. 痛みを感じるまで伸ばさない
  5. 伸ばしている箇所に意識を向ける
  6. 笑顔で行う

というやり方です。
どちらも狭いスペースでもできますので、仕事の中に取り入れていけるといいでしょう。

その他のリラックス方法

ほかにも職場でできるリラックス方法をいくつか紹介します。
次のような方法もあります。

  • 休憩時間に好きな音楽を聴く
  • ハンカチに好きなアロマを染み込ませて匂いをかぐ
  • リラックス効果のあるハーブティーを飲む
  • ランチは一人で食べるようにする
  • 不安を紙に書き出す

こちらは個人の趣向によって効果が大きく変わりますので、自分に合った方法を試していきましょう。

無理せず休むことも大切

仕事を行ううえでストレスはどうしても無くならないものです。体調が整っているときは適度なストレスは「いい刺激」となって、モチベーションにもなりますが、過剰なストレスは体調悪化につながることがあります。また、治療を行う場合も、一度療養してゆっくり時間をかけて回復させた方が効果的な場合もあります。

仕事を休むには有給休暇を計画的に取得していく、という方法や、仕事を続けることが困難な場合は、休職制度を活用する、という方法があります。休職制度の有無は企業によって異なりますので、就業規則や人事部に確認してみるといいでしょう。

休職したときにお金が心配、という方もいると思います。そんな時に活用できる制度として、傷病手当金という制度があります。健康保険加入者は最大1年6ヶ月の間、手当が支給されます。ただし、受給するには要件がありますので、健康保険組合や会社の人事部に確認するといいでしょう。

不安障害の方が就職するときに大切なポイント

不安障害の方が就職するときに大切なポイント

ここでは、不安障害の方がこれから就職や職場復帰する際に大切となるポイントを3つ紹介していきます。

【不安障害の方が就職するとき大切なポイント】

  • 自身にあった職場環境で働く
  • 職場復帰や就職の際には就労支援を活用する
  • 障がい者雇用枠も検討する

自身にあった職場環境で働く

不安障害の方が無理せず仕事を続けるためには、当然のことながら自分に合った職場環境で働くことが大事です。自分に合っている環境とは、なるべくストレスや不安を感じる機会が少ない症状をコントロールしやすい職場ともいえるでしょう。

ここではまず、不安障害の方が働きやすいと感じる環境例をいくつか紹介します。

不安障害の方が働きやすい環境例

  • しっかりとしたマニュアルがある
  • 業務が一定で変化が少ない
  • 働き方に柔軟性がある
  • 相談窓口がある

マニュアルがあることや業務の内容が一定な職場では判断に迷うことが少なくなり、結果的に不安を感じる機会が減少することがあります。また、フレックスタイム制や在宅勤務が可能な職場だと、通勤ラッシュや、人や音などの刺激を避けることができて不安軽減につながっていきます。

他にも、社内にメンタルヘルスについて相談できる窓口が設置されている職場だと、困ったことがあったときにすぐ相談ができて安心感をもって働きやすくなるでしょう。窓口がなくても、「困ったときはこの人に相談する」というのが決まっている職場であれば、同様に安心感を得ることにつながっていきます。

ただ、不安を感じる場面は人によって異なります。チームで作業すると安心する方も、個人で取り組む業務の方がストレスなく進められる方もいます。

大切なのは、自分がどんなことに不安になるのか、またどんな業務や環境だとストレスなく働けるかを整理していくことです。一人で整理することが難しいと感じる方は、転職エージェントなど就職活動をサポートするサービスの相談することを検討するといいでしょう。

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職場復帰や就職の際には就労サービスを活用する

不安障害の方が休職から職場復帰する際や、新しく仕事を探す場合は、就労サービスを活用していくことも選択肢の一つです。

就労サービスでは、障がいのある方への支援経験のあるスタッフにより、不安を感じる場面や得意不得意の整理、就職活動、働いた後の定着支援などのサポートを受けることができます。ここではいくつかの就労サービスを簡単に紹介していきます。

不安障害の方が利用できる就労サービス

不安障害の方が利用できる就労サービスを、以下に示します。

就労移行支援事業所 65歳未満の障がいのある方を対象とした支援機関です。働くための知識やスキルの訓練や講習の提供、就職活動のサポートとともに、就職後も働き続けるための定着支援も提供しています。
地域障害者職業センター 専門的な技法により障がいのある方の就職をサポートする支援機関です。一人ひとりに職業リハビリテーション計画の作成、スキルや知識を身につける職業準備訓練や就職活動のサポートを提供、就職後にも職場に専門のスタッフの派遣するジョブコーチ支援を行っています。
障害者就業・生活支援センター 障がいのある方へ、就職だけでなく生活のサポートも行っている支援機関です。仕事の悩みの相談や職業準備訓練の提供、就職活動、定着支援の提供の他、年金な住居など生活に関する相談も受け付けています。
ハローワーク ハローワークには障がいのある方を対象とした専用の窓口があり、障がいのある方の就職に詳しいスタッフが担当として就職活動のサポートを行っているほか、合同面接会や各種セミナー・訓練の案内なども行っています。
転職エージェント 専門のキャリアアドバイザーなどによる面談を通して、その方にマッチした求人の紹介をしているサービスです。障がいのある方向けのサービスを提供している企業もあり、不安障害などの障がい特性に合わせた求人の紹介や、面接などの手続き代行、就職した後のフォローアップなど幅広いサービスを提供しています。

 

障がい者雇用枠も検討する

不安障害のある方は、障がい者雇用枠で働くという選択肢もあります。

障がい者雇用とは、一定以上の従業員がいる企業などは障がいのある方を雇用することが定められた制度のことです。令和5年時点では、40人以上の従業員がいる民間企業は1人以上雇用することになっています。

5名以上の障がいのある労働者を雇用する事業所では「障害者職業生活相談員」などの担当スタッフがいて、比較的職場の環境が整っていることや困ったことがあったときに相談しやすいというメリットがあります。

合理的配慮を検討する

また、合理的配慮といって障がいのある方から申し出があったときに、働きやすくするための対応を職場に義務付けている制度があります。

不安障害のある方の合理的配慮例としては、以下のようなものがあります。

  • 不安が強くなったときは休憩スペースを使用する
  • 新しい業務をするときは前もって予告をするようにする
  • 満員電車を避けるために勤務時間をずらす
  • 通院日に有休をとりやすくする

合理的配慮自体は、障がい者雇用枠で働くことで、相談しやすく希望も通りやすい傾向があります。

ただし、障がい者雇用枠で働くためには、障害者手帳を所持していることが条件になります。不安障害の方は、精神障害者保健福祉手帳の対象となります。

障害者手帳の取得には申請が必要ですので、検討される方は主治医や自治体の障害福祉窓口へご相談ください。

不安障害の方の就活には転職エージェントがおすすめ

不安障害の方の就活には転職エージェントがおすすめ

不安障害の方の就活には、転職エージェントを利用することも方法の一つです。

転職エージェントでは、キャリアアドバイザーなどのスタッフとこれまでの経歴やスキル、希望する条件などを棚卸しするキャリア相談を通して、その方に適した求人の紹介をしていきます。

求人の紹介だけでなく、履歴書や職務経歴書などの書類の添削や面接の練習といったサポート、企業との面接日程の調整や入社手続きなどの代行、入社後のフォローアップなどさまざまなサービスを提供しています。

【転職エージェントで受けられるサービス】

  • キャリア相談
  • 求人の紹介
  • 就職活動のサポート
  • 面接や入社の手続き代行
  • 就職後のフォローアップ

さらに、転職エージェントの中には障がいのある方向けのサービスを提供している企業もあります。

上記のサービスを受けることができる他に、障がいのある方への専門的なスタッフにより、不安障害の症状やその方の得意不得意、ストレスの感じやすい環境などを整理したうえで、マッチする求人の紹介を受けることができます。

面接や企業とのやりとりで緊張する方や、働いた後が不安、という方にもサポートしてまいりますので、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

不安障害とは、様々な要因で不安が強くなり、心身に症状が現れる疾患のことです。
仕事をする中では「不安が高まって業務に集中できないことがある」「人前で発表するなど特定の業務を避けることがある」など、困りごとが生じることがあります。

不安が高まる要因や現れる症状は人それぞれなので、自分自身に合った対策や職場環境を見つけていくことが重要になります。

不安障害の方が利用できる就労サービスがありますので、長く安定して働くためには一人で抱え込まずにサポートを受けながら就職活動を進めていくといいでしょう。

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【本記事監修者】
佐々木規夫様              

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

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障がい者本人が思いもよらぬ能力を発揮し、成果を出すところを私たちは目の当たりにしてきました。ひとつの求人と出会い、働くことで輝いていく姿は、なにものにも替えがたいものです。マイナビパートナーズ紹介は、これからも障がい当事者と企業の橋渡しをすることで、社会に貢献していきます。

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