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お役立ちコラム

障害者手帳の等級の違い|保有するメリット・デメリット紹介

目次

「障害者手帳」を持つとメリットがあることは知っていても、種類や等級によってどのような支援・サービスを受けられるかはよくわからないという方は少なくないでしょう。

ここでは障害者手帳を持つかどうかを検討中の方に向けて、障害者手帳の種類・等級、受けられるサービスの違い、メリットだけでなく保有することで起こるかもしれないデメリットについて説明します。

障害者手帳とは

障害者手帳とは、なんらかの障がいのある方が自ら申請することで交付される手帳のことです。
所持することで、金銭的・身体的なサポートを自治体や事業者から受けられることがあります。

障害者手帳には次の3つの種類があります。

  • 身体障害者手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 療育手帳(愛の手帳)

身体障害者手帳

身体障害者手帳は身体の部位など身体上の障がいがある方に交付される手帳です。 交付の対象となる障がいと、それぞれに用意されている等級は次の通りです。

対象となる障がい 等級
肢体不自由 1級 〜 7級
視覚障害 1級 〜 6級
聴覚障害 2級 〜 6級
音声機能・言語機能・そしゃく機能障害 3級 〜 4級
内臓機能障害 1級 〜 4級
 

精神障害者保健福祉手帳

精神障害がある方に交付される手帳が、「精神障害者保健福祉手帳」です。ほぼすべての精神障害が交付の対象となります。

  • 統合失調症
  • 気分障害(うつ病やそううつ病など)
  • てんかん
  • 薬物依存症
  • 高次脳機能障害
  • 自閉症・学習障害・ADHD(注意欠陥多動性障害)などの発達障害
  • ストレス関連障害など上記以外の精神疾患

療育手帳(愛の手帳)

「療育手帳」は知的障害がある方に交付される手帳です。東京都・横浜市では「愛の手帳」、青森県・名古屋市では「愛護手帳」などと、自治体によって呼び方が異なります。

交付の対象は次の通りです。

  • 児童相談所、または知的障害者更生相談所で知的障がいと判定された方

また、等級は基本的に重度(A)とそれ以外(B)の二つに分けられています。

重度(A)の基準は次の通りです。

  • 知能指数が概ね35以下であり、食事・着替え・排便・洗面などの日常生活に介助が必要となるか、異食・興奮などの問題行動がある方
  • 知能指数が概ね50以下で目が見えない(盲)、耳が聞こえず言葉を発せない(ろうあ)、四肢に不自由があるなどの方

それ以外(B)の基準は次の通りです。

  • 重度(A)のもの以外

自治体によっては重度(A)とそれ以外(B)の2分割ではなく、さらに詳細に分けられています。

たとえば東京都「愛の手帳」であれば、1度(最重度)、2度(重度)、3度(中度)、4度(軽度)の4区分となっています。

障害者手帳の等級の違い

障害者手帳の等級は1級が一番障害の程度が重く、受けられる支援内容も等級によって異なります。
障害者手帳の種類別に等級によってどのような支援を受けられるのか、岐阜県恵那市を例に挙げて紹介します。
受けられる支援内容は各自治体によって異なりますので、詳しくはお住まいの自治体で確認してください。

身体障害者手帳の等級とサービスの違い

身体障害者手帳の等級の内容は、次の通りです。

等級 症状の目安
身体障害者手帳1級 良い方の視力が0.01以下、両上肢や両下肢の機能が全廃、内臓の影響で日常生活が極度に制限される、免疫・肝臓機能障害により日常生活がほとんどできない等
身体障害者手帳2級 良い方の視力が0.03以下、両耳の聴力が100デシベル以上、両上肢や両下肢の機能に著しい障害をもつ、免疫・肝臓機能障害により日常生活が極度に制限される等
身体障害者手帳3級 良い方の視力が0.04以上0.07以下、両耳の聴力が90デシベル以上、音声・言語・そしゃく機能の喪失、一上肢の機能の著しい障害、一下肢の機能の全廃、内臓の影響で家庭内での日常生活が著しく制限される等
身体障害者手帳4級 良い方の視力が0.08以上0.1以下、両耳の聴力が80デシベル以上、音声・言語・そしゃく機能の著しい障害、両上肢のおや指を欠くもの、両下肢のすべての指を欠くもの、内臓の影響で社会での日常生活が著しく制限される等
身体障害者手帳5級 良い方の視力が0.2かつ他方の視力が0.02以下、平衡感覚の著しい障害、両上肢のおや指の著しい障害、一下肢の股関節または膝関節の機能の著しい障害、体幹の機能の著しい障害等
身体障害者手帳6級 視力の良い方の眼の視力が0.3以上0.6以下かつ他方の視力が0.02以下、両耳の聴力が70デシベル以上、一上肢のおや指の機能の著しい障害、一下肢の足関節の機能の著しい障害等
身体障害者手帳7級 一上肢の機能の軽度の障がい、両下肢のすべての指の機能の著しい障がい等

等級ごとに受けられる支援は自治体により内容は異なりますので、詳しくは障害者手帳を交付された自治体で確認してください。

  1級 2級 3級 4級 5級 6級
福祉医療費助成
所得税・住民税控除
特別障害者手当
自立訓練(機能訓練・生活訓練)
特別障害者手当

○…該当 △…一部該当

引用元:「障がい等級別サービス早見表(岐阜県恵那市)

精神障害者保健福祉手帳の等級とサービスの違い

精神障害者保健福祉手帳の等級は、精神障がいの程度によって1級〜3級に分かれています。

等級 症状の目安
精神障害者保健福祉手帳1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度の精神障害
精神障害者保健福祉手帳2級 日常生活が著しい制限を受ける、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の精神障害
精神障害者保健福祉手帳3級 日常生活もしくは社会生活が制限を受ける、または日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度の精神障害

精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた場合、等級別で次のような支援を受けられます。

  1級 2級 3級
特別障害者手当
特別児童扶養手当
所得税・住民税の控除
バス運賃の割引

○…該当 △…一部該当

引用元:「障がい等級別サービス早見表(岐阜県恵那市)

療育手帳(愛の手帳)の等級とサービスの違い

療育手帳(愛の手帳)の等級は重度(A)とそれ以外(B)に分かれています。

岐阜県恵那市のように地域によっては最重度(A1)、重度(A2)、中度(B1)、その他(B2)の4つに細分化されていることがあります。

等級 症状の目安
療育手帳 最重度(A1) 常時すべての面で介助が必要、知能指数が概ね20以下等
療育手帳 重度(A2) 常時多くの面で介助が必要、知能指数が概ね35以下等
療育手帳 中度(B1) 一部の面で介助が必要、知能指数が概ね50以下等
療育手帳 その他(B2) A1、A2、B1に該当しない知的障害者、知能指数が概ね70以下

療育手帳の交付を受けた場合、等級別で次のような支援を受けられます

  最重度(A1) 最重度(A2) 中度(B1) その他(B2)
福祉医療費助成
知的障害者交通費助成
障がい者いきいき住宅改善助成
所得税・住民税の控除
特別児童扶養手当

○…該当 △…一部該当

引用元:「障がい等級別サービス早見表(岐阜県恵那市)

障害者手帳を保有するメリット

障害者手帳を保有するメリットとしては、主には金銭的、身体的なサポートを受けられることとなります。

  • 医療費の助成や手当を受けられる場合がある
    等級により内容は異なりますが、障害者手帳を持っていることにより医療費の助成などの金銭的サポートを受けられることがあります。
  • 交通費や通信費など公共料金の割引がある
    バスや電車、タクシーなどの利用料が割引されることがあります。
  • 税金の控除・減免がある
    所得税や住民税が控除され、等級によっては自動車に関連する税金が減免されることもあります。
  • 障がい者雇用枠で就職活動ができる
    就職活動の際、障がい者雇用枠で応募でき、障がいについて理解された上で企業へ就職できます。

障害者手帳を保有するデメリット

基本的にはメリットのほうが多い障害者手帳ですが、保有することによるデメリットもあります。ここでは、次の3点を紹介します。

  • 診断料が必要になる
    障害者手帳を発行する場合は診断書が必要になるため、そのための診断料が必要になります。
  • 精神障害者保健福祉手帳は2年に一度更新手続きが必要となる
    更新時は再度診断書の提出が必要となり、症状が軽くなった場合は手帳を保有できなくなります。
  • 障がい者雇用枠では一般雇用より収入が低くなる可能性がある
    障がい者雇用枠では配慮が得られる反面、収入や役職が上がりにくい可能性もあります。

まとめ

障害者手帳の等級と、受けられる支援・サービスについて紹介しました。

等級の認定や受けられる支援は、交付される障害者手帳の種類や自治体によって異なります。いずれも金銭的・身体的なサポートを受けられるメリットが大きいため、特別な理由がなければ申請をして早めに交付を受けておくとよいでしょう。

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【本記事監修者】
佐々木規夫様       

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

 

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