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障がい者雇用枠とは?必要となる障害者手帳の等級についても説明

目次

障がい者雇用枠という制度が気になるものの、どのような採用枠で、どのようなメリットがあるのか知らないという方は少なくないのではないでしょうか。障がい者の雇用は以前よりも充実してきており、現在では一定の人数を超える企業では障がい者を雇用することが義務付けられています。

本記事では、障がい者雇用枠が気になる方のために、障がい者雇用枠とはどのようなものか、また、障がい者雇用枠に応募するために必要な障害者手帳について説明します。

障がい者雇用枠とは

障がい者雇用枠とは、障がい者を対象とした採用枠で企業が雇用を行なうことです。

障がいの有無に関わらずどのような人であっても能力や希望に合った職業選択ができるようにと国が障がい者雇用対策を進めており、企業は労働者の2.3%に値する人数を障がい者雇用として採用枠を設けるよう推進されています。

そのため、障がい者雇用枠では一人ひとりの状況や特性を配慮した上で採用が行なわれます。

障がい者雇用枠で働くメリット

まず、障害者雇用にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは、次の2点について紹介します。

  • 合理的配慮を受けられる
  • 就職しやすくなる

合理的配慮を求めることができる

障がい者雇用枠で働くメリットとして大きいものが「企業から合理的な配慮を求めることができる」という点です。

障害者雇用促進法において障がいの有無による差別は禁じられているため、企業がどのような配慮をする必要があるか、配慮・対応が行なわれる範囲について合理的に取り決めが行なわれた状態で入社ができます。

障がいに対する配慮は一般雇用では必ずしも行なわれるとは限らないため、労働環境に不安を感じる方は障がい者雇用枠による就職を検討してみるとよいでしょう。

具体的には、下記のような配慮を求めることができます(下記は一例となります)

  • 車椅子の方の時差出勤、広い作業スペースの使用
  • 視覚障害のある方への音声読み上げソフトを準備
  • 精神障害のある方が曖昧な情報や一度に複数の情報を伝えると対応できないときには、具体的な内容や優先順位を示すようにする。
  • 口頭での指示を受けるのが苦手な方のために、イラスト付きの業務マニュアルなどが準備される

就職しやすくなる

障がい者雇用枠では、一般雇用に比べて応募しやすい条件であることが多いでしょう。具体的には、未経験の方でも応募ができたり、求められるスキルが多くないということがあります。

現在では障がい者の雇用を促進するため、2020年に改正障害者雇用促進法により1ヶ月あたり10時間以上20時間未満の労働時間であっても条件を満たしていれば企業に特例給付金が支給される制度が適用されています。

このことから、以前よりも障がい者が求人に応募できる機会が増えているといえるでしょう。

障がい者雇用枠に必要な「障害者手帳」とは

障がい者雇用枠は障がいのある方が働くうえでメリットのあるものですが、障がい者雇用枠で採用されるためには障害者手帳が必要となります。

ここでは障害者手帳にはどのような種類があるのか、また障害者手帳の等級について紹介します。

障害者手帳の種類

まずは障害者手帳の種類、3つについて紹介します。

  • 身体障害者手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 療育手帳(愛の手帳)

手帳の種類によって対象となる疾患や障がい、受けられる支援の種類が異なります。受けられる支援は共通のものもあれば、手帳の種類や等級、自治体で異なるものあるため、詳しくはご自分が交付された手帳やお住まいの地域の支援内容を確認してください。

身体障害者手帳

身体障害者手帳は身体の部位など身体上の障害がある方に交付される手帳です。

具体的には下記のような障がいがある方が対象となります。

  • 視覚障害
  • 聴覚や平衡機能障害
  • 音声、言語機能障害
  • 四肢の不自由
  • 心臓、腎臓、膀胱、腸、肝臓、免疫系などの内部障害

いずれも障がいの種類ごとで基準が定められており、永続するものであることが要件とされています。

身体障害者手帳が交付された場合、医療費の助成、税金の優遇、電車利用や自動車の改造費などの外出支援、補装具や手話通訳者の派遣費といった生活支援が受けられることがあります。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害がある方に交付される手帳が精神障害者保健福祉手帳です。すべての精神障害が交付の対象となります。

  • 統合失調症
  • 気分障害(うつ病や双極性障害等)
  • てんかん
  • 薬物依存
  • 高次脳機能障害
  • ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)LD(学習障害)等の発達障害
  • ストレス関連障害など上記以外の精神障がい

精神障害者保健福祉手帳が交付されると他の障害者手帳と同じく税金や公共料金など減免や交通費の助成等を受けることができます

また、精神障害のある方の通院での医療費の自己負担を軽減する、自立支援医療(精神通院医療)制度があります。障害者手帳とは別の制度ですが、精神障害者保健福祉手帳と同時に申請や更新の手続きができる場合があります。

療育手帳(愛の手帳)

療育手帳は知的障害がある方に交付される手帳であり、自治体により「愛の手帳」や「みどりの手帳」等ともよばれています。知的障がいは18歳未満の発達期に起こり、日常生活に支障が出ることから援助が必要になると考えられています。

交付の対象は次の通りです。

  • 児童相談所、または知的障害者更生相談所で知的障害と判定された方

交付にあたっては知能測定値・日常生活でできることの程度・社会性・医学的所見などから総合的に判断されるため、知能測定値だけが低いといった場合などは交付の対象となるかどうか判断できないことがあります。

また、発達期以降で発症した病気や外傷により知的機能の低下が起こった場合は、状況によっては療育手帳ではなく精神障害者保健福祉手帳の交付対象となることがあります。

受けられる支援には、他の障害者手帳と同じく税金や公共料金など減免や交通費の助成などがあります。

障害者手帳の等級

障害者手帳は種類によって用意されている等級が異なり、障がいの程度によってどの等級によるかが分けられています。

種類と等級によって受けられる支援が異なりますので、詳しくはお住まいの自治体に確認してください。

身体障害者手帳

身体障害者手帳では、等級は1級〜7級に分けられています。1級に近づくにつれて障がいの程度が重くなり、支援を受けられるのは6級から、もしくは7級が二つとなった方です。7級が一つだけの場合は支援の対象外となります

また、どのような項目で身体障害者手帳を交付されたかによっても等級の段階が異なります。視覚障害で交付を受けている場合は1級〜6級、聴覚障害は2級〜6級、心臓や腎臓など内臓機能系では1級〜4級、上肢障害では1級〜7級とさまざまです。

1級の目安としては視力が0.01以下や、両上肢や両下肢が全廃している、内臓の影響で日常生活が極度に制限されることなどが挙げられます。

受けられる支援は自治体により詳細はことなりますが、例としては1級や2級では特別障害者手当や障害児福祉手当が受けられること、3級〜4級や肢体不自由の方は自動車取得税の減免が受けられることなどが挙げられます。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳では1級〜3級まで用意されており、精神疾患の状態と能力がどれくらい障害されているかにより等級が決まります。

  • 1級:精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
  • 2級:精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
  • 3級:精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

厳密な判定基準は、精神疾患の状態と能力障がいの2点から決められています。精神疾患の状態については統合失調症・てんかん・非定型精神病など精神疾患の種類ごとで、能力障がいの状態は食事・日常生活の動作・社会性に関係する項目から基準が決められています。

療育手帳(愛の手帳)

療育手帳の等級は基本的に重度(A)とそれ以外(B)の二つに分けられています。

重度(A)の基準は次の通りです。

  • 知能指数が概ね35以下であり、食事・着替え・排便・洗面などの日常生活に介助が必要となるか、異食・興奮などの問題行動がある方
  • 知能指数が概ね50以下で目が見えない(盲)、耳が聞こえず言葉を発せない(ろうあ)、四肢に不自由があるなどの方

それ以外(B)の基準は次の通りです。

  • 重度(A)のもの以外

また、自治体によっては東京都(愛の手帳)のように1度(最重度)、2度(重度)、3度(中度)、4度(軽度)のように、さらに細分化している場合もあります。

まとめ

障がい者雇用枠のメリットや、障害者手帳とはどのようなものかについて紹介しました。

障がい者雇用枠では合理的な配慮を受けられることや、一般雇用枠よりも就職しやすくなるといったメリットがありますので、就職後の働きやすさも大切にされる上でおすすめの手段です。

障がい者雇用枠に応募するためには障害者手帳が必要となります。身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳(愛の手帳)の3種類があり、それぞれ用意されている等級にも違いがあります。

障害者手帳は障がい者雇用枠で就職活動をするために必要なだけでなく、持っていることで受けられる支援もあります。自身の障がいに向き合うためにも、特別な理由がなければ交付を受けておくとよいでしょう。

障がい者雇用枠で働くか迷っている方は、転職エージェントに相談することも手段の一つです。転職エージェントでは、キャリアアドバイザーが面談やカウンセリングを通して、その人の希望や特性に合った仕事の紹介や、就職後のサポートなどを行っています。

障がいのある方に特化した転職エージェントもあるため、自分に合った働き方を探していくうえで検討してみるといいでしょう。

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【本記事監修者】
佐々木規夫様      

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

 

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