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気分障害の方が就職の悩みや不安を相談できるサービス・支援先|職場選びのポイントも紹介!

目次

気分障害の方が就職するにあたっては、さまざまな困りごとや悩みが出てくるケースが想定されます。ご自身の特性に合わない職場であると、症状が悪化してしまう可能性もあるかもしれません。

この記事では、気分障害の方が働きやすい職場選びのポイントや、活用できる就労サービスについてご紹介します。就労サービスの内容についても解説しますので、利用をお考えの方はぜひ参考にしてください。

※現在『DSM-5』での診断区分では気分障害というカテゴリーはなくなり、「抑うつ障害群」、「双極性障害および関連障害群」 に分かれておりますが、本記事では気分障害として掲載しております。

参考資料:
https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/dsm-5_guideline.pdf

気分障害とは

気分障害とは精神疾患の中の一つで、気分が高揚したり落ち込んだりすることが一定期間継続する疾患です。

喜怒哀楽や快・不快、表情やしぐさで表現する部分に症状が出るため、「感情障害」とも呼ばれています。

気分障害があると、気分の上がり下がりによって日常生活や社会生活に支障をきたすケースが少なくありません。

気分障害に該当するのは、主に以下2つです。

  • うつ病(大うつ病): 「一日中気分が落ち込んでいる」「何をしても楽しめない」といった精神症状、「眠れない」「食欲がない」「疲れやすい」といった身体症状が現れる病気です。
  • 双極性障害(躁うつ病):ハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態を繰り返す病気です。

この2つは混同されがちなのですが違う疾患であり、治療法もそれぞれ異なります。
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気分障害によるお困りごとや悩み

気分障害の方が就職するにあたり、以下に挙げるような困りごとや悩みが出てくることが考えられます。

【気分障害によるお困りごとや悩み】

  • 体調が安定しにくいことがある
  • 疲れを感じやすい日がある
  • 仕事のパフォーマンスが安定しにくいことがある
  • 注意力が散漫になり、集中しにくいことがある
  • 何ごとも悪い方へと考えてしまいがちになる

気分障害の方は、ご自身の体調だけではなく、周囲にも迷惑をかけていないか自己嫌悪に陥るなど、精神的に辛いと感じる方もいらっしゃいます。

また、気分障害の症状は個人差があり、誰でも決まった症状が出るわけではありません。

どのようなことがあると困るのか、ストレスを感じるのはどういう状況下にある場合なのかなど、ご自身の状態をよく知っておくことも働く上で非常に大切です。

気分障害の方が働きやすい職場選びのポイント

気分障害の方が就職活動をするにあたっては、以下のポイントを参考にするとよいでしょう。

職種や業種を限定するよりも、職場の雰囲気がご自身に合っているかどうかという点を重視することで、就職の成功に近づけます。

【気分障害の方が働きやすい職場選びのポイント】

  • 自分のペースで仕事ができるか
  • 勤務形態が柔軟であるか
  • 困った時に相談できる窓口・人がいるか
  • 障がい者雇用枠で働くことも検討する

自分のペースで仕事ができるか

自分のペースを守って仕事ができる職場は、気分障害の方にとって働きやすい職場だと言えます。

「繁忙期と閑散期の仕事量の差が大きい」「納期・ノルマが厳しく、残業が多い」といった、ご自身のペースを守れない職場だと精神的な負荷が大きくなり、体調を崩してしまうこともあり得ます。

また、出張や異動が多いなど環境の変化が大きい職場も生活のリズムが乱れてしまうので、あまりおすすめできません。

職場の異動や環境変化が少なく、忙しいときとそうでないときの差があまりない職場を選ぶと、比較的安定して就業できるでしょう。

勤務形態が柔軟であるか

勤務形態が柔軟な職場も、気分障害の方に向いています。

職種にもよりますが、最近ではフレックス制やリモートワークなど、さまざまな勤務形態を可能とする企業が増えてきました。

また、体調に合わせて時短勤務が可能であったり、体調不良で勤務が難しい場合は休みを取得しやすいといった、障がいに配慮のある企業も少なくありません。

就職を検討する際は、このように体調に合わせて柔軟な勤務形態が可能な企業を選ぶと、長く安定して勤務できる可能性が高くなるでしょう。

困った時に相談できる窓口・人がいるか

困りごとや悩みがあるときに相談できる窓口や人がいれば、就業の際に安心です。

近年、気分障害を含む精神疾患による労災認定が増えているという背景に合わせ、メンタルヘルス対策に取り組む企業も増えてきました。

企業による具体的な取り組み事例は、次の通りです。

  • 経営者主導によるメンタルヘルス対策の推進
  • 事業場内の産業保健スタッフや事業場外の専門家によるメンタルヘルスケアの提供
  • 社内の相談窓口の利用促進やコミュニケーション体制の推進
  • 安全衛生委員会でのメンタルヘルス対策や過重労働低減の取り組みなど

また、50名以上労働者のいる事業場では産業医の選任が義務付けられており(事業場単位であり企業単位ではありません)、健康を維持しながら働く方法について相談することも可能です。

こうした取り組みを積極的に取り入れて推進している企業では、メンタルヘルス不調による休職者数などに改善が見られています。

気分障害の方にとっては、職場に相談窓口や産業医がいることでより安心して働けるでしょう。

障がい者雇用枠で働くことも検討する

求職の際には、「障がい者雇用枠」を利用して働くことを検討してもよいでしょう。

障がい者雇用枠とは、「障害者手帳」をお持ちの方が対象の雇用枠です。民間企業においては、40名以上の従業員がいる場合、1名以上障がい者を採用することが義務付けられています。

障がい者雇用枠で働くと、さまざまな合理的配慮が受けやすくなるのがメリットです。

障がい者雇用枠へ応募するためには、障害者手帳が必要です。気分障害の方の場合は「精神障害者保健福祉手帳」が対象となりますので、お持ちでない方は、お住まいの市町村の担当窓口へ問い合わせてみてください。

気分障害の方が活用できる就労サービス

気分障害の方が就職するにあたり、抱えている悩みや不安を相談できるサービスがあります。就業支援として利用できるサービスは、次の通りです。

【気分障害の方が活用できる就業サービス】

  • 就労移行支援事業所
  • 地域障害者職業センター
  • 障害者就業・生活支援センター
  • ハローワーク
  • 転職エージェント

就労移行支援事業所

「就労移行支援事業所」は、一般就労を目指す障がい者に対して、就労に必要な知識と能力をつける訓練ができる施設です。

事業所は地方自治体から指定を受けており、令和2年現在、全国に3,301の事業所があります。

主な支援内容は、以下の通りです。

【就労移行支援事業所で受けられる支援内容】

  • 一般就労への移行に向け就労に必要な訓練、適性に合った職場探し、就労後の支援などの実施
  • 通所でのサービスによる、個人の計画進捗に合わせた職場実習などの実施

利用期間については、標準で2年間です(審査により最大1年更新可能)。サービス終了後に一般就労へ移行した方の割合は、令和元年で54.7%と半数を超えています。

一般就労を目指す気分障害の方にとっては、非常にありがたいサービスだと言えるでしょう。

地域障害者職業センター

「地域障害者職業センター」は、「独立法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」が手掛ける事業です。障がい者に対する専門的な職業リハビリテーションサービスを実施しています。

各都道府県に設置されており、受けられる支援内容は次の通りです。

【地域障害者職業センターで受けられる支援内容】

  • 職業相談をもとにした職業リハビリテーション計画の策定
  • 作業体験・職業準備講習カリキュラム・職場対人技能訓練・グループミーティングなどの職業準備支援
  • ジョブコーチによる個人の特性を踏まえた援助
  • 休職している方が職場復帰できるためのリワーク支援 など

地域障害者職業センターでは、障がい者一人ひとりの特性に合わせた専門的な支援を幅広く受けられるのが特徴です。

障害者就業・生活支援センター

「障害者就業・生活支援センター」は、障がい者の身近な地域において就業・生活における一体的な支援を行う機関であり、厚生労働省によって全国338カ所に設置されています(令和4年4月1日現在)。

受けられる支援は、次の通りです。

【障害者就業・生活支援センターで受けられる支援内容】

  • 就業に関する相談支援
  • 一人ひとりの特性を踏まえた雇用についての事業所に対する助言
  • 日常生活・地域生活に関する助言
  • 関係機関との連絡調整

障害者就業・生活支援センターは各地に数多くあるため訪問しやすく、サービス内容もより地域に密着しています。

ハローワーク

「ハローワーク」は、厚生労働省が全国に設置している公共職業安定所です。障がい者に対する専門窓口が設けられており、障がい者の支援に特化した職員による就職支援を行っています。

ハローワークの主なサービスは、次の通りです。

【ハローワークで受けられる支援内容】

  • 職業相談・職業紹介
  • 各種支援機関・職業訓練などの紹介
  • 採用面接時の同行・採用後の継続的な支援

ハローワークのサービスは障害者手帳がなくても利用できるため、求職時には最初に訪れていろいろと相談してみるとよいでしょう。

転職エージェント

「転職エージェント」は、専門のキャリアアドバイザーが求職者と企業を取り持って転職を支援してくれるサービスです。

転職エージェントの種類は、あらゆる求人を手広く取り扱う「総合型」と、専門性の高い分野を取り扱う「特化型」の2種類があります。

特化型の転職エージェントの中には、障がい者に向けた求職を専門で取り扱うところも存在しています。

【転職エージェントで受けられる支援内容】

  • キャリアアドバイザーによるカウンセリング
  • 転職活動の進め方についてのサポート
  • 業界や職場環境などの情報提供
  • 提出書類の添削・模擬面接などの採用試験対策
  • 企業への応募や面接日程の調整
  • 入社日までにする手続きの手助け

転職エージェントには、専門性の高いキャリアアドバイザーが在籍しています。求職者に寄り添い、最初から最後まで手厚くサポートしてもらえるのが最大の特徴です。

求職活動に不安のある方でも、キャリアアドバイザーに随時相談しながら転職活動を進められるのがメリットだと言えるでしょう。

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まとめ

気分障害の方が仕事でよいパフォーマンスを発揮するためには、ご自身が働きやすい職場を選ぶことが大切です。働きやすい職場を探すにあたってはさまざまな就労サービスがあります。こうしたサービスを利用することで悩みや不安が軽減し、就職の成功へと近づけるでしょう。

就労サービスの支援内容はさまざまですので、事前に問い合わせてご自身に合ったサービスを利用することをおすすめします。ご紹介した内容を参考に、ご自身が納得できる職場を選んでみてはいかがでしょうか。

【本記事監修者】
佐々木規夫様         

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

 

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