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お役立ちコラム

『障害者枠の求人で働く』とは?

健常者ではなく、障害者として探すということ

障害者としての転職を始めるにあたり「何からすれば良いのか」「どんなことを考えるべきなのか」と迷っている方も多いかもしれません。障害を持ちながら働くことに不安がある中で、自分のキャリアについて考えることに不安を覚えるのも、自然なことだと思います。今回は、そんなあなたが障害者として働くことの意味を考えたり、転職活動を成功させるためのヒントをご紹介いたします。

何のために働くのかを、考えてみる。

仕事でうまくいかないことがあったとき、ふと「自分は一体何のために働いているのだろう」、そんなことを考えた経験がある方も多いのではないでしょうか。今後、障害者枠での転職先でそうならないためにも、自分の希望や理想にあった職種や働き方を考えておくことが大切です。まずは、働く目的として、多くの方が思い浮かべる理由から見ていきましょう。

収入について

やはり働く上で気になるのは、その収入がいくらになるのかというところ。仕事内容を重視したいという方でも、「自分の将来に備えるため」「家族に、もっとよい暮らしをさせたい」など様々な理由から、より多くの収入を得るために働くという選択肢をとる方も多いのではないかと思います。もちろん、収入が増えれば、人生の豊かさにもつながっていきます。一度、自分が希望する収入はどれくらいなのか、また、その金額を稼ぐ上で、自分にかかる負担の大きさはどれくらいなのかを整理してみましょう。

注意しなければならないのは、安易な転職です。転職回数が多いという理由で、書類選考で落とされたり、転職を繰り返すことで昇給の機会を逃してしまうことにもなります。たとえ入社時は給与が低くても、長く勤めることで年収アップにつなげることもできるのです。

キャリアアップについて

働く理由として、自己実現や夢の実現を挙げる方もいます。仕事を通してさまざまな経験やスキルを身につけ、なりたい自分に近づくことは、自らを輝かせることにつながります。仕事を選ぶ際には、求人票の給与などの条件面だけでなく、その職場でどのようなスキルやキャリアを描けるかも考えてみましょう。さらに、障害に対する配慮を得ながらキャリアアップできる会社なのか、自分の障害の特性と自分のやりたいことに差がないかなど、具体的にイメージして転職先を調べてみることも大切です。

社会貢献について

仕事で関わったサービスが社会の役に立ったり、誰かを笑顔にできたりすることは、誰でも嬉しいもの。また、会社の売上や業績を通して、経済の一端を担う誇りを実感することもできるでしょう。不思議と人は自分のためだけに働くのでなく、社会や周囲のために働く方がやりがいも充実感も大きく感じるものです。今、あなたがどんなことに興味があり、どんな問題を解決したいと思っているのか、障害当事者だからこそ出せるアイディアを活かすことで、新しい社会貢献の道が広がるのかもしれません。

働く目的や仕事への価値観は、ひとそれぞれ。そこに正解はありません。自らの価値観をしっかり持って、希望する仕事内容やキャリアを見つめ直してみることも大切なのです。
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自分に合った働き方や職場を探す。

障害者が働く上では、雇用形態が正社員かどうかや、勤務時間がフルタイムかパートタイムなのかなど、非常に多くの働き方があります。その中で、今の自分にぴったり合うものを探すとしたら、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。

まずは自分の障害について理解を深めておく。

障害をお持ちの場合は、その状況は個人差が大きく、人によって「できること・できないこと」が異なります。そのため、自分に合った働き方を考える上では、自分の障害について理解を深めておくことがとても重要です。それぞれの障害に応じてかかる通勤の負荷や、業務上どのようなストレスがかかると体調を崩しやすいのかを分析し、「遅刻・欠勤が増える」「ミスが増える」「不眠になる」など、自身の不調のサインを把握しておくことが必要です。

その上で、自分の能力や特技、興味などを考え合わせて、向いている仕事や得意なことを挙げていきましょう。また、就業のご経験がある方は、そこで培ったスキルをどう活かせるのか、前職で課題になったポイントなども棚卸して、職場選びを行ってみましょう。

障害のこと、知らせておく?伏せておく?

障害のことを職場に知らせておくのか、伏せて働くのか。どちらの選択肢にも正解はありません。どちらのやり方が、今のあなたの「気持ち」や「状態」に合っているのかがポイントです。

例えば、職場に対して自分の障害をオープンにする場合の、一番のメリットは、周りから理解や協力が得られやすいことでしょう。サポート体制が整っていることで、体調がすぐれないときに担当業務を変更してもらったり、休みをとることに理解が得やすくなります。一方、障害についてクローズにする場合、障害に対する配慮を受けられず、健常者と同じ評価基準で働くことが求められるため、責任の大きな仕事を任されたり、チャレンジの機会が増える一方、負担は大きくなりやすく注意が必要です。

また、職場にオープンにする場合も、プライバシーの保護が必要な情報なので「自分の上長まで」や「同じチーム内まで」と範囲を決めることができるかもしれません。自分がどのような環境を作れば、長く活躍できるのか、こうした内容は、自分一人ではなく、是非、信頼できるキャリアアドバイザーなどと相談してみることをお勧めします。

フルタイムで働くか、時短か

「フルタイムで働く」とは「決められた時刻に、決められた時間だけ働く」こと。つまり、必ずしも正社員を指す言葉ではなく、契約社員、嘱託社員、アルバイトという場合もあるので、求人情報を見るときは意識しておきましょう。

フルタイムで働く大きなメリットに、スキルやキャリアの獲得が挙げられます。もちろん、仕事に対しても充実感を味わいやすいでしょう。また、経済面でも豊かになりやすいということができます。2020年に改正された「同一労働同一賃金制度」の原則により、たとえ正社員ではなくても、正社員と同じ仕事ができていれば、同じだけの給与がもらえる会社も多くなりました。やはり収入や人生プランを立てる上で、フルタイムは魅力的な選択肢だと言えます。

一方、定期的に通院が必要な方や心身が疲れやすい方は、時短勤務も視野に入れて検討されることをお勧めします。フルタイム勤務のプラスの面だけを求めて働きすぎた結果、身体的精神的負担を増やしてしまうことにもつながりかねません。自分にとって自由な時間を増やし、余裕を持ったワークライフバランスを保てるというのが、時短勤務のメリットです。

あくまで大切にしなければならないのは、安定して自分の力を発揮することです。自分の特性を見極め、同じような障害を持つ仲間や専門カウンセラーなどの意見も参考に、ぜひ自分らしい選択をしてください。

障害を持ちながら働くために必要なこと

障害を持ちながら仕事をするためには、何が必要なのでしょう。スキルや専門知識、個人の能力など、いわゆる“スペック”を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし多くの仕事では、周囲とうまくコミュニケーションをとりながら信頼関係を築き、安定したパフォーマンスを発揮できる自己管理がとても重要になります。

コミュニケーションと自己管理の大切さ

仕事の上でコミュニケーションが大切なのは、ご承知の方も多いと思います。何気ない会話がお好きな方も、不得手な方もいますが、まずは内容よりも、話しやすい関係を作ることが大切です。あいさつから始まり、こまめな会話で情報交換ができれば、周囲との協力関係も作りやすくなるでしょう。実は、そういったコミュニケーションが取れていない事による弊害は大きく、退職理由に「人間関係」をあげる方も多いのです。中には、上司や人事担当者へ相談しないまま退職を決断したという声も。何気ない会話も、長く働きやすい環境づくりには重要な役割を果たすのです。

一方、自己管理はなぜ大切なのでしょうか。それは、安定して自分の力を発揮するためには、体調や感情をコントロールすることが重要だからです。しかし、障害によってはコントロールが難しい方もいると思います。大切なのは、体調やメンタル面で不調を感じた時の対処法として、自分なりにセルフケアを身につけておくこと。こうした対処法について事前に上司と話し合っておいて、具合が悪くなりそうな時に早めに相談することで、職場に迷惑をかけにくくなることもあります。

快適に長く働くためのセルフケアとは

セルフケアとは、自分に起こる変化を把握し、自分で対処することです。

セルフケアを身につけると、会社の人間関係が築きやすくなり、適切な配慮を受けることで本来の能力を発揮しやすくなります。ここでは本人が取り組むべき、4つのステップ、状態把握、特徴理解、回復対処、配慮相談についてご紹介します。

状態把握

心の状態は、日によって、出来事によって変わるもの。それが仕事のパフォーマンスに影響を与えすぎないように、まずは「状態把握」が必要です。自分に芽生えている感情や、心の癖に客観的に気づくことです。

例えば、モヤモヤすることや、イライラしてしまうことがあったとします。その時、自分で自分を客観視し、「今、なんだかモヤモヤしている」「小さなことにイライラしている」と気づき、心を俯瞰し眺めるだけで良いのです。まずは状態を把握することが大切です。

特徴理解

状態を把握できたら、いつ、どんな時にその状態になるのかを考えます。そして、それぞれの状態について分析ができると、自分の特徴(構成要素)を認識できるようになります。それが「特徴理解」です。「よく眠れていない時にどんな状態になるか」、「ストレスが高い状態の時にどんな感情行動をとりがちか」など、状態に合わせた自分の反応を理解しておきましょう。

回復対処

気分の良い時はその状態を維持し、注意が必要な時は「良い状態」に戻るための方法を探ります。水分補給や、ストレッチ、深呼吸など、いろいろな方法を試してみてください。仕事の時に短時間で対処できるものと、休日にゆっくりできるもの、両方があるとより良いでしょう。気分転換に行うストレッチや、短時間の瞑想など、ご自身の心が整う方法を探してみてください。

配慮相談

配慮相談とは、自身の現状に合わせて会社に貢献できることや方法について、上司や同僚に相談することです。どうしても回復が難しい時のために、自分の状態や特徴を伝えておくことで、周りがサポートしやすい関係を作っておきましょう。いざ必要になった時、周りが理解していれば迅速に対応でき、安心して働きやすくなります。心に留めておいてほしいのは、配慮とは「できないことを言う」のではなく、「できる」ための環境整備であるということです。

コミュニケーションも自己管理も、自分が働きやすくなるために必要なことです。時間をかけて自分なりの方法を考えてみましょう。

障害と向き合って生きることは、容易なことではありません。そのハードルを超えて、さらに社会参画するということは大きな勇気や挑戦が必要です。しかし、近年ダイバーシティの広がりや障害者の法定雇用率の引き上げなど、社会情勢の変化もあり、より活躍できる人材として障害者雇用を行う企業も増えてきています。今不安を覚えている方でも、長く充実して働けるよう、転職活動に前向きに取り組んで欲しいと思います。

 

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