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統合失調症の方におすすめの職業3選|よくある仕事の悩みも説明

目次

統合失調症は、回復までの期間や症状が一人ひとりさまざまである病気です。症状の再燃を防ぐには、服薬はもちろんのこと、統合失調症という疾患理解を深めるのは大切です。またストレスとの関係によって症状が悪化する懸念もありますので、自分にあった仕事を選ぶことも大切といえるでしょう。

ここでは統合失調症の方がどのように仕事に向き合うべきか理解するために、統合失調症の症状や業務上での悩み、職業を探すときのポイントから具体的な職業名も挙げて紹介します。

統合失調症とは

統合失調症は、脳内の神経伝達物質に異常が現れ、脳や心の状態がまとまらなくなる病気です。ネガティブな幻覚や妄想が現実に起こっているかのように感じたり、やる気が起こらなかったりといった症状が表れます。

統合失調症は100人に1人が発症するといわれており、珍しい病気ではありません。明確な発症原因についてはわかっておらず、人間関係や仕事による精神的なストレス、結婚や就職などライフステージの変化で感じる緊張や不安も発症のきっかけの一つになりうると考えられています。

統合失調症の症状は、陽性症状・陰性症状・認知機能障害の3種類となります。

 陽性症状

陽性症状は、実際には存在しないものが見えたり感じたりする症状のことです。陽性症状は統合失調症の症状としてわかりやすく周囲の人にも影響を及ぼしやすいですが、薬が効きやすいという特徴があります。

具体的には、次のような症状が陽性症状として挙げられます。

  • 妄想
  • 幻覚(幻聴・幻嗅・幻触・幻味)
  • 思考障害
  • 自我障害

幻覚や妄想が活発になると、言動が支離滅裂になったりすることもあります。また、陽性症状は急性期に見られやすい症状として知られていますが、必ずしも急性期だけにみられるとは限りらず、その後も症状が長く続く方もいます。

陰性症状

陰性症状とは、意欲や感情など健康な状態だったらあるものが失われてしまう症状です。
陰性症状は陽性症状とは反対に目立ちにくい症状です。薬が効きにくく、時に周囲の助けや理解が必要となることがあります。

具体的には、次の症状が陰性症状として挙げられます。

  • 意欲低下
  • 感情の平板化
  • 思考力の低下
  • 無関心
  • 自閉(引きこもり)

陰性症状は生き生きとした日常生活が送りにくくなる深刻なものですが、周囲からは怠けているように見えてしまったり、本人の努力が足りないと誤解されたりすることがあります。

認知機能障害

認知機能障害とは理解力や判断力、計画能力や問題解決力など、認知的な能力の低下によって認められる症状のことです。

具体的には次の症状が認知機能障害として挙げられます。

  • 記憶力の低下

何をしようとしていたのかわからなくなったり、物事を覚えるのに時間がかかることがあります。

  • 注意力や集中力の低下

目の前のことに集中を持続させることや、考えをまとめることが難しくなることがあります。

  • 判断力の低下

物事の優先順位や、計画を立てて業務を遂行することに支障がでることがあります。

統合失調症のある方によくある仕事の悩み

統合失調症といっても人によって症状はさまざまですが、よくある仕事の悩みとして、以下の3つが挙げられます。

  • 疲れを感じやすい
  • 集中できない
  • やる気が起きない

疲れを感じやすい

統合失調症の方の中で疲れを感じやすいことが悩みの方もいらっしゃいます。

体力を消耗しやすいことから欠勤や遅刻など、勤務状況に影響が出ることもあるでしょう。疲労について職場内で言い出しにくく、さらにストレスを感じる方もいるかもしれません。

中には周囲の物音や光といった刺激に敏感な方も多く、脳への負担が大きいことからも、普段の生活を送るだけで疲れを感じるケースもあります。

集中できない

統合失調症の方には認知機能障害により集中力や注意力の低下がみられる方がいらっしゃいます。

ほかにも、問題解決力・計画能力・実行力、複数の物事をグループ化する統合力などの能力が低下する方も見受けられます。

集中力の低下によって効率の良い手順を順序立てて考えられない、優先順位をつけられないことが悩みの原因となりうるでしょう。

やる気が起きない

統合失調症の陰性症状のため、なかなかやる気が起こらない、意欲が湧かないといった症状がみられる方もいらっしゃいます。

仕事中に意欲が湧きにくいことにより、周囲から注意や指摘を受けることとがあるかもしれません。時には自己嫌悪に陥ったり、二次的に抑うつ症状をきたすこともあります。そのような場合も、自らのペースを守りながら仕事をし、それでも体調が回復しない場合は、職場で業務調整を依頼することも必要となります。

統合失調症の方が職業を探す際のポイント

統合失調症の方は仕事、次の3つのポイントに注意して仕事を探すとうまくいくでしょう。

  • 特性に合った仕事に就く
  • 再発の前兆を理解しておく
  • 通院を怠らない

特性に合った仕事に就く

統合失調症の症状は多彩であることから、一人ひとりの症状は異なります。一般的には、長時間労働や不規則な勤務時間、精神的な緊張が高い仕事は症状の再発に影響すると考えられます。仕事を探す際は、そのような負担の少ない職場を選ぶとよいでしょう。

また、コミュニケーションが多く人間関係のストレスを生じやすい仕事、マルチタスクのような認知的な負荷が高い仕事も負担が大きいといえます。

就職活動のときには、自身の症状について事前に伝えておくことも対策の一つです。統合失調症の症状には個人差があり、事前にお伝えして周囲からの理解を得ることで、安心して働ける可能性が高くなります。

再発の前兆を理解しておく

再発とは、一定期間病状が安定していたにもかかわらず、なんらかの病気を誘発するようなストレスをきっかけに症状が増悪してしまうことです。

統合失調症は再発しやすい病気であり、発病してからは長期での注意が必要です。
再発の前兆は人それぞれのパターンがあるため、自身の場合はどのような前兆があるかを理解しておきましょう。

再発の前兆として、次が一例として挙げられます。

  • 落ち着きがなくなる、不安や焦りを感じる
  • 不眠が続く
  • 食欲がなくなる
  • イライラする
  • ぼんやりと考え事をする
  • 被害妄想をしてしまう

いち早く前兆に気付けると、早期に病院にかかれて再発を防ぐことにつながります。仕事をしているときに再発の前兆が現れたら、すぐに通院できるように職場とも事前に相談しておくことが望ましいでしょう。

通院を怠らない

統合失調症は治療を受けるだけでなく、患者自身が前向きに治療に取り組むことが大切と考えられています。

回復まで時間がかかる病気なので、継続して外来通院を行なう必要があります。バランスの良い食事・十分な睡眠・適度な運動など、普段の生活に気をつけるのも重要です。

働けるようになっても必ず通院をし、適切な治療を続けることが大切です。

統合失調症の方におすすめの職業

ここまでのポイントを踏まえて、統合失調症の方にはどのような職業がおすすめなのかを紹介します。

具体的には、次の職業がおすすめです。

  • 事務職
  • 軽作業
  • 商品管理

事務職

事務職は仕事内容が多岐にわたるものの、中にはルーティーンワークもある職業です。

書類整理やデータ入力など、あまり人とかかわらず自分のペースで取り組める作業であれば、大きな負担を感じずに業務に取り組めるでしょう。

障がい者雇用枠で募集されている事務職は、未経験でも働きやすい業務となっているのも統合失調症の方にとって良い点の一つです。
気になる求人を見つけたら業務内容を確認してみて、自分に合うかどうかを検討してみるとよいでしょう。

軽作業

軽作業は内容が覚えやすい定型的な業務が多いです。倉庫や工場で荷物を運ぶ、梱包する、仕分けをする、などの業務が挙げられます。

接客業のように人と関わる緊張感や営業職のようなノルマも少ないため、統合失調症の方が働きやすい仕事の一つと考えられます。

商品管理

商品管理や在庫管理も統合失調症の方に向いている仕事です。
スーパー・家電・服などの店内や倉庫で、商品の在庫数や入荷した商品の確認、棚卸しなどを行ないます。
検品や梱包など軽作業の業務から経験を積んでおくと、商品管理のような仕事にも無理なく対応できるようになるといえるでしょう。

まとめ

統合失調症について、症状や仕事中のお悩み、向いている職業について紹介しました。

統合失調症の方が職業を探すときは現在どのような症状が出ているのかを把握し、再発の前兆が自身の場合はどのようなものかを理解し、通院を続けることが大切です。

統合失調症のある方は、ストレスを感じにくい職種を選ぶことがポイントとなります。本記事を読んで、納得のできる仕事選びができれば幸いです。

マイナビパートナーズ紹介

【本記事監修者】
佐々木規夫様    

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

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