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転換性障害の方が仕事を探す時のポイント|長く続けるための工夫や対策・支援を紹介!

目次

転換性障害は、過度なストレスや心理的葛藤によって引き起こされると考えられています。人によって症状がさまざまであるため、就職するにあたっては一人ひとりに合った合理的配慮を得ることがとても大切です。

この記事では、転換性障害の方が長く仕事を続けるためにどのような工夫や対策が必要か詳しく解説します。利用できる就労サービスについてもご紹介しますので、就職に不安を持っている転換性障害のある方はぜひ参考にしてください。

転換性障害とは

転換性障害は身体症状症の中の一つであり、以前は「(転換型)ヒステリー」とも呼ばれていました。
身体の不調は見られないにもかかわらず運動や感覚機能が低下し、症状が現れる疾患です。
現在でもはっきりとした原因はわかっておらず、「心理的葛藤」「過度のストレス」「喪失体験」などの要因で発症すると言われています。
発症すると運動能力や感覚機能に症状が出るため、仕事をする上で働きにくさや不安を感じるケースが考えられます。

転換性障害の主な症状

転換型障害の主な症状は、次の通りです。

【転換性障害の症状例】

転換性障害 特徴的な症状例
運動症状 ・手足が麻痺する ・力が入らない ・尿が出にくくなる
・手足が震える ・ものが飲み込めない など
感覚症状 ・目が見えなくなる ・耳が聞こえなくなる ・においがわからなくなる
・物に触れても感覚がなくなる ・声が出なくなる など
発作症状 ・意識が遠のく ・けいれんやひきつけを起こす など

転換性障害の中で「意識が遠のく」など、「てんかん」とよく似た症状の出るケースがありますが、転換性障害とてんかんはまったく異なる疾患です。同じように見える発作症状でも、てんかんでは脳波の異常が見られる一方、転換性障害では見られないなどの違いがあります。

解離性障害との違い

転換性障害とよく似ている疾患に、「解離性障害」があります。
いずれもストレスなど発症の要因は同じですが、身体面に症状が出るものを転換性障害、精神面の症状が出るものを解離性障害として区別しています。解離性障害でよく見られる症状は、以下の通りです。

【解離性障害の症状例】

解離性障害 特徴的な症状例
解離性健忘 特定の場面や時間などの記憶が抜け落ちる など
解離性同一性障害 自分の中に複数の人格を持ち交代で現れる など
離人感 自分が自分でないように感じる、自分の感情がわからなくなる など
現実感消失症 周囲が非現実的で夢の中にいるように感じる など

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転換性障害の方が仕事をするうえで困っているこ


転換性障害のある方が抱えやすい仕事上の困難や悩みとしては、次のような例が挙げられます。

【転換性障害の方が仕事中に感じる困難や悩み】

  • 突然意識がなくなり、周囲に迷惑をかけないか不安を感じる
  • 手や足に力が入らず、思うようなパフォーマンスができなくなる
  • 耳が聞こえなくなったり声が出なくなったりすると、意思の疎通がしにくくなる
  • 急に目が見えなくなると、大きな事故につながる可能性がある
  • ストレスによって症状がひどくなり、仕事を続けるのがつらくなる

転換性障害の場合、強いストレスがきっかけで症状が強くでる傾向があります。
ストレスを感じるのはどのような場面か、どのような症状で困っているのかなど、ご自身の状況を把握して働くことが大切です。

転換性障害の方が長く仕事を続けるための工夫


転換性障害のある方にとっては、強いストレスは仕事をする上で大敵だと言えるでしょう。
できるだけ長く安定して仕事をするためにも、ストレスを少なくするような工夫が必要です。

【転換性障害の方が長く仕事を続けるための工夫】

  • 定期的に治療カウンセリングを受ける
  • 生活習慣を整える
  • スポーツや音楽など、自分に合ったストレス発散方法を見つける
  • 信頼のおける上司や同僚、産業医などに相談する
  • 調子の悪いときに配慮してもらえる職場を探す

上記はあくまで一例であり、すべての方にあてはまるわけではありません。ストレスをできる限り軽減して長く仕事を続けるために、自分なりに考えて工夫してみるとよいでしょう。

転換性障害の方が仕事を探すときのポイント


転換性障害のある方が仕事を探す際には、次にあげるポイントを考慮するとよいでしょう。
【転換性障害の方が仕事を探すときのポイント】

  • 障がい者雇用枠も検討する
  • 働きやすい環境が整っているか確認する
  • 自身の障がいの症状について説明できるようにしておく

障がい者雇用枠も検討する

就職活動をする際に、障がい者雇用枠の利用を検討するのも一つの方法です。障がい者雇用には「障がいの開示の有無」「障害者手帳の有無」によって、3種類の選択肢があります。
【雇用枠の選択肢】

  • 障がい者雇用:障害者手帳を保有している人が対象の雇用枠
  • 一般雇用(障がいオープン):障がいがあることを開示して就職する
  • 一般雇用(障がいクローズ):障がいがあることを開示せずに就職する

上記の選択肢には、それぞれメリットとデメリットがあります。自分の特性に合った方法を検討して選ぶのが賢明です。

障がい者雇用

従業員が一定以上の企業においては、障がい者を雇用しなければならない(民間企業では全社員の2.5%以上)という義務があります。その障がい者雇用枠で就職するのが、障がい者雇用です。
障がい者雇用枠で働くと、障がいに対する差別の禁止と合理的配慮が企業より提供されるため、働く上で安心感が得られます。
また、就業後の困りごとなどを個別に面談する機会も設けられるなど、働くための理解や配慮があるのがメリットだと言えるでしょう。
ただし、障がい者雇用枠で働くためには、障害者手帳の所持が必須であり、転換性障害では「精神障害者保健福祉手帳」が該当します。
お住まいの自治体への申請が必要ですので、検討する際には担当窓口へ問い合わせてください。

一般雇用(障がいオープン・クローズ)

一般雇用の場合には、障がいの開示・非開示という2つの方法があります。

一般雇用で転換性障害があることを開示して就職した場合、「就業時間の短縮」「就業時間内の通院」など、障がいの特性上必要と認められる合理的配慮を求めることができます。
なお、一般雇用枠においては配慮の範囲や考え方が企業によっても異なるため、必ずしも望む配慮が十分に得られるとは限りません。
一般雇用の場合、障害者手帳は必須ではなく、医師の診断書など障がいがあることを証明できる書類があれば問題ありません。
ただし、障がいに配慮可能な職種に限られるため、求人数が比較的少なく、自分の希望する職種の求人がないケースも想定されます。
一方、障がいを開示せずに一般雇用で就職する方法もあります。職業や職種が限定されず求人が多い反面、障がいに対する合理的配慮は受けられません。
ケースによっては心身ともさらにストレスを溜め込み、症状が悪化する可能性もあるため、どの方法を利用するか慎重に選ぶことが大切です。

働きやすい環境が整っているか確認する

働きやすい環境が整っているかどうかは、転換性障害のある方が仕事を探す上で非常に大きな要素です。
例えば、次のような環境のある企業を選ぶと、働く上でのストレスが軽減される可能性があります。
【転換性障害の方が働きやすい環境例】

  • 働き方に柔軟性がある
  • 勤務時間に融通がきく
  • いつでも相談できる窓口がある

在宅勤務や時短勤務など、働き方の選択肢に幅のある企業であれば、自分の体調に合わせて働き方をコントロールしやすくなります。
また、会社全体でメンタルヘルス対策に取り組み、相談窓口を設ける企業も増えてきました。労働者が50名以上いる事業場では産業医がいるため、健康を維持しながら働く方法について相談することも可能です。
就職するにあたり、どういった環境であればよい状態で勤務できるかご自身で理解し、自分に合った企業を探すことが大切です。
障がい者向けの転職エージェントや就労サービスなどには、就職後の相談や面談などアフターフォローが利用できるものもありますので、ぜひ積極的に利用してみましょう。
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自身の障がいの症状について説明できるようにしておく

就職の際、ご自身の障がいの症状や特性を説明できるようにしておくと、適切な配慮を受けやすくなります。
職場で受けられる合理的配慮については、すべて職場に考えてもらうものではありません。また、ご自身が求める配慮が職場で提供されるものとずれていると、双方にとって負担となる可能性がありますので注意が必要です。

【転換性障害の方があらかじめ職場に伝えておきたいこと】

  • どのような時に症状が出やすいのか
  • 負担のかからない作業はどのようなものか
  • 具体的にどのような配慮が必要か など

職場で適切な配慮を受けるためには、ご自身の障がい特性や症状を理解し、職場に説明できるよう準備しておくとよいでしょう。

転換性障害の方が活用できる就労サービス


転換性障害のある方が仕事を探すにあたり、抱えている悩みや不安を相談できるサービスが数多くあります。転換性障害の方が仕事探しに関して受けられる就労サービスは、次の通りです。

【転換性障害の方が活用できる就労サービス】

  • 就職移行支援事業所
  • 地域障害者職業センター
  • 障害者就業・生活支援センター
  • ハローワーク
  • 転職エージェント

就労移行支援事業所

「就労移行支援事業所」は、一般就労を希望する障がい者に対して、就労に必要な知識と能力の訓練をする通所型のサービスです。
地方自治体から指定を受けた施設でサービスを提供しており、令和2年現在で全国に3,301の事業所があります。
【就労移行支援事業所で受けられる支援内容】

  • 一般就労への移行に向けて、就労に必要な訓練、適性に合った職場探し、就労後職場定着のための支援などを実施
  • 個別支援計画の進捗状況に応じた、さまざまなサービスを組み合わせた支援
  • 利用者ごとに24ヶ月内で利用期間を設定、必要性が認められた場合最大1年間の更新可能

個別の支援計画に基づいたプログラムによって、職業スキルや体調管理方法などを学べます。利用期間が2年あるため、一般就労を希望する転換性障害のある方にとっては、焦ることなく利用できるのが魅力です。

地域障害者職業センター

「地域障害者職業センター」は「独立法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」が手掛ける事業です。障がい者に対して、専門的な職業リハビリテーションサービスを提供しています。
都道府県ごとに設置されており、受けられる支援内容は主に次の通りです。
【地域障害者職業センターで受けられる支援内容】

  • 職業相談・職業評価を踏まえた職業リハビリテーション計画の策定
  • 面談を通して個別でカリキュラムを組む職業準備支援
  • 職場適応援助者(ジョブコーチ)による個人の特性を踏まえた援助
  • 休職から職場復帰できるためのリワーク支援 など

地域障害者職業センターでは職業紹介や職業訓練はしておらず、あくまでも職業選択や職業生活に関するサポートがメインです。

障害者就業・生活支援センター

「障害者就業・生活支援センター」(なかぽつ・就ぽつなどと呼ばれる)は、障がい者の身近な地域において就業・生活における一体的な支援を行う機関です。
厚生労働省によって、全国338カ所に設置されています(令和4年4月1日現在)。
障害者就業・生活支援センターで受けられる主な支援は、次の通りです。

【障害者就業・生活支援センターで受けられる支援内容】

  • 就業に関する相談支援(就業準備、就職活動、職場定着に向けた支援など)
  • 障がいのある方一人ひとりの特性を踏まえた雇用について、事業所に対する助言
  • 日常生活・地域生活に関する助言(日常生活の自己管理、地域生活、生活設計への助言など)
  • 関係機関との連絡調整

障害者就業・生活支援センターは全国に数多くあるため訪問しやすく、より地域に密着したサービスが中心です。
就職と合わせて暮らしの相談も受け付けているため、生活全般の相談をしたい方に向いているでしょう。

ハローワーク

「ハローワーク」は、厚生労働省が全国に設置している公共職業安定所です。障がい者専門窓口が設けられており、障がいについて専門的な知識を持つ担当者によるきめ細やかな支援が行われています。
ハローワークで受けられる主なサービスは、次の通りです。
【ハローワークで受けられる支援内容】

  • 職業相談・職業紹介
  • 障がい者向け求人の確保
  • 各種支援機関・職業訓練などの紹介
  • 採用面接時の同行・採用後の継続的な支援

ハローワークでは求人の紹介や職業訓練の他、各種就労支援機関と連携した就職支援も実施しています。障害者手帳がなくてもサービスを利用できるため、就職を考えている場合はまず専門窓口で相談してみるとよいでしょう。

転職エージェント

「転職エージェント」とは、専門のキャリアアドバイザーが求職者と企業を取り持って転職を支援してくれるサービスのことです。転職エージェントの中には、障がい者の就職を専門で取り扱っているところも存在します。
転職エージェントで受けられる主な支援内容は、以下の通りです。
【転職エージェントで受けられる支援内容】

  • キャリアアドバイザーのカウンセリング
  • 転職活動の進めるうえでのサポート
  • 就職市場などの情報提供
  • 書類添削・模擬面接などの採用試験対策
  • 企業への応募や面接日程の調整
  • 入社日までにする手続きのサポート

転職エージェントを利用することで、専門性の高いキャリアアドバイザーにより就職前から就職後まで手厚いサポートが受けられます。
ご自身の特性や症状などで求職活動に不安のある方でも、キャリアアドバイザーに相談しながら転職活動を進められるのが最大のメリットです。
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まとめ

転換性障害の発症原因はわかっていませんが、心理的葛藤や過度のストレスなどが原因だと考えられています。
そのため、仕事で強いストレスを感じると、症状が悪化してしまう可能性も否定できません。そのような事態を避けるためにも、ご自身の症状や特性をよく理解し、できるだけストレスの少ない職場を探すことが大切だと言えるでしょう。

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【本記事監修者】
佐々木規夫様        

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

 

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マイナビパートナーズ紹介は、マイナビグループの特例子会社である株式会社マイナビパートナーズが手がける、障がい者に特化した求人紹介サービスです。

マイナビパートナーズは設立から4年で100名以上の障がい者を採用してきました。そのノウハウと経験から、障がい当事者には適職をご紹介し、採用企業には、障がい者が活躍できる環境づくりのサポートを行っています。

障がい者本人が思いもよらぬ能力を発揮し、成果を出すところを私たちは目の当たりにしてきました。ひとつの求人と出会い、働くことで輝いていく姿は、なにものにも替えがたいものです。マイナビパートナーズ紹介は、これからも障がい当事者と企業の橋渡しをすることで、社会に貢献していきます。

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