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感音性難聴とは|聴覚障害がある方の仕事の探し方や悩みについて紹介

目次

感音性難聴の方は、音が聞こえにくい、また複数の音の中から特定の音を特定することが難しいといった場合があります。では、感音性難聴がある方が仕事に就く場合、どのように求人を探し、困りごとを解決していけば良いのでしょうか。

この記事では、仕事を探している感音性難聴がある方に向けて、どのような仕事が向いているのか、仕事の探し方や困りごとへの対策方法などについてご紹介します。

感音性難聴とは

一口に「難聴」と言っても、種類はさまざまです。ここでは、感音性難聴について、症状も合わせて解説します。

難聴の種類の1つ

難聴には「感音性難聴」「伝音性難聴」「混合性難聴」の3種類があり、それぞれ原因や聞こえ方に違いがあります。

  • 感音性難聴…内耳や脳に障がいがあり、音をうまく感じ取れない
  • 伝音性難聴…外耳と中耳に障がいがあり、音がうまく伝わらない
  • 混合性難聴…感音性難聴と伝音性難聴の両方が混じっている難聴

感音性難聴のある方のおかれた環境

先天的に感音性難聴のある方は、生まれた時から以下のような環境におかれていることがあります。

  • 社会生活や身の安全(災害・事故への対策)に必要な音が聞こえないことがある
  • 人の話を聞き返すことが多くなったり、聞こえないままやり過ごしてしまう可能性がある
  • 音声が重要なイベント・テレビ・娯楽の内容を理解しづらくなる

こうしたことへの対応が遅れると、家族・友人、仕事関係者など周囲とのコミュニケーションがうまくとれなくなる可能性も否定できません。

深刻なケースの場合、自信がなくなる、うつ状態に陥り精神疾患を併発することもあると言われているほか、認知症のリスクが高まることも指摘されています。

感音性難聴の方で精神疾患を併発されている方は、「精神障害がある方の雇用状況と就労支援|長く働きやすい職場とは?」の記事も合わせてお読みになることをおすすめします。

感音性難聴の特性による仕事での悩みと対策方法

ここでは感音性難聴のある方が、仕事をする上で起こり得る困りごとの内容と対策方法についてご紹介します。

感音性難聴の方が職場や業務で困ること

感音性難聴の方は、以下のような困りごとを抱えているケースがあります。症状によって複合的に起こり得ることもあるため、注意が必要です。

  • 会議や研修、飲み会に参加しても、話の内容を理解できないことがある
  • 電話応対が難しい
  • 背後から声をかけられても気づかないことがある
  • 見た目からは障がいがあるとわかりづらく、困りごとに気づいてもらえないことがある
  • 気圧の変化により、耳鳴りやめまいが生じ、体調不良が見られることがある

働く上でできる対策や工夫

感音性難聴の方が働く際に起こり得る困りごとへの対策や工夫として、以下の点が挙げられます。
ただし、一つの対策ですべて解決できるとは限らないため、複数の対策や工夫ができるようになっておくとより安心です。
ご自身の聞こえの状態や苦手なシチュエーションなどを、細かく社内に共有することがポイントです。

  • 文字などで視覚的に理解できる方が良い場合、筆談、音声認識ツールなどを活用する
  • 自助努力で解決できないことは周囲と話し合い、合理的配慮の内容を決めていく
  • 電話応対は他の人に行ってもらうようにする
  • 障がいへの合理的配慮について、繰り返し発信していく
  • 耳鳴りやめまいの症状による体調の波があることを伝え、適宜休養が取れるようにする
  • 災害時には視覚的に情報を知らせてもらえるよう、あらかじめ相談しておく

感音性難聴の方に向いている仕事とは

感音性難聴の方に向いている仕事について、業界や職種が限定されることは基本的にありません。事務系、作業系、専門職、クリエイティブ職など、さまざまな職種に就いている方がいます。

コミュニケーションが必要とされる仕事であっても、手話通訳や音声認識ツール、スマートフォンのアプリなどを活用し、周囲とコミュニケーションを取りながら仕事をしている方は少なくありません。

働きやすい職場

聴覚障害者の雇用実績がある職場に障がい者雇用枠で就職する、あるいは障がい者雇用を目的とした企業の特例子会社に入社する場合には、比較的障がいに対する理解があり、融通が効きやすい傾向です。

近年では、社員に対して障がいがある方への理解教育を行っている企業もあります。

障がいのある方と他の従業員とのワーキンググループが社内で作られ、理解啓発活動を行っている企業もあります。

もちろん、障がいがあるからといって参加を強制されることはありませんが、「このような環境だと安心する」という方も少なくありません。

働きやすい業界・職種

感音性難聴の方が働きやすい業界・職種の条件について、業界や職種が限定されることはないでしょう。

ただし、会話内容が瞬時に理解できないと危険を伴う仕事や、身体の平衡感覚の問題を抱えながら高所作業を行う仕事など、仕事内容によってはリスクを高める場合も一部ありますのでご注意ください。

現場で一緒に働く人の理解を得ることで、よりさまざまな業種・職種で働くことが可能になります。

感音性難聴がある方の仕事探しの方法

感音性難聴がある方が仕事を探す際には、以下のような手段を利用する方法があります。

  • ハローワーク(公共職業安定所)への相談
  • 障がい者向け転職エージェントの活用
  • 障がい者向け求人サイトの利用

ハローワークには、障がいがある方が相談できる専門の窓口があり、職業相談や職業紹介を受けたり、応募書類の作成支援や面接指導を受けたりできます。

居住地域によっては、障がい者向け転職エージェントが少なく、ハローワークを中心に利用して就職活動をする方も少なくありません。

また、障がい者向け転職エージェントの活用もおすすめです、障がい者雇用の専門知識を持つキャリアアドバイザーによるカウンセリング、求人紹介、応募・面接サポート、入社後のフォローを受けることが可能。

企業の情報も詳細に把握しているため、障がい者の採用の実績や配慮体制、キャリアパス、正社員登用などに関する情報も提供してくれます。

そのため、障がいに対して理解のある職場を探しやすく、適性があると考えられる職業の提案も受けられるのがメリットです。

マイナビパートナーズ紹介

障がいがある方向けの求人を集めたサイトを利用するのも一つの方法です。求人情報に障がい者雇用の実績や配慮体制、キャリアパスなどに関する情報が記載されている求人も少なくありません。
さまざまな困りごとにアドバイスするコラムが発信されていることもありますので、利用してみると良いでしょう。

経験やスキルに不安がある場合に利用できる支援

仕事探しをする場合には、経験やスキルが浅かったりすると求人が見つかりにくいケースもあるでしょう。経験やスキルに不安がある場合に利用できる支援として、以下が挙げられます。

  • ・ハローワークが案内する職業訓練
  • ・就労移行支援事業所
  • ・地域障害者職業センター
  • ・障害者就業・生活支援センター

ハローワークが案内する障がい者向けの職業訓練では、事務、製造、ITなどさまざまな種類の職業訓練に申し込むことが可能です。
ハローワークが委託した事業者が実施するもの、あるいは公的な障害者職業訓練校が実施するものなど、さまざまな運営主体による職業訓練があります。
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく就労系福祉サービス。就労移行支援事業所の運営主体は、障がい者向け転職支援を行う民間企業や、障がい者支援NPO法人などさまざまです。
企業での一般就労や在宅での就労・起業を希望する65歳未満の方が利用できる他、就労後の職場定着のための支援を受けられることもあるのが特徴。聴覚障害のある方に特化した事業所もあります。
地域障害者職業センターでは、障がい者職業カウンセラー等を配置。ハローワーク、障害者就業・生活支援センターとの密接な連携のもと、就職や職場復帰を目指す障がい者の方に対して支援・サービスを行っており、職業相談・職業評価、職業準備支援、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を受けることが可能です。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営主体であり、全国47都道府県に1か所以上設置されています。
障害者就業・生活支援センターは、障がい者の職業生活における自立のため、就労移行支援事業者、地域障害者職業センター、ハローワーク、事業主、医療機関、福祉事務所といった関係機関との連携のもと、就業面・生活面における一体的な支援を行っています。
センターによって、運営主体は社会福祉法人、NPO法人、医療法人などさまざまです。

まとめ

今回は感音性難聴のある方に向けて、仕事を続ける際に起こり得る困りごとへの対策や仕事探しの方法をご紹介しました。

感音性難聴があっても、困りごとへの対策を行い、理解ある職場で長く働くことは可能。そのためには、支援体制を知り、活用することも大切です。

ぜひご紹介した内容を参考にしていただき、仕事探しへの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

マイナビパートナーズ紹介

【本記事監修者】
佐々木規夫様      

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

 

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