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視覚障害の方が仕事を探すときのポイントと就労時の工夫|支援サービスや支援機関も紹介!

目次

視覚障害の方が仕事を探す際には、どのような悩みを抱えているのでしょうか。気を付けるべきポイントや受けられる支援を知ることで、就職や転職に対する不安が和らぐかもしれません。

この記事では、視覚障害の方やそのご家族などが知っておきたい、働きやすい職場選びのポイントや活用できる就業支援についてご紹介します。

視覚障害とは

視覚障害とは、視力や視野などの見る力にさまざまな問題があり、見ることが難しくなっている状態です。ただし、視覚障害と一口に言っても、見え方には個人差があります。

視力がない場合、視力が低い場合の他、視野や色覚の影響が視覚障害として認められるケースもあります。ただし、眼鏡やコンタクトレンズなどの視力矯正器具を使うことで、生活に支障をきたすことのない十分な視力が補える人は、視覚障害には定義されません。

視覚障害の種類

視覚障害の種類は、以下の通りです。

【視覚障害の種類】

視覚障害の種類 特徴 障害者手帳の対象
視力障害 視力とは、目が遠くにある物体を見分ける力を指します。メガネなどで矯正しても、十分な視力の回復を期待できない場合を「視力障害」といいます。
視野障害 視野とは、静止した状態で見える範囲のことを指します。「視野障害」は、この視野が部分的に欠けていたりして見えない場合を指します。
色覚障害 色の判別が上手くできない状態や、色の見え方が他の人と違う場合を「色覚障害」といいます。 ×
光覚障害 少しの光でもまぶしく見えてしまうことや、夜に暗くなると目が見えなくなる場合などを「光覚障害」といいます。 ×

上記の他、物が二重に見える、歪んで見えるなど、見えにくさには個人差があります。

視力障害

視力障害は、盲と弱視の2つに分けられます。

【盲】
視覚的な情報の取得がまったくできない、またはほとんどできない状態を「盲」と呼びます。ただし、明るさは認識できる、あるいは目の前に示された指の本数はわかるなど、症状はさまざまです。

まったく見えない、光も感じない状態を「全盲」と言います。一方、「社会的盲」は、多少の視機能があるもののかなり限定的で、視覚以外の感覚を多く使って生活を送っている状態のことです。

【弱視】
「弱視」とは、視力や視野になんらかの見えにくさを抱えており、読み書きや移動などの生活が困難な状態のこと。盲と異なり、弱視はある程度の視覚情報を使える状態です。斜視弱視、屈折異常弱視、不同視弱視、形態覚遮断弱視など、いくつかの種類に分類されます。

全盲の場合はコミュニケーションの補助として点字を活用する方が多いですが、弱視の場合は文字を使える方が少なくありません。

視野障害

視野障害は、視野狭窄・半盲・暗点に分けられます。

【視野狭窄】
視野狭窄とは、視野の広さが狭くなる状態のこと。視野全体が狭くなる「求心狭窄」と視野が部分的にランダムな形で狭くなる「不規則狭窄」があります。

【半盲】
視野の右半分や、左半分が見えなくなることを半盲と言います。

【暗点】
視野の中に部分的に見えない部分がある状態を暗点と言います。

視野の狭さなどによって日常生活に支障が出るケースも少なくありません。

色覚障害

色覚障害とは、一部の色を認識することができない、あるいは見え方が他の人とは違っている状態を指します。目の中にある色を感じるための錐体細胞に異常が発生していることが原因です。

赤系統の色が認識できない場合、青系統の色が認識できない場合、緑系統の色が認識できない場合など、人によって見え方はさまざまです。日常生活においては、色のついた案内や標識が見えづらいなどの支障を起こすケースがあります。また、色覚障害は障害者手帳の対象になりません。

光覚障害

光覚とは、光の度合いを感じる機能です。光覚障害があると、薄暗い光に次第に慣れることが不得意になるため、明所から暗所へ移動した際に周囲をうまく見ることが難しくなります。

反対に暗所から明所に移動した際にもまぶしさを強く感じ、うまく見えない状態になったり、目が痛くなったりすることも光覚障害の一つ。遮光眼鏡等を利用し、光を遮断することが対策になります。

また、色覚障害と同じように、光覚障害も障害者手帳の対象ではありません。

視覚障害の等級

視覚障害は、見えにくさの度合い(視力と視野)によって等級が定められており、各等級の認定基準は身体障害者福祉法に基づいて定められています。
国が定めた等級の判断基準は、以下の通りです。

■視覚障害の等級

等級 判断基準
1級 両目の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常のある者については、矯正視力について測ったものをいう)の和が0.01以下のもの
2級 1.両眼の視力の和が 0.02 以上 0.04 以下のもの
2.両眼の視野がそれぞれ 10 度以内で、かつ、両眼による 視野について視能率による損失率が 95%以上のもの
3級 1.両眼の視力の和が 0.05 以上 0.08 以下のもの
2.両眼の視野がそれぞれ 10 度以内で、かつ、両眼による 視野について視能率による損失率が 90%以上のもの
4級 1.両眼の視力の和が 0.09 以上 0.12 以下のもの
2.両眼の視野がそれぞれ 10 度以内のもの
5級 1.両眼の視力の和が0.13以上0.2以下のもの
2.両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの
6級 1.眼の視力が 0.02 以下、他眼の視力が 0.6 以下のもので、 両眼の視力の和が 0.2 を超えるもの

引用元:国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局函館視力障害センター「視覚障害支援ハンドブック 」
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視覚障害の方が仕事中の困りごと


盲目や弱視の方は仕事中のどのようなことでつまずきやすいのでしょうか。視覚障害の方が就職をするにあたって抱えがちな悩みや不安の例は、以下の通りです。

 

【視覚障害の方が仕事中に困っていること】

  • 文字の読み書きや、タッチパネル式の機械の操作が難しいと感じる場合がある
  • 職場のレイアウトが変わった際に、物の位置を覚えなおさないといけない場合がある
  • 人の視線や表情が理解できず、コミュニケーションに苦労する場合がある
  • いつもと違うルートを移動しなければならない際に、戸惑うことがある

ただし、視覚障害の程度によって困りごとには個人差があります。働きやすい職場を見つけるためにも、まずはご自身がどういった点で困っているのか、どういったことでストレスを感じるのか知ることが大切だと言えるでしょう。

視覚障害の方が職場で工夫していること


続いて、視覚障害が方が、職場で困ったことが起こった時に工夫していることを見ていきましょう。ご自身が行う工夫だけでなく、職場や周囲の人に協力してもらうことも大切です。

 

【視覚障害の方が職場で工夫していること】

  • 自分に話しかけるときは名乗ってもらうようにしている
  • これ、それ、あれではなく具体的に言ってもらう
  • ルーペを持ち歩くようにしている
  • 職場のレイアウトを変更する場合、その都度、どういった変化が起こったのか具体的に説明してもらっている
  • エレベーターに貼る点字シールや、机の角に貼るクッションシートを設置してもらっている

視覚障害の方が仕事を探す時に押さえたいポイント


障がいの適性にあった仕事や環境を整理しておくことで、就職活動の際に良い職場が見つかりやすくなる可能性があるでしょう。ここでは、視覚障害の方が仕事を探す際に知っていると役立つポイントをご紹介します。

【視覚障害の方が働きやすい仕事・職場選びのポイント】

  • 視覚障害の方が続けやすい職種を知る
  • 支援機器が導入されているかどうか
  • 柔軟な働き方ができるか
  • 困った時に相談できる窓口が設置されているか

視覚障害の方が続けやすい職種を知る

自動車の運転が必要とされる仕事など、視覚障害の方が就きにくい職業があることは事実です。
一方、視覚障害の特性や環境を踏まえたうえで、ご自身に合った職業に就いている方も多くいらっしゃいます。職種の希望や適性を理解することで、継続的に働ける職場を見つけられるかもしれません。視覚障害の方が勤務している職業の参考として、ハローワークが発表している平成30年度の就職状況の統計資料をご紹介します。

視覚障がい者の方の就職状況(平成30年度)

  • 専門的・技術的職業(47.8%)
  • 運搬・清掃などの職業(18.8%)
  • 事務的職業(14.8%)
  • サービスの職業(10.9%)
  • 生産工程の職業(3.1%)
  • 販売の職業(1.9%)

引用元:社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合「H30年度ハローワークを通じた職業紹介状況

支援機器が導入されているかどうか

視覚障害の方の助けになる支援機器が導入されているかどうかといった点も大切です。こうした支援機器を導入している企業の場合、障がいへの理解が高い傾向にあります。

支援機器の例は、以下の通りです。

【拡大読書器】
ズーム式のビデオカメラで写し取った本や書類を、大きな画面で表示する機器です。

【点字ディスプレイ】
スクリーンリーダーなどの点字対応ソフトウェアが出力した情報を、点字に変換するための機器です。

【音声電卓】
数字や演算記号を、ボタンを押すと音声で読み上げる電卓です。

柔軟な働き方ができるか

視覚障害のある方の中には、就業時間外の通勤ラッシュや帰宅ラッシュ時の人混みに身の危険を感じるという方もいらっしゃいます。勤務時間を短縮できる、出勤時間を遅らせる、在宅で働くなど、ラッシュの時間帯に重ならないような柔軟な働き方を提供しているか、確認しておくと良いでしょう。

通勤時の危険の回避に限らず、こういった柔軟な働き方に対応している職場では、さまざまな従業員の困りごとに臨機応変に対応している傾向にあります。聴覚障害の有無に限らず、働きやすい職場と言えるかもしれません。

困った時に相談できる窓口が設置されているか

メンタルヘルス対策だけでなく、働きやすい職場作りに取り組んでいる企業は、増加傾向にあります。会社内に相談窓口を設置している企業も増えてきました。また、従業員が50名以上の事業場には産業医の選定が義務付けられています。職場内に気兼ねなく相談できるカウンセラー等の専門家がいれば、安心感があるでしょう。

また、障がいのある方向けの転職エージェントをはじめとした支援サービスや機関では、就職後も相談や面談などアフターフォローを行っています。就職先の企業内の相談窓口のみならず、外部の支援サービスの活用を検討してみても良いかもしれません。

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視覚障害の方が活用できる就労サービス


視覚障害の方が仕事を探す際に、抱えている悩みや不安を相談できるサービスは数多くあります。サービスによっては、相談だけでなく具体的な求人の紹介や面接対策等のサポートも行っています。具体的な就労サービスの例は以下の通りです。

【視覚障害の方が活用できる就労サービス】

  • 就職移行支援事業所
  • 地域障害者職業センター
  • 障害者就業・生活支援センター
  • ハローワーク
  • 転職エージェント

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、就労に関するさまざまな支援を受けることができる支援機関。全国に3,000を超える事業所が存在しています。サービスの対象は、一般就労を希望している65歳未満の障がいのある方です。働く技術の習得から面接対策などを支援しています。

就労移行支援事業所で受けられる具体的なサービスは、以下の通りです。

【就労移行支援事業所で受けられる支援内容】

  • 就職を目指すためのトレーニング
  • 就職活動支援
  • 就職後の定着支援

視覚障害の方が就労移行支援事業所を利用するメリットは、仕事のスキルだけではなく、体調管理の方法やコミュニケーション、自身の症状との向き合い方と対策についてもサポートが受けられる点です。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターでは、障がいのある方に対して専門的な職業リハビリテーションを提供しており、令和4年4月1日時点で、全国47都道府県に338箇所の施設が設置されています。受けられるサービスは以下の通りです。

【地域障害者職業センターで受けられる支援内容】

  • 職業評価
  • 職業準備支援
  • 職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業
  • 精神障害者総合雇用支援
  • 事業主に対する相談・援助
  • 地域における職業リハビリテーションのネットワークの醸成
  • 地域の関係機関に対する職業リハビリテーションに関する助言・援助などの実施

地域障害者職業センターは、専門的な支援を提供することを目的としているのが特徴です。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターも、障がいのある人の仕事をサポートする目的で全国に設置されている機関。障害者就業・生活支援センターは、仕事と生活の一体的な支援を目的としており、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携のもと、サポートが成り立っています。

障害者就業・生活支援センターで受けられるサービスは以下の通りです。

【障害者就業・生活支援センターで受けられる支援内容】

  • 就業に関する相談支援
  • 特性を踏まえた雇用管理に関する助言
  • 関係機関との連絡調整
  • 日常生活・地域生活に関する助言
  • 関係機関との連絡調整

ハローワーク

ハローワークは、国民の安定的な雇用創出を目的とした行政機関。全国に拠点があり、障がいのある方の就職活動サポートも行っています。障がいについて専門的な知識を持つ職員・相談員が在籍しており、仕事に関する情報提供、就職に関する相談などの手厚い支援を受けることが可能です。

ハローワークで受けられるサービスは、以下の通りです。

【ハローワークで受けられる支援内容】

  • 求職活動の全面的なフォローアップ
  • 求人情報を提供
  • 求人票の条件を確認
  • 応募書類の作成や面接に向けた準備への支援
  • 就職のための各種支援セミナーを実施
  • スキルアップのための職業訓練(ハロートレーニング)を案内
  • 応募する求人事業所に紹介

求職活動の進め方、求人情報の入手方法や検索の方法、応募書類の添削指導など、仕事の希望や適性に合った仕事探しを支援している点が特徴です。

転職エージェント

転職エージェントは、仕事を探している人のサポートを行うサービスであり、無料で利用できるサービスが大半となっています。

面談の際には、自分の就職・転職への希望を伝えるだけでなく、就職・転職活動に関するアドバイスももらえるので、迷うことがあれば広く相談してみましょう。面談で転職の方向性が定まったら、求人の紹介などを通じて、内定・入社までのサポートを受けられます。

【転職エージェントで受けられる支援内容】

  • キャリアに関するヒアリング
  • 面接・選考試験のアドバイス
  • 条件にマッチした求人の紹介
  • 面接の日程調整
  • 応募書類の添削
  • 内定時の条件確認
  • 障がい者枠に関する説明
  • 障がいに応じたさまざまなアドバイス
  • 内定企業と配慮事項の確認
  • 入社後のサポート

転職エージェントの中には、障がい者雇用枠の求人に特化した転職エージェントがあります。障がいへの理解が深く、障がい者雇用枠に関する疑問にも答えてもらうことが可能です。

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まとめ

今回は、視覚障害の方の就職についてご紹介しました。視覚障害と一口に言ってもさまざまな症状があり、必要な配慮には個人差があります。ご自身の症状や職場に求める条件を理解することは、適切な職場を探すための第一歩と言えるでしょう。

また、障がい者雇用枠で働くことに不安や疑問を抱えている場合は、就労支援を行う施設や転職エージェントなどへの相談も検討してみることをおすすめします。

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【本記事監修者】
佐々木規夫様     

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

 

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マイナビパートナーズ紹介は、マイナビグループの特例子会社である株式会社マイナビパートナーズが手がける、障がい者に特化した求人紹介サービスです。

マイナビパートナーズは設立から4年で100名以上の障がい者を採用してきました。そのノウハウと経験から、障がい当事者には適職をご紹介し、採用企業には、障がい者が活躍できる環境づくりのサポートを行っています。

障がい者本人が思いもよらぬ能力を発揮し、成果を出すところを私たちは目の当たりにしてきました。ひとつの求人と出会い、働くことで輝いていく姿は、なにものにも替えがたいものです。マイナビパートナーズ紹介は、これからも障がい当事者と企業の橋渡しをすることで、社会に貢献していきます。

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