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障がい者が自己PRを考える際のステップ4つ|構成や成功させるポイントも紹介

目次

自己PRは、企業の採用担当者に興味を持ってもらうための大切なツールのひとつです。内容は同じでも、ちょっとした書き方の工夫で採用担当者に与える印象が大きく変わります。特に障がい者雇用枠の場合は、強みをきちんとアピールすること、また得意なことと苦手なことをはっきりさせることで、希望の企業への就職の道が開ける可能性があります。

本記事では、障がい者雇用枠において、採用に結びつく自己PRの方法をわかりやすく解説します。

自己PRとは


就職活動における自己PRとは、面接官に自分がどのような人物であるかをアピールするための重要なポイントです。自己アピールは自分の長所や強みを知ってもらうためのものと思われていますが、それだけに止まりません。自分の短所や弱みとそれを克服するための努力を同時に伝えることで、深みのある魅力的な人物像を描き出すことができます。

2021年3月から法定雇用率が増加し、障がい者を雇用する企業が増えている中、職を得ようとする障がい者も増えています。その中で希望の企業への内定を勝ち取るには、自らを差別化し、企業にとって有用な人材となることをアピールする必要があります。

ただし障がいの種類や程度によっては、どうしても苦手な業務があることも否めません。したがって障がい者雇用における自己PRは、一般採用者よりも「自分の得意なこと」「配慮があればできること」「苦手なこと」をきちんと主張し、得意な部分で企業の成長に貢献できることを明確に示す必要があります。

自己PRの構成


自己PRの構成において最も大切なポイントは、「結論を先に述べる」ことです。人気のある企業の場合、数万通のエントリーシートが届きます。その中で埋没せず、自分のエントリーシートに興味を持ってもらうためには、インパクトのある結論を最初におくことで「この先を読みたい」と思える構成にすることが重要です。

具体的には、以下の6部構成となります。

  1. 結論を述べる
  2. エピソードの概要を伝える
  3. 課題を明確に述べる
  4. 課題を解決するための行動を説明する
  5. 結果を伝える
  6. 仕事での活かし方を説明する

①結論を述べる

自己PRでは、まず結論を述べます。ここでいう結論とは、自分が最もアピールしたいポイントのことです。最も伝えたい部分を冒頭に述べることで、採用担当者の印象に残ります。

②エピソードの概要を伝える

次に、エピソードの概要を伝えます。上記の結論を補強し説得力を持たせるため、課題解決に至った具体的なエピソードを盛り込みます。エピソードは具体的であればあるほどよいでしょう。内容は部活動やサークル、アルバイトや留学などといった特別なものでなくてもよく、実際に経験したこと、そこから学んだことをはっきりと伝えることができれば、日常生活の一コマでも十分です。

③課題を明確に述べる

次に、②のエピソードで体験した課題を述べます。エピソードの中でどのような課題にぶつかったのか、その時自分が感じたことを端的に述べましょう。

④課題を解決するための行動を説明する

課題を明確にした後は、その課題を解決するために取った行動について説明します。課題⇨行動⇨解決の道筋が他人にもはっきりわかるように推敲を重ねましょう。ここがわかりにくいと、①で示した結論がぼやけてしまいます。

⑤結果を伝える

課題を解決するために取った行動の結果を伝えます。④の行動で③の課題は解決できたのか、数字であらわすことができるならば数値を用いて具体的に説明できるとよいでしょう。

⑥仕事での活かし方を説明する

最後に、上記①〜⑤で得た強みをどのように仕事に活かすか、その方法を説明します。この部分は企業が求める人物像に沿ったものにし、受ける企業ごとに異なったまとめ方をする必要があります。

障がい者雇用枠での自己PRを考える際のステップ

障がい者雇用枠での自己PRを考える際は、具体的には以下の4ステップの順で行うと、スムーズに項目を入れ込むことができます。

    1. これまでの経歴を洗い出す
    2. 自己の障がい理解を深める
    3. 企業分析をおこなう
    4. アピールしたい自分の強みを考える

①これまでの経歴を洗い出す

まず、これまでの経歴をすべて洗い出してみましょう。具体的なエピソードを書くには、このステップが最も大切なポイントとなります。

経歴を洗い出すコツは、どんなささいなことでも、良いことも悪いことも思いつくままに書き出すことです。就職経験がある方は、これまでに勤めた企業や担当した業務、取得した資格や免許、あげた実績など思いつくことすべてあげてみましょう。

就職経験がない方の場合は、これまでの人生を振り返り、部活や習い事、趣味なども含め、やってきたことや取得した資格などをあげてみます。このステップをきちんと行うことで、自分でも見逃していた意外な長所や強みが出てくることがあります。

②自己の障がい理解を深める

より良い自己PRの作成には、自己の障がいに対する理解を深めることが大切です。「障がいはあるけれど普段困っていない」などの理由でご自身の障害等級などを知らない方も時々見受けられます。しかしながら障がい者雇用でエントリーする場合には、障害者手帳に記載された障害名と障害等級は必ず聞かれる項目の一つですので、ご自身の障がいについて振り返る時間をとりましょう。

理解を深めるコツには以下のような方法があります。

【得意なこと、苦手なことをまとめる】
同じ障がいの名前や等級がついていても、人によって得意なことと苦手なことに違いがあります。たとえば聴覚障害を例にとると、耳元で話せば聞こえる人もいれば、全く聞こえない人もいます。自分が得意なこと・苦手なことについて棚卸しをしてみましょう。

【苦手なことにはどのような配慮が必要なのかセットで考える】
苦手なことや負荷がかかってしまう場合でも、合理的配慮を受けることで安心して働くことが可能となるケースもあります。

例えば、以下のような配慮の例があげられます。

      • ・車椅子の方の時差出勤、広い作業スペースの使用
      • ・視覚障害のある方への音声読み上げソフトを準備
      • ・精神障害のある方が安定して働けるよう小休憩の時間を設ける、仕事に取り組みやすいように優先順位を明確にする
      • ・口頭での指示を受けるのが苦手な方のために、イラスト付き業務マニュアルなどの準備

自己PR時に必要な配慮を具体的に提示することで、企業としても勤務時のイメージがしやすくなります。自分自身を振り返ってゆっくりと考える時間を、できるだけ取ってみましょう。

③企業分析をおこなう

企業分析は、自己PRを作成する上で重要なポイントのひとつです。企業や職種によって採用したい人物像が異なるため、その企業が求めるものを把握して自己PRを作成する必要があります。複数の自己PRを作成するのは時間も手間もかかりますが、全ての企業に通用する自己PRを作ろうとすると焦点がぼやけ、結局どの企業にも通用しない自己PRとなってしまいます。また、志望する企業について全く触れていない自己PRは、入社への意欲が低いと取られますので注意が必要です。

企業分析のポイントとしては、まず興味のある業界の中で、いくつかある企業を「業態」「企業規模(売上高、従業員数、資本金など)」「資本」「サービスの対象」などでざっくり分類してみます。その後、企業ごとに特徴を押さえるとわかりやすい分析が可能です。

④アピールしたい自分の強みを考える

企業分析で意中の企業がいくつかに絞れたら、①②と合わせてアピールしたい自分の強みを考えましょう。その際に押さえておきたいポイントは次の通りです。

【企業のニーズを満たす】
応募者側にも理想の企業があるのと同じように、企業側にも採用したい理想の人物像があります。自分で強みと思っているアピールポイントが、企業側のニーズと合っているかよく検討しましょう。

【具体的な根拠も併せて用意する】
アピールポイントを説明する際には、具体的な根拠も合わせて用意しておきましょう。例えば「英語が得意です」という場合には、「TOEIC〇〇点である」「海外の企業との取引の担当であり英語でやり取りをしていた」と具体的な理由も示しておくと説得力が上がります。

障がい者雇用枠での自己PRをおこなう際のポイント

採用担当者の目を引く自己PRをおこなう際の重要なポイントを3つお伝えします。これは障がい者雇用に限らず、一般採用でも有効な方法です。障がい者雇用とともに一般採用へ応募している方も、ぜひ参考にしてみてください。

      • ・数字を使用する
      • ・複数の時間制限の自己PRを用意する
      • ・配慮があれば可能であることを伝えられるよう準備する

数字を使用する

自己PRを作成する時には、数字を上手に使用するとよいでしょう。エピソードの中に数字を入れ込むことで具体性が増し、説得力のある自己PRとなります。
実績を出すときに、数字を使用した場合と使用しなかった場合の例文を比較してみましょう。
「コンサルした企業の売上が2倍に増えた」
「コンサルした企業の売上が大きく増えた」

上記の例文を見れば、数字を用いた前者の方に説得力があることがわかります。

複数の時間制限の自己PRを用意する

自己PRは、複数の時間制限のものを用意しておきます。面接では、「1分間で自己PRをしてください」などと要求されることがあります。1分間というのは思ったよりも長いので、必要なことを過不足なく説明できるようにするには事前の準備が不可欠です。

1分間で人に伝わるようにきちんと話そうとすると、およそ300文字くらいが適当であると言われています。企業によっては自己PRの時間が異なるため、1分だけではなく、2分、3分など、時間を決めた自己PRを複数準備しておきましょう。さらに集団面接などに対応できるよう、30秒程度のショートバージョンも準備しておくと安心です。

配慮があれば可能であることを伝えられるように準備する

障がいの程度は人によって違います。自己PRをする際は、自分の場合はこの業務であれば配慮があれば可能であるということを伝えられるように準備しておきましょう。

準備する際のポイントは、得意なことと苦手なことをはっきりさせること、そして配慮があれば就業可能である場合は、具体的な配慮の内容を記載することです。

まとめ

障がい者雇用での自己PRを行う上でのポイントと、実際の構成についてお伝えしました。障がい者雇用枠に関わらず、企業側は職場で活躍してくれる従業員の一人として採用しています。自分が企業の期待に応えることができる人材であることをアピールすることが、採用への近道です。自己PRは事前にゆっくりと準備できますので、時間をかけてじっくりと取り組んでみましょう。

マイナビパートナーズ紹介

【本記事監修者】
佐々木規夫

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

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障がい者本人が思いもよらぬ能力を発揮し、成果を出すところを私たちは目の当たりにしてきました。ひとつの求人と出会い、働くことで輝いていく姿は、なにものにも替えがたいものです。マイナビパートナーズ紹介は、これからも障がい当事者と企業の橋渡しをすることで、社会に貢献していきます。

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