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障がい者雇用で再就職する際によくある悩みとは?ポイントや就労支援サービスを紹介

目次

「障がい者雇用枠での転職ってどうすればいいの?」

そのような疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。本記事では、障がい者雇用の転職は何から始めればよいのか、相談はどこでできるのか、どのようなサービスが受けられるのか、具体的な支援はどう受ければよいのかなど、障がい者雇用の転職での悩みと解消法を解説いたします。就職、転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

障がい者雇用に多い退職理由

「障害者雇用率制度」では、企業が一定の割合以上で障がい者を雇用する義務があります。近年義務割合が引き上げられ、2.3%以上の雇用が義務付けられています。合わせて、「障害者雇用納付金制度」の後押しもあり、就労する障がい者は増加傾向です。それに伴い、退職・転職を経験する障がい者も増えています。障がい者求人枠では7割近くが1年後も定着していますが、一般求人枠では3割程度しか就業後に定着できていない実態もあります。

厚生労働省の調査発表によると、障がい者の退職・離職理由にはさまざまな理由があります。多く見られた退職・転職理由としては、下記の通りです。

  • 職場の雰囲気・人間関係
  • 賃金、労働条件に不満
  • 仕事内容があわない
  • 家庭の事情
  • 疲れやすく体力意欲が続かなかった
  • 症状が悪化(再発)した
  • 作業、能率面で適応できなかった
  • 会社の配慮が不十分
  • 通勤が困難

一般的な退職理由でも上位に挙がる「仕事と職場が思っていたものと違う」「仕事と人のミスマッチ」といった仕事内容や人間関係のミスマッチは、障がい者雇用における離職においても多く見られます。

一方で、「症状の悪化」「作業・能率面での適応が困難」「会社の合理的配慮が得られない」など、障がい者雇用特有の退職理由もあります。障がい者が継続して働くには、仕事内容や賃金、評価等の労働条件に加えて、職場環境、業務内容、体力、通勤距離など、自身の障がい特性と合っているかについても考慮するべき課題でしょう。

再就職する際によくある悩み

「職場に馴染めず転職したい」「離職しているけど再就職したい」「解雇されてしまった」など、さまざまな理由で離職することになり再就職を希望する場合、直面する多くの悩みは下記の2つです。

  • どのように転職活動を進めればよいかわからない
  • 自分の特性に合った仕事かわからない

就業にまつわる相談は、障がいの有無にかかわらずハローワークでの相談が一般的です。公的な機関では障がい者雇用専門の相談員も配備されており、転職活動を始める前の相談を受けつけています。

転職活動がどのような流れで進んでいくのか確認の上、必要に応じた支援を受けることで、納得のいく転職ができます。それぞれの悩みについて、詳しく説明していきましょう。

どのように転職活動を進めればよいかわからない

転職未経験の場合、はじめにつまずくのは転職活動の方法です。障がいの有無にかかわらず、転職が未経験だとわからないことばかりでしょう。

学生の就職活動の内容を見てみると、障がいの有無による大きな差はないことが分かっており、転職活動においても同様だと考えられます。障がいの程度によりますが、一般雇用枠と障がい者雇用枠の双方で転職活動する場合が多いようです。再就職するまでの流れとしては、以下のようになるのが一般的です。

  1. 転職活動を始める(相談する)
  2. 応募企業を探す・選ぶ
  3. 職務経歴書・履歴書を書く
  4. 面接対策をする
  5. 内定・退職・入社する

在職・離職により順番は入れ替わりますが、転職活動の内容は同じです。転職活動を始める前に、「何から始めればよいかわからない」「就職に向けて受けられる支援制度や支援機関を知りたい」といった方に対応した相談窓口もありますので、利用してみるとよいでしょう。

自分の特性に合った仕事かわからない

障がい者雇用における退職理由に、「仕事の内容が合わない」「作業、能率面で適応できなかった」といった仕事の内容に対するミスマッチが多く見られます。
障がい者雇用枠での転職活動の場合は、自分の特性を把握しておくのが大切です。
障がいにより気分や体調が安定せず、生活リズムが崩れてしまうことがあります。そういった場合は、後述する障がい者雇用支援制度を利用し適宜相談をするなど、まずは就業に必要な体調・気分を整えましょう。そのうえで「能力」「やりがい」「人との相性」を考慮して転職活動を進めるのがおすすめの方法です。
同じ職場で長く働くためには「やりがい」「人との相性」も重要ですが、自分の障がいの特性に紐づく「能力」を冷静に客観視し、強みを知ることがいちばん大切です。自分が得意なことは何なのか、苦手なことは何なのかを整理しておくと、就職活動ではもとより、就業後の職場の合理的配慮を得られる手助けになるでしょう。

障がい者雇用枠で再就職する際のポイント

障がい者雇用枠で再就職する際は、「障害者トライアル雇用制度」や「職場実習」を活用することがおすすめです。障害者トライアル雇用制度とは、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介で、就職が困難な障がい者を一定期間雇用し、その人の適性や業務が問題なく遂行できるかを見極める制度です。
厚生労働省が主導する施策の1つで、障がい者が早い段階で就職できることや雇用機会の創出を図ることを目的としています。企業側にも補助金がもらえるなどのメリットがあり、職場に多様性を受け入れる素地を作るキッカケとなります。
障がい者にとってはトライアルで就業することで、会社との相互理解の促進が期待できる制度です。
職場実習は、職場体験を通じて障がい者雇用への理解を深めることを目的とした、企業を対象にした施策です。就業前に職場体験ができるので実際に働くイメージを持てますし、労働環境・雰囲気を知ることもできます。また、職場実習を受け入れる企業は障がい者雇用を理解しようと前向きな動きをしているので、職場実習に行くことで障がい者雇用の門戸が開く可能性もあります。

障がい者雇用枠で再就職する際に利用できるサービス

障がい者雇用で再就職する際に悩むのは、やはり「どこに相談すればいいの?」というところが大きいのではないでしょうか。就職・転職活動をするときに、利用できるサービスはたくさんあります。「働きたいけどどうすればいいのか」「就職に向けて受けられる支援はないのか」などを教えてほしいときに、利用できる相談窓口を次にまとめています。自分の就職・転職活動に適したサービスを利用しましょう。

  • 転職エージェント
  • 地域障害者職業センター
  • ハローワーク
  • 障害者就業・生活支援センター
  • 就労移行支援事業所

それぞれ受けられる支援の種類・内容は異なりますが、すべてのサービスは適切な支援に繋げられる仕組みになっています。誰でも利用できる一般的なサービスから、障がい者雇用でしか利用できないサービスまで多岐に渡ります。

転職エージェント

「転職エージェント」とは、キャリアアドバイザーが全面的に転職活動をサポートしてくれるサービスです。無料で利用できることがほとんどで、障がい者雇用枠の方が望ましいのか、一般雇用枠でチャレンジできるのかなどのアドバイスがもらえます。
面談やカウンセリングからその人に合った求人情報を提示してくれ、親身に転職の相談に乗ってもらえます。転職活動を効率よく進めたい人や、転職における不安や悩みを解消したい人、スケジュール管理が難しい人、自分のキャリアを見つめなおしたい人などにおすすめのサービスです。
最近では、障がい者の転職に特化した転職エージェントも多数あり、障がいの種類や特性を熟知し、就職支援や就職後のサポートまでしてくれるエージェントもいます。障がいを伏せて働くのか、障がいがあることをオープンにして障がい者雇用制度を使うのかなど、希望に応じた支援を受けられます。

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地域障害者職業センター

「地域障害者職業センター」は、障がい者に対する専門的な職業リハビリテーションサービスをしている、独立法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が手掛ける事業です。障がい者一人ひとりのニーズに応じて、職業評価や職業指導、職業準備訓練及び職場適応援助等の各種の職業リハビリテーションを実施しています。

事業主に対する障がい者の雇用管理に関する相談・援助や、地域の関係機関に対する助言・援助も実施しています。就職支援・相談窓口の紹介や「精神障害者総合雇用支援」「職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援」を受けることも可能です。また職業準備支援や「広域障害者職業センター・障害者職業能力開発校」の案内もしてもらえるなど、幅広い支援を受けられます。

ハローワーク

「ハローワーク」では、障がい者の就職活動を支援するために、障がいについて専門的な知識がある職員・相談員を配置しています。仕事に関する情報が得られるほか、就職に関する相談に応じてくれるなど、きめ細かい支援体制が整っています。専門的な支援は、障がいのために働くことが著しく困難な方が対象です。対象者であれば、障害者手帳を持っていない人も利用できます。
障がい者のための窓口では、求職者に丁寧に向き合い、就職から職場定着まで一貫した支援があります。履歴書の書き方や模擬面接など、特性に合わせてきめ細かな指導を受けることも可能です。またハローワークが連携する支援機関と協力し、働く前に実際にその企業で実習を受けることもでき、障がい者を対象とした就職面接会の開催なども行っています。

障害者就業・生活支援センター

「障害者就業・生活支援センター」とは、障がい者の職業生活における自立を図ることを目的として、厚生労働省が全国に設置している機関です。
雇用や保健、福祉、教育などの関係機関と連携して、障がい者の身近な地域での就業面および生活面の包括的な支援を行い、障がい者の雇用の促進及び安定を図ることを目的としています。令和4年4月1日時点で、全国に338か所設置されています。
就業に関する相談支援として、就職に向けた準備支援(職業準備訓練、職場実習のあっせん)、就職活動の支援、職場定着に向けた支援をしており、事業主には障がい者それぞれの特性を踏まえた雇用管理についての助言を行っています。関係機関への連絡調整もしてくれるだけでなく、生活面での支援を得られるのも、同センターの特徴です。

就労移行支援事業所

「就労移行支援事業所」は、通常の事業所への就業が可能と見込まれる障がい者に対して、就業支援を行う事業所です。就労移行支援事業は、一般企業への就職を希望する障がい者を企業などでの就労に繋げる事業として創設されました。
ステップアップのための中間的環境であり、障がい者の職業的な適性などを客観的に評価・分析してくれます。また障がい者が自分の障がいを理解することを支援し、就労意欲を高める狙いもあります。
「ハローワーク」や「障害者就業・生活支援センター」などと連携をとって、きめ細やかなマッチングを実現しています。生産活動、職場体験等の活動の機会を提供するだけでなく、その他の就労に必要な知識および能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援や、就職後の職場への定着のために必要な相談等の支援を行います。
一般企業への就職を目指す障がい者が利用できるサービスであり、標準的な利用期間は2年となります(特例で1年延長する可能性もあり)。就労移行支援事業所を利用した後、半数を超える方が就労を継続しています。

まとめ

一人ひとりの状況は異なりますが、支援を受けることで不安や悩みは軽減できる可能性があります。どの窓口を利用すればいいのか分からない場合、ハローワークに相談に行けば、直接ハローワークで職業紹介を受けなくとも必要な支援が受けられる窓口を紹介してもらえます。
転職エージェントをはじめとしたさまざまな支援制度を最大限活用して、長く無理なくやりがい持って続けられる仕事に出会えることを祈っています。まずはさまざまなサービスを利用して一歩を踏み出しましょう。あなたの歩幅に合わせた支援を、きっと見つけられます。

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【本記事監修者】
佐々木規夫様      

産業医科大学医学部医学科卒業。
東京警察病院を経て、HOYA株式会社の専属産業医及び健康推進G統括マネジャーとして健康管理に従事。現在は上場企業や主要官庁を中心に産業医をしながら、精神科医としても勤務している。また、北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場コミュニケーション、組織公正性に関する研究や教育を行なっている。
【資格】
産業医、精神科専門医、精神保健指定医、医学博士、日本産業衛生学会専門医・指導医、労働衛生コンサルタント、社会医学系専門医・指導医、メンタルヘルス法務主任者

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