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内部障害のある方が就職時に確認すべきポイント3つ|おすすめのサポートも紹介

目次

内部障害のある方が就職する時には、自身の症状に合った働きやすい職場で働きたいものです。
就職した後に職場の環境が合わないことがわかると、すぐに仕事を辞めることになるかもしれません。
そんなことにならないためにも、本記事では、内部障害のある方が就職時に確認すべきポイントについて解説します。

内部障害の種類

内部障害とは、体の内部に障がいがあることをいい、「身体障害者福祉法」で定められた次の7つを指します。

  • 心臓機能障害
  • 腎臓機能障害
  • 呼吸器機能障害
  • 膀胱・直腸機能障害
  • 小腸機能障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
  • 肝臓機能障害

心臓機能障害

心臓機能障害とは、心臓のポンプ機能が低下する障がいです。

血液によって全身に運ばれる酸素や栄養が少なくなると、動悸や息切れ、胸の痛み、疲れやすさなどの症状が現れます。安静にしていると症状は出ませんが、階段の上り下りなど日常生活で軽い運動をすると発作など体の不調を起こす場合があります。そのため、移動はエレベーターやエスカレーターを使う、作業は座って行うなど、心臓に負担をかけない生活を送ることが大切です。

心臓の機能を補うために、ペースメーカーの埋め込みや、人工の心臓弁の手術を行っている人もいます。

 腎臓機能障害

腎臓機能障害とは、腎臓の働きが悪くなり、身体に有害な老廃物や水分を排泄できなくなる障がいです。

老廃物などが体内に蓄積されていくと、血液の濃度や成分を調整できなくなり、むくみや息苦しさ、貧血などの症状が現れます。腎臓の機能を補う治療としては、定期的な人工透析治療や、腎臓移植手術が必要となる場合もあります。人工透析を受けている場合は、勤務日・時間の調整が必要となります。

気温や湿度の高い場所や発熱などで脱水症状を起こすと、腎臓に負担がかかります。そのため、適切な水分の確保による体調管理が必要です。

呼吸機能障害

呼吸機能障害とは、肺から酸素を取り込む機能が低下して、酸素と二酸化炭素の交換が上手くいかず酸素が不足する障がいです。体内の酸素が不足すると、日常的な動作でも呼吸困難や息切れ、息苦しさを覚えるといった症状が現れます。
不足した酸素を補うために酸素ボンベから酸素を吸入する在宅酸素療法や、相当に症状が悪化した場合は人工呼吸器を装着する治療を行うこともあります。日常からの体調管理に加え、職場では適切な温湿度の管理、タバコの副流煙を吸わないなどの働きやすい環境が重要となります。

膀胱・直腸機能障害

膀胱・直腸機能障害とは、膀胱や大腸の疾患によって、排泄に関わる神経や筋肉が上手く機能しなくなるという障がいです。具体的には、尿意や便意を感じられない症状や、排泄物を体外に排出できなくなる「排尿・排便困難」、尿や便を体内に溜めておくことができなくなる「尿・便失禁」などがあげられます。

排泄物を身体の外に出すために人工肛門や人工膀胱を造設している人のことを「オストメイト」と言います。お腹に排泄物を溜めておくための袋(パウチ)を付けており、溜まった排泄物は広めのトイレやオストメイト専用のトイレで処置する必要があります。

小腸機能障害

小腸機能障害とは、小腸がさまざまな原因で広範囲に切除された場合、もしくは病気によって機能が低下した場合に、栄養を吸収する能力が不十分となる障がいのことです。
さらに消化吸収も不十分になるため、日常生活では食事制限や食事コントロールが必要となります。栄養補給には鼻やお腹から管を入れて栄養を補給する、栄養素を鎖骨下の静脈から注入するといった方法がとられます。
多量に汗をかくなどで脱水症状を起こすと体内バランスの異常をきたしやすくなるため、室温や気温が高くない場所で過ごすことが大切です。

ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害

ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害とは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)への感染によって白血球の一種であるリンパ球が破壊され、免疫機能が低下する障がいです。免疫機能が低下すると、感染症にかかりやすくなり、発熱、下痢、体重減少、全身倦怠感が現れます。このような特定の病状が現れた時にエイズ(後天性免疫不全症候群)の発症となります。
現在では、適切な治療によって免疫機能の回復や、エイズの発症を遅らせることができるようになりました。

肝臓機能障害

肝臓機能障害とは、肝炎ウイルスなどさまざまな原因によって肝臓の機能が低下する障がいです。肝臓の機能が低下すると栄養や毒素を分解解毒することができなくなり、倦怠感や黄疸、浮腫、肝性脳症などの症状が現れます。
肝臓移植を受けることで、肝臓機能が正常化され日常生活は支障なく過ごせますが、食事制限や免疫抑制剤の服用などが必要となります。
なお、肝臓機能障害は 2010年に新たに内部障害として追加されました。

内部障害のある方が就職時に確認すべきポイント

内部障害のある方が就職先を決める時には、症状を悪化させない環境や制度、サポート体制が整っている職場を探すことが大切です。

内部障害のある方が就職時に確認すべきポイントをまとめると、次のようになります。

  • 職場環境
  • 勤務時間
  • 業務内容の調整可否

職場環境

これから働く職場がどんな環境なのか、あらかじめ確認することは大切です。特に内部障害のある人は、勤務中の体調不良に対応できる医療環境が整っているかよく見ておきましょう。
具体的なチェックポイントは、以下の通りです。

  • 健康管理室、休養室の設置
  • 基本的な医療機器(AED、血圧計など)の準備
  • 産業医・看護師の有無

さらに、「職場の室温や空調の温度が体調に合うか」「通勤にかかる時間はどのくらいなのか」「最寄り駅から職場までの距離はどうか」など、事前に職場へ訪問して確認しておくことも大切です。

勤務時間

体調によって長時間の勤務が難しい場合や、混雑する時間帯を避けて電車通勤したい場合には、時短勤務やフレックスタイム制など勤務時間を調整できる制度があると安心です。

定期的な通院が必要な方は、「有給休暇の初回付与はいつからになるのか」「通院のために取得できる通院休暇などの制度があるのか」「勤務日や時間帯の相談ができるのか」という点も合わせて確認しておくとよいでしょう。

業務内容の調整可否

就職先の業務内容が、自分の症状や体力に合ったものか確認しておくこともポイントです。「長時間の立ち仕事や力仕事など体力的に負担のかかる業務なのか」「残業や長距離移動が多い職場なのか」という点の確認は事前に必要です。

さらに、通院や急な体調不良で休む場合に備えて、業務の代替や分担などフォロー体制が整っているかも確認しておきましょう。

内部障害のある方が利用できる就職支援サポート

内部障害のある方が自分に合った就職先を探したい時に利用できる、就職支援サポートがあります。すぐに就職活動を始めたいのか、就職する前の訓練を希望するのかなど、自分の状況や希望に合ったものを選んで利用するとよいでしょう。

  • 転職エージェント
  • ハローワーク
  • 地域障害者職業センター
  • 就労移行支援事業所
  • 障害者就業・生活支援センター

転職エージェント

転職エージェントとは、民間の「人材紹介サービス」のことです。転職を希望する方に対して、多くの求人情報の中から条件や希望に合う企業を紹介してもらえます。

中でも障がい者雇用に関する幅広い知識や経験豊富な専門のアドバイザーが在籍する、「障がい者雇用特化型」の転職エージェントを利用するとよいでしょう。

障がい者雇用特化型転職エージェントでは、障がいの特性を理解して受け入れ体制が整った企業の紹介をしてもらえます。応募先が決まれば、応募書類の添削や面接対策などの幅広いサポートを受けられます。

マイナビパートナーズ紹介

ハローワーク

「ハローワーク」には、障がいのある方が就労するための専門の部署(障害者専門窓口)があり、障がいに関する専門的な知識のある担当者が、仕事に関する情報提供や、就職相談に応じてくれます。

ハローワークと連携する機関と協力して就業前に実習を受けられるサポートや、障がいのある方を対象とした就職説明会などもありますので、まずは気軽に相談してみましょう。

地域障害者職業センター

「地域障害者職業センター」とは、就職を希望する障がいのある方に対する専門的な職業リハビリテーションを提供している施設として、各都道府県に1カ所設置されています。

地域障害者職業センターには、障害者職業カウンセラーやジョブコーチなどの専門職員が在籍し、障がいのある方の希望に応じて職業評価や職業指導、職業リハビリテーションなど、一人ひとりの特性に合った専門性の高い支援を受けられます。

就労移行支援事業所

「就労移行支援事業所」は「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスのひとつです。一般企業に就職を目指す方に対する知識とスキルの向上のためのサポートを行っており、利用期間は原則2年間です。

利用できるのは、就業を希望する18歳以上65歳未満の障がい者の方です。事業所内や企業における作業や実習をはじめとして、適性に合った職場探しや就職後には職場定着のサポートを受けられます。

障害者就業・生活支援センター

「障害者就業・生活支援センター」とは、就業面と生活面の一体的な相談・支援を行う機関で、全国に334センターが設置されています。(平成30年4月現在)
障害者就業・生活支援センターでは、就業面は就業支援担当スタッフが、生活面は生活支援担当スタッフが分担してサポートを行うのが特徴です。職業準備訓練や職場実習のあっせん、就職後の職場定着支援などのサポートが受けられます。

まとめ

内部障害のある方が就職時に確認すべきポイントを紹介しました。就職先を決める時には、職場環境や勤務時間が自分の症状に合っているか、そして業務内容の調整が可能であるかを確認することが大切です。自分の状況にあった職場を見つけられれば、業務上で思い通りのパフォーマンスが発揮でき、長く働くことも可能となります。

また、就職先を探す時には内部障害のある方が利用できる転職エージェント等の就職支援サポートもありますので、上手に活用してご自分に合った就職先を見つけましょう。

マイナビパートナーズ紹介

【本記事監修者】
佐々木規夫様           

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

 

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