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お役立ちコラム

ADHDの方が仕事がしやすくなるスケジュール・タスク管理方法を紹介!

目次

ADHDの方の中には、「納期に間に合わないことが多い」「タスクの抜け漏れが多い」といった経験があり、職場で辛い思いをしたという方もいるのではないでしょうか?

ADHDの特性と業務や職場環境とのミスマッチで、スケジュールやタスク管理に困難が生じることがあります。しかし、自身の特性を知って自分に合った管理方法を見つけていくことで、困難を軽減させていくことも可能です。

今回はADHDの方の特性や、タスク管理などの仕事術、活用できるツールやアプリなどを紹介します。

ADHD(注意欠如・多動症)とは


ADHD(注意欠如・多動症)とは主に「不注意」や「多動・衝動性」の特性があり、仕事や日常生活で困りごとが生じている発達障害の一つです。
障がいは発達障害のほかにも、障害者基本法によると「精神障害」「知的障害」「身体障害」「その他の心身の機能の障害」があると定義されています。
また、発達障害の中にもADHDだけでなくASD(自閉スペクトラム症)、学習障害(LD)/限局性学習症(SLD)などに分類されており、それぞれ特性や困りごとの傾向が異なっています。

ADHDの種類と特徴

ここでは、ADHDの特性として見られる「不注意」「多動性」「衝動性」について紹介します。

  • 不注意:忘れ物が多い、落とし物(なくしもの)が多い、人の話を最後まで集中することがむずかしい。
  • 多動性:一つの場所にじっとしていることが苦手、列に並んでいることが難しい。
  • 衝動性:思いついたことをすぐ言葉や行動にする傾向がある、人の話をさえぎって話すことがある。

多動性と衝動性は合わせて「多動・衝動性」と呼ばれることもあります。

AHDHの方は、特性の現れ方によって「不注意優勢型」「多動性・衝動性優勢型」「混合型」と分かれています。
しかし、こういった分類はあくまで傾向で、人によってどの特性が現れるかはさまざまです。

また、年齢や状況によっても変わってくるため、診断名だけで判断せずに、自分がどのようなことで困るのかを把握して対策を立てていくことが大切です。

ADHDの方が仕事中に困っていること


ADHDの方が仕事をするうえで、困る可能性があることを紹介します。
【ADHDの方が仕事中に困っていること】

  • タスク管理やスケジュール管理が苦手
  • 優先順位が決められないことがある
  • 計画を立てるのが難しいことがある
  • マルチタスクに苦手意識がある

例えばタスク管理やスケジュール管理の面でいうと、「納期の確認を忘れてしまい、結果的に間に合わなくなってしまう」。また、「納期はわかっていても、衝動的に他の業務を始めて遅れが出てしまう」。といった困りごとが生じることがあります。

職場でこういったことがあると体調面で辛くなってくることや、「周りに人に迷惑なのでは」と悩んでしまい精神的な辛さを感じてしまう方もいらっしゃいます。

こういった困りごとはあくまで傾向なので、ADHDと診断された方全員に同じ困りごとが起こるわけではありません。また、今挙げた以外のことでも困る可能性があります。大切なのは、自身がどのようなことで困るのかを把握して、仕事がしやすくなるように対策を立てていくことです。

仕事のスケジュール・タスク管理方法


ここではADHDの特性の影響でスケジュールやタスクの管理に困っている方に、3つの仕事術を紹介します。
自身の努力だけで解決しようとするのではなく、ツールなどを上手に活用していくことがポイントです。
【仕事のスケジュール・タスク管理方法】

  • TO DOリストを作る
  • 周囲に声かけをお願いする
  • アプリやツールを利用する

TO DOリストを作る

まず初めに紹介するのは「TODOリスト」を作る方法です。TODOリストを作ることで、目で見てやるべきことが分かるため、タスクの抜け漏れを減らす効果が見込めます。

TODOリストとは「TODO=やるべきこと」を項目ごとにリスト形式で書き出したものです。その項目をやり遂げたら「チェックマークを付ける」「横線で消す」などの方法で、完了したことが視覚的に分かるようにします。

一般的には以下の例のように「進捗」と「TODO」を書いていきます。

進捗 TODO(やるべきこと)
●●さんに作業依頼のメールを送る
会議の資料を作成する
会議の資料を30部印刷する
議事録を確認したら▲▲さんに渡す

手帳や付箋などに書くアナログな方法や、アプリやエクセルなどのソフトを使ってデジタル的に管理する方法もあります。
自身が扱いやすい方法や、職場の環境(スマホが持ち込めないなど)に合わせて選んでいくといいでしょう。

TODOリストの活用方法

ADHDの方で時間管理が苦手と感じている方は、以下を意識するとより管理しやすくなると思います。

  • 作業を細分化して記載する:「資料を作成して30部コピーする」と記載すると、「資料を作成」した時点でチェックを入れて、「30部コピーする」ことを忘れてしまう場合があります。その防止策として「資料を作成する」と「30部コピーする」と細分化して記載します。
  • 優先順位を書き込む:頼まれた順に書いていくと、「どの仕事から始めていいのかわからない」ということにもなるため、優先順位をつけることで、タスクへ取り組みやすくなります。
  • 所要時間を書き込む:「会議の資料を作成する(60分)」といった形で、あらかじめ所要時間も書いておくことで、「一つの業務に集中しすぎて他ができなくなった」ということの防止につながります。

優先順位をつけることや、所要時間の見通しを立てることが難しい場合は、上司や同僚と一緒に確認するといった方法もあります。

TODOリストを活用する際の注意点

TODOリストを作っても、どこに置いたか忘れてしまうと効果がありません。
そこで、TODOリストは複数作るのではなく「決まった用紙に記載する」「デスクの決まった場所に置いておく」といったルールを決めておくことが大事です。
同時にデスクが散らかっていると、置く場所を決めても紛失の可能性があるため、定期的に片づけをすることなど環境を整えるのも大切になります。
また、固定された席がない場合は、「常に持ち歩く手帳に書く」「スマホのリマインダー機能を利用する」など職場の環境に合わせて、やりやすい方法を探していくといいでしょう。

周囲に声かけをお願いする

TODOリストを作っても、「チェックするのを忘れていた」「衝動的にリストにないことをしてしまった」というケースがあるかもしれません。
そういったときは、周囲の方に仕事の時間やタスクについて声掛けをお願いするという方法もあります。
声掛けをお願いするうえで意識したいのは、「声をかけてもらうタイミング」と「声かけの内容」です。

声をかけてもらうタイミング

声かけを頼む際には、タイミングも伝えるようにしましょう。例えば朝の時点でTODOリストの内容を共有しておき、「〇時に声をかけてください」といった頼み方をするという方法があります。
都度頼むのが難しい場合などは「一時間に一度」や「昼休みと就業時間」など、決まった時間に声かけを依頼するケースもあります。

声かけの内容

時間とともに「どういった声かけをしてほしいか」も伝えるようにしましょう。

例えば集中しすぎてしまう傾向がある方でしたら「休憩は取りましたか?」と声かけてもらうといった具合です。
他にもスケジュール管理が苦手な方は、声かけをしてもらった方とTODOリストを見ながら進捗確認をするといった方法もあります。

アプリやツールを利用する

TODOリスト以外にも、スケジュールやタスク管理に活用できるアプリやツールがありますので、いくつか紹介します。

  • リマインダー:登録した時間になったら音や画面表示によって知らせてくれるツールです。スマホのアプリやパソコンの機能で使うことができるため、タスクを忘れることが多い方は活用するといいでしょう。
  • タスク登録アプリ:リマインダーの中にも、定期的なタスクを登録できるものもあります。毎日や毎月など定期的に行う業務を登録しておくと抜け漏れの防止につながります。
  • ウェアラブルメモ:手首に巻き付けるなど、身につけて使用するメモのことです。メモをどこに置いたか忘れることが多い、という方には合っているツールといえます。
  • 音声メモ:スマホやパソコンなどに話しかけるだけでメモを取ることができる機能です。思いついたときにメモができるため、「そもそもメモを書くことを忘れてしまう」という場合に活用できます。

アプリやツールを使用する際の注意点

ここではアプリやツールを使用する際の気をつけたいポイントを2つ紹介します。
まずは使うものの数を増やさないことです。管理するアプリやツールが多くなると、その分抜け漏れが発生する可能性も大きくなるため、なるべく数を絞って使っていくことが大事です。

次に、職場によってはスマホなどの電子機器の持ち込みが制限されている場合もあります。ツールやアプリを使用する場合は、あらかじめ使用してもいいか確認しておくようにしましょう。

ADHDの方が活用できる就労サービス

ここでは、ADHDの方が仕事や生活において困ったときに活用できる就労サービスを紹介します。

【ADHDの方が悩みを相談できる場所】

  • 就職移行支援事業所:

障がいのある方は就職するためのスキルの取得や、就職活動の支援、働いた後の「定着支援」などを行う支援機関です。発達障害の方の支援に特化した事業所があるなど、事業所によって特色が異なっています。

  • 地域障害者職業センター:

障がいのある方に、専門的な職業リハビリテーションを提供している支援機関です。特性やスキル、希望する働き方などを考慮し職業評価を行い、それをもとに目標を作成して業務に必要なスキルの訓練を行っていきます。

  • 障害者就業・生活支援センター:

障がいのある方に働く悩み・就職活動の支援といった就業面だけでなく、体調管理や金銭管理などの日常生活の困りごとへの支援も一体的に行っている支援機関です。

  • 発達障害者支援センター:

発達障害の方を対象に、日常生活と仕事の面の両方の支援を行っている機関です。発達障害についての専門的な知識を持ったスタッフに相談することができます。

  • ハローワーク:

求人紹介、雇用保険の手続きなど、雇用に関するさまざまな業務を行う行政機関です。障がいのある方向けの窓口があり、専門的な知識のあるスタッフによる相談支援を行っています。

  • 転職エージェント:

キャリアアドバイザーによる面談により、相談者の希望する条件を整理したうえで、マッチする求人の紹介や面接の日程調整などのサポートを行うサービスです。

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まとめ

タスクやスケジュール管理をしやすくするツールや方法をお伝えしました。
自分の傾向を把握し、TODOリストなど自分に合ったアプリやツールを使用する、職場の人と協力するなど適切な対策を行えば、難しさを軽減することにつながります。

対策は自身の特性や職場の環境によっても変わってくるため、一人で見つけるのが難しいと感じた場合には、支援機関や転職エージェントの活用を検討してみるといいでしょう。

【本記事監修者】
佐々木規夫        

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

 

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