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上肢障害の方におすすめの仕事4選|よくある悩みや役立つサービスも紹介

目次

上肢障害の方に向いている仕事や働きやすい環境とは、どのようなものでしょうか?今回は、上肢障害の方におすすめな仕事や求職支援サービス、就職活動時に注意したいポイントなどを紹介します。

また上肢障害のある方々が抱えやすい悩みや、働きやすいと感じる職場の条件なども解説。就職または転職を考えている当事者の方はもちろん、誰もが暮らしやすい環境作りを目指す方々もぜひ参考にしてください。

上肢障害とは

上肢障害の原因は上腕欠損などの先天的なものから、後天性の病気や怪我といった出来事までさまざまです。また上肢障害の程度は個人差が大きいのも特徴です。腕や手を失い上肢の運動機能そのものが消失している場合もあれば、一部の動作のみが制限される場合もあります。

上肢障害の方が抱える仕事に関する悩み

上肢障害の方が抱える仕事上の悩みには、下記のようなものが挙げられます。

  • 業務内容が制限される
  • 作業に時間がかかることがある
  • 通勤が大きな負担である

仕事の種類や職場環境によっては、快適に作業するのが難しいこともあるでしょう。以下では、それぞれのケースを詳しく紹介します。

業務内容が制限される

上肢障害のある方々は腕や手での動作に制限があるため、業務内容によっては対応できないものがあります。例えば紙媒体が上手く扱えないケースでは、資料のページをめくるのが難しいことも。また重いものを持つ業務も負担が大きいため、品出しや荷運び作業がメインの仕事はミスマッチになる可能性があります。

作業に時間がかかることがある

上肢障害のある方は、動作の制限から特定の作業で時間がかかることがあります。例えばキーボードでデータ入力を行う場合に、片手で入力する等の理由によって、どうしてもスピードが出ないということがあります。

他にも大量に物を運ぶ時も、一度に持てる量に制限があって結果として時間がかかってしまうという場合があります。

通勤が負担である

上肢障害のある方にとっては、ラッシュアワーや長時間の通勤が身体の負担になることも考えられるでしょう。上肢障害当事者の中には、何かに掴まるのが難しいという方もいらっしゃるかと思います。そのため電車やバスなどで、つり革や手すりを利用できないことがあります。咄嗟に姿勢を保持するのが難しく、最悪の場合怪我や事故に繋がる可能性もあるでしょう。

上肢障害の方が働きやすい仕事環境

上肢障害の方が働きやすい仕事環境とはどういった環境でしょうか。上肢障害いといっても個人個人異なりますが、傾向として働きやすい環境を紹介します。

  • 通勤時間や働き方に配慮してもらえる
  • 相談しやすい雰囲気である

通勤時間や働き方に配慮してもらえる

通勤時間や働き方に配慮してもらえる職場は、上肢障害のある方々も働きやすい環境だと言えるでしょう。

例えばフルリモートでの参加が選択できれば、出勤による身体の負担を減らせます。またフレックスタイム制の利用によって、混雑する時間帯を避けて出社したり勤務時間を調整したりすることも可能です。

フルリモートやフレックスタイム制を導入していない企業でも、時短・時差出勤が可能であれば負担減につながります。

障がいの特性によって通勤ラッシュの電車に乗ることが難しい場合に、時間をずらした出勤が認められるといった職場環境であれば、負担を減らし業務に集中しやすくなると言えます。

相談しやすい雰囲気である

相談しやすい雰囲気の職場であるかどうかは、障がいがある方の働きやすさに影響します。さまざまな仕事をこなしていくなかで、障がいの特性によって難しい仕事に直面することもあると思います。

そういったときにサポートが求めやすい環境ですと、早めに解消できて働きやすさにつながっていきます。

例えばオフィスにラミネーター等の新しい機器が導入された際に、その機器が自席から離れている場所に設置されていて持ち運びや使用が困難な時に、相談しやすい雰囲気であれば、ラミネーターの設置場所を自席の近くにしてもらうといった対応をしてもらえて、負担を減らすことにもつながってきます。

上肢障害の方が就職後に後悔しないコツ

障がい者雇用枠で働く場合、面接など就職前のタイミングで合理的配慮のすり合わせを行いましょう。合理的配慮とは、社会的障壁によって障がい者の人権や自由が不当に制限されることのないよう工夫することです。平成28年4月1日に施行された「障害者差別解消法」では一般企業に対し、業務に過度な負担とならない範囲で合理的配慮を確保するよう求めています。

そのため、業務上の不安や懸念点がある場合は、どの程度自分の希望に沿って対応してもらえるかあらかじめ確認するのがおすすめです。また合理的配慮を実現するためには、障がい者と企業側が話し合い共に解決策を探す姿勢も重要です。話し合いの際には、障がい特性について詳しく説明し具体的な提案をするよう心がけると、真摯な要望として相手にも伝わりやすいでしょう。

上肢障害の方におすすめの仕事例

上肢障害の方の中には下記のような仕事をしている人もいます。

  • 事務職
  • エンジニア
  • デザイナー
  • コールセンター業務

それぞれ上肢障害がある方にとってのメリットがあるので、就職や転職を考える際はぜひ参考にしてみてください。

事務職

事務職とは、書類作成やデータ入力といったデスクワークをメインに行う仕事です。具体的に、企業の一般事務で行われる業務には下記のような内容が挙げられるでしょう。

業務の種類 内容
書類作成 社内用あるいは社外用のさまざまな書類を作成する業務。
ファイリング 社内で扱う書類などを整理する業務。
データ入力 業務で生じたさまざまなデータを入力し管理する業務。
伝票処理または整理 社内のお金の動きをまとめ、管理する業務。
郵便物の発送や仕分け 社外に向けた郵送物を発送したり、社外から届いた郵送物を仕分けたりする業務。
備品の管理や発注 社内で使用する備品が不足、あるいは故障することで仕事に影響が出ないよう管理する業務。
電話やメールへの応対 自分宛の連絡に対応したり、他部署宛の連絡を担当者へ繋いだりする業務。
来客への対応 来客を迎える準備や、社内での案内を行う業務。

 

事務職の中には、重い荷物の運び出しなどが行われないケースもあります。そのためあらかじめ企業側と話し合いをすれば上肢障害の方も働きやすいと考えられます。

エンジニア

エンジニアとは、専門知識をもって開発やデータの管理などを行う仕事を指します。扱う内容によって、下記のようにさまざまな種類のエンジニア職があるのが特徴です。

エンジニアの種類 内容
システムエンジニア ITシステムの設計やプログラミングを行う。
サーバーエンジニア サーバーの設計や構築、管理を行う。
ネットワークエンジニア 通信環境の設定や構築、管理を行う。
データベースエンジニア データを管理するシステムの開発や運用などを行う。
セキュリティエンジニア 情報漏洩やウィルス被害への対策システムを企画、運用する。
運用保守システムエンジニア サーバーやネットワークに関する障害を予防し、発生したトラブルへの対応を行う。
インフラエンジニア サーバーやネットワークなど、ITに関わるインフラの構築や運用などを行う。
Webエンジニア WebサイトやアプリといったITシステムの開発、運用などを行う。

エンジニアはリモートワークを取り入れている企業も多いため、その場合通勤の負担も軽減される可能性があります。

デザイナー

デザイナーとはいわゆるクリエイティブ系と言われる仕事のひとつ。活躍する領域によって、下記のようにさまざまな種類が存在します。

デザイナーの種類 内容
ファッションデザイナー 服のデザインや、製作工程の管理などを行う。
ジュエリーデザイナー ジュエリーのデザインまたは製作までを行う。
CGデザイナー 2Dあるいは3DのCGをデザイン、作成する。
グラフィックデザイナー 広告やパンフレット、企業のロゴなどのデザインを行う。
インダストリアルデザイナー 飛行機から日用品まで、あらゆる工業製品のデザインを行う。
空間デザイナー 屋内または屋外のインテリアを工夫し、快適な空間をデザインする。
広告デザイナー 雑誌やテレビ、Webといったさまざまな媒体の広告をデザインする。
Webデザイナー Webサイトのデザインまたはプログラミングまでを行う。

 

デザイナーはフリーランスとしても働きやすいので、自宅からリモートワークベースで業務を進められます。ほかの職種とチームで仕事を進めることもあるので、不得意な作業があっても周囲へ協力を求めやすいでしょう。

コールセンター業務

コールセンター業務とは、電話やメール、チャットなどを使い顧客対応を行う仕事です。主な内容は下記2つに分けられます。

業務の種類 内容
受信業務 顧客からの質問や要望を聞き入れ、対応する。
例)カスタマーサポート、ヘルプデスク
発信業務 顧客に対しサービスの案内や催促などを行う。
例)テレマーケティング

コールセンター業務は服装に制約がない職場が多いので、上肢に障がいがある方も働きやすい格好で作業可能です。またデスクワークがメインなので、体力的な負担も軽減されるでしょうも避けられるでしょう。

上肢障害の方の仕事探しに役立つサービス

上肢障害の片片のなかには、仕事探しが難しいと感じる方もいるかもしれません。そこでここからは、上肢障害の方の就職・転職に役立つサービスを5つ紹介していきます。

  • 転職エージェント
  • 地域障害者職業センター
  • ハローワーク
  • 障害者就業・生活支援センター
  • 就労移行支援事務所

それぞれの特徴を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

転職エージェント

転職エージェントとは、転職を希望するユーザーの活動をサポートする組織のことです。具体的には、下記6点のような支援内容が挙げられます。

  • 転職に関する相談
  • 求人情報の紹介
  • 応募書類の作成サポート
  • 面接対策
  • 面接日程の調整
  • 入社後のフォロー

障がい者雇用枠において、入社時に企業側へ合理的配慮の提供を求めることが大切です。転職エージェントを利用すれば、交渉時の負担も軽減されるでしょう。

マイナビパートナーズ紹介

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターとは、障がい者の就職を支援する独立行政法人。全国各地に支部があり、下記のようなサポートを行っています。

  • 職業相談
  • 職業準備に関わる支援
  • 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援
  • リワーク支援

地域障害者職業センターは業務を行ううえで必要なスキル・知識の習得講座も開催しており、就職後も長く仕事を続けられるような工夫が行われています。

ハローワーク

ハローワークとは国が提供する就職支援サービスのことで、全国に事業所があるのが特徴。ひとつの都道府県内でも複数箇所の施設があり、それぞれ管轄する自治体が異なります。ハローワークで受けられるサービスは、主に下記のとおりです。

  • 職業相談
  • 求人紹介
  • 雇用保険に関する手続き
  • 職業訓練

職業訓練を利用すれば、業務に必要な専門スキルや知識を無料で学ぶことも可能です。また全国のハローワークでは、障がい者向けの相談窓口も利用可能。関連機関とも連携し、就職後の支援にも力を入れています。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは障がい者の生活と仕事を包括的に支援する機関で、全国338箇所に設置されています。受けられるサービスは以下のとおりです。

  • 職業相談
  • 就職支援
  • 職場への定着に関する支援
  • 日常生活を送るうえでのアドバイス

障害者就業・生活支援センターでは、ハローワークや医療機関、福祉事務所などさまざまな関係機関と協力する支援スタイルが特徴です。また利用者それぞれの障がい特性に合わせて、企業側に雇用時の助言を行う取り組みもあります。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は障がい者の就労に向けたスキル訓練や、就職後のサポートなどを行う団体です。全国のさまざまな法人がサービスを提供していて、具体的には下記のような内容が挙げられます。

  • 求職活動のサポート
  • 職業訓練
  • 職場への定着に関する支援

具体的な支援内容は法人によって多岐に渡り、なかにはすべての講座にオンラインで参加できるところもあります。

まとめ

上肢障害のある方々におすすめの仕事や役立つ就労支援サービス、働きやすい環境などを紹介しました。

今回挙げた項目を参考に、自身にマッチする職場環境や仕事内容を整理していくことで、長く安定して働くことにもつながっていきます。

全部を一人で行うのではなく、転職エージェントや支援機関等を利用することで、自己理解や就職の準備、合理的配慮のすり合わせなど働きやすくなるためのサポートを受けることができます。長く働いていくためにも、支援機関等の活用も検討してみると良いでしょう。

【本記事監修者】
佐々木規夫様     

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

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